「LuckyHouse のポートフォリオ」10 コリン・ファレル
贅肉をまとって主演した超怪作『ロブスター』が3/5に公開!

1976年5月31日、アイルランドの首都ダブリンで生まれたコリン・ファレルは、“やんちゃ”なイメージの少年ぽさとセクシーさを併せ持つ人気モテ俳優だ。10代の頃は、サッカー選手だった父親の影響を受け、同じ道を目指していたという。

スリム体型に戻してカンヌの記者会見(5/15:現地時間)に現れたコリン・ファレル Photo by Yoko KIKKA

ダブリンの演劇学校を中退し、幾つかのTVドラマや映画出演を経た2000年、ジョエル・シュマッカー監督に抜擢されてハリウッドデビューを飾った『タイガーランド』でブレイク。一躍、期待の若手俳優となり、2002年のスピルバーグ監督作品『マイノリティ・レポート』ではトム・クルーズと、翌年の『リクルート』ではアル・パチーノと共演。シュマッカー監督と2003年に再び組んで主演した『フォーン・ブース』も高く評価され、2008年の『ヒットマンズ・レクイエム』ではゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞した。

2003年には『ピープル』誌の“最も美しい男50人”に選ばれ、メンズセレブとしても注目された一方で、派手な女性関係や薬物使用などが問題視され、“悪ガキ”的な一面も露に。だが、俳優としての資質は抜群で、あっと驚く出立ちで登場した2011年の『モンスター上司』では意外なコメディ・センスを発揮している。
他の主な出演作は『アメリカン・アウトロー』(01年)、『ジャスティス』(02年)、『ヴェロニカ・ゲリン』『S.W.A.T.』『デアデビル』『ダブリン上等!』(03年)、『イノセント・ラブ』『アレキサンダー』(04年)、『ニュー・ワールド』(05年)、『マイアミ・バイス』(06年)、『ウディ・アレンの夢と犯罪』(07年)、『Dr.パルナサスの鏡』『戦場カメラマン 真実の証明』『クレイジー・ハート』(09年)、『ロンドン・ブルバード』(10年)、『フライトナイト 恐怖の夜』(11年)、『トータル・リコール』『セブン・サイコパス』(12年)、『デッドマン・ダウン』『ウォルト・ディズニーの約束』(13年)、『ニューヨーク 冬物語』(14年)など。
そんな彼の主演最新作にして、昨年のカンヌ国際映画祭で審査員賞に輝いた『ロブスター』が3月5日に公開される。

カンヌの会見(左よりレア・セドゥ、コリン・ファレル)  Photo by Yoko KIKKA

実に奇想天外かつシュールな物語が展開するシニカルでビザールな怪作『ロブスター』は、ギリシャの気鋭監督ヨルゴス・ランティモスが豪華キャスト(レイチェル・ワイズ、レア・セドゥ、ベン・ウィショー、ジョン・C・ライリーらが共演)を起用して撮った野心作(ギリシャ・フランス・アイルランド・オランダ・イギリス合作)だ。

舞台は、“独身者”がすべからく捕えられ、ホテルに移送されるディストピア的近未来。
ホテルに集められた彼らは、45日以内に他の滞在者の中から伴侶を見つけ出すよう義務付けられる。それが叶わねば、自分の好きな動物に姿を変えられ、森に放逐されるのだ。
ある日突然、妻に捨てられ、ホテルに連行される羽目になったデヴィッドは、好きな生き物は“ロブスター”だと答える。そして猶予期間が刻々と過ぎる中、伴侶探しの滑稽な努力に嫌気がさした彼は森の中に逃亡。“独身者”の反逆グループの一員に加わるのだが……。

デヴィッド役で登場するコリン・ファレルは、もったりとしたオッサン体型を披露(その変身ぶりはまさに見もの!)。トレードマークの濃い眉毛はまんまだが、メタルフレームの眼鏡と口髭の扮装で“戸惑える中年男”を繊細に演じて魅せている。

会見で本作は全編、ファレルの母国アイルランドで撮影したと明かされた  Photo by Yoko KIKKA


『ロブスター』がワールドプレミアされた昨年のカンヌ国際映画祭の公式記者会見に登壇したコリン・ファレル(ちゃんと元の体型に復帰!)は、脚本について「とてもユニーク! これまでに読んだスクリプトの中でも突出していた。
実に不穏だが、哀感もあり、感動的で、センスがいいんだ」とコメント。そして「知られざるロブスターの生態も教えてもらえたよ」と付け加え、会場の笑いを誘った。
(Text by Yoko KIKKA)

吉家 容子(きっか・ようこ)
映画ジャーナリスト。雑誌編集を経てフリーに。
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映画『ロブスター』予告編

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