「いいにおいのする映画」とは?

酒井麻衣監督が手掛ける魔法の世界!ミスiD2015グランプリストでアイドルユニット"LADYBABY"としても活躍する金子理江さんと一度見たら忘れられない新進気鋭の若手実力派俳優の吉村界人さんが出演する「いいにおいのする映画」が明日公開される。映画×音楽の祭典である「MOOSIC LAB」にて史上初の6冠に輝いた同作は、ブルータルオーケストラの「Vampillia」も参加している。業界注目作のこの作品!唯一無二の作品であることは間違いない。公開に先駆けて監督の酒井麻衣さんにコメントを頂いたので、作品を観る前に是非チェックしてほしい。

酒井麻衣監督にキャストの印象を聞きたい!

*主要キャスト三名のみなさんと初めて会ったときの印象を教えてください。

公式サイトより

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金子理江さんの第一印象は「魔法使いになりたい」が似合う17歳

はじめての出逢いは新宿の喫茶店です。その時は他の大人や女の子たちといて、金子理江さんの優しさ(周りをちゃんとみる)という性格から、あまり金子理江さんの個性は分からず、周りにあわせている印象でした。ただ、主役オーディションで彼女の本領をみる事ができました。1人になった時、彼女の強さと魅力が爆発します。そこではじめて、本当の意味で向き合えました。理江さんは「ハリポタが好き!魔法を信じている!」という事は目にみてわかる雰囲気をしていました。なんと自由で切なく、魔法を信じている姿は「いいにおいのする映画」の主人公そのもので、彼女しか主人公をできる子はいない!と思いました。「魔法使いになりたい」という危うい言葉を言って許される17歳は、その時金子理江しかいなかったのではないでしょうか。

公式サイトより

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吉村界人さんのこの映画にかける熱い想いが届いた!

吉村界人さんも新宿の喫茶店ではじめてお会いしました。その時はマネージャーさんと一緒で静かに話を効いていましたが、ゆっくりと煮え立つ彼の中のマグマを感じていました。印象的だったのは、2回目に会った時です。その時、私は脚本に悩んでいて、予算や制作スタッフさんからのアドバイスと自分のやりたい事の中で揺れていました。そんな時に界人さんから「酒井さん!前の酒井さんらしさがあるホンの方がよかったです!今の脚本は酒井さんじゃなくても考えつく!俺は、前の脚本がやりたいです!」とはっきりと熱く、語ってくださいました。その時、界人さん自身、他に出演作品が決まっていない状態で、「俳優になりたい。この映画にかけている」という意思がとても嬉しかったです。

公式サイトより

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酒井監督は中嶋春陽さんのために役をつくった!?

春陽さんも新宿の喫茶店ではじめてあいました。(思えば、同じ日に、同じ喫茶店で三人にお会いしました)春陽さんは、何人かの女の子たちの中で登場しました。透明感あふれる彼女の姿は「他の子と違う」というのを、はっきりと感じさせました。私は、女の子の1人として彼女に一目惚れをしてしまい、「この子に映画にでてほしい!」という一心で、新しい主人公の友達「委員長」を書き上げました。

*撮影をともにして、主要キャストの三名の方は“○○な人”というのを酒井監督の目線から紹介してください。

金子理江さんは、人間界に迷い込んでしまった妖精。

人間界に迷い込んでしまったゆえ、戸惑う事もありながら、一生懸命に生きています。大自然のように優しく人をみて、しっかりと向き合ってくれます。時には無邪気に魅惑に踊ります。よく撮影現場で大変な時に彼女は唄を歌っていました。彼女なりのストレス解消法なのか、自分の精神を保つためのものなのかわからないのですが、ふいにでる繊細な歌声は現場を浄化させました。

吉村界人さんは、まだ爆発していない火山。

心の内に秘めた熱いマグマを毎日煮立たせて、爆発の時をいまか、いまかと待っています。
界人さんの面白いところは、破天荒にみえて、実はまじめ。まじめだけど、その中には、とんでもない情熱を隠しているという事です。
小さな爆発は似合いません。いつか、大きな爆発で世間をにぎわせるのを私は楽しみです。

中嶋春陽さんは、薔薇畑に咲く一輪の百合の花。

中嶋春陽さんは、どこにいても、凛として美しく、控えめで、でも目が奪われてしまう。という存在だと思います。それはまさに、きらびやかに咲き乱れる薔薇の中で「私のままで咲いてても良いですか?」と凛と咲いている百合の様です。どうか、そのまま、その純白な美しさで勝負してほしいです。奥ゆかしい日本の美を生きているのは彼女です。

撮影時に印象に残ったエピソードを一つ教えてください。

どれも印象に残っていますが、カイトの病気が発症し、レイに襲いかかるシーンです。吉村界人さんは、その時、口から血がでるように血をしみ込ませた脱脂綿をくわえたままの演技でした。熱演の後半、カイトは激しく咳き込み病気に苦しむような姿をみせます。私は界人さんの異変にきづき、すぐさまにカットをかけ、「大丈夫か!?」とかけよると、咳き込みながら水をのみ、私の「OK」の声を待っていました。もちろん、そのカットは素晴らしいカットになりましたのですぐさまOKをだしました。界人さんの口の中を覗くと、そこには、脱脂綿はありません。脱脂綿はどうしのかと聞くと「飲み込みました」と一言。演技に熱するあまり、脱脂綿をのみこみ、大きな脱脂綿だったので、のどを詰まらせた様です。命をけずっても役を演じきる、監督はカットかけるまで自分でカットはかけないという俳優魂に感動し、同時に狂気(いい意味で)を感じました。その時、金子理江さんは、演技の時のあまりの界人さんの豹変ぶりに本気で泣いてしまったそうです。
わたしは、そういう本気が生み出す化学反応のような瞬間が大好きです。

酒井監督の世界観の秘密に迫る! 

*スタンダードサイズの画面にモノクロ&パートカラーで描かれているのが印象的でした。
そのこだわりについて教えてください。

カラーについては、はじめ、モノクロとカラーの間のセピア色の様な色合いの映画にしようと思っていました。そこで撮影監督の伊集さんが「この世界観なら、モノクロの方がいいのではないか?」と言ってくださいました。はじめ、私は抵抗しました。なぜなら、私の大学時代お世話になっていた林海象監督(師匠)の代表作はモノクロ映画「夢みるように眠りたい」だからです。これでは、真似のようになってしまうし、まず、照明技師の物語で照明のカラーをみせたいのに、モノクロとはどういう事だ!?と思いました。しかし、熱い伊集さんのモノクロ映画がいかに素晴らしいか!というプレゼンに胸を打たれ、ジャン•コクトーの「美女と野獣」を見直したりし、考え直しました。そこで感動したのは、モノクロの世界の良さは「黒」は「闇」になるという事です。カラー映画の「黒」は「無」になるのですが、モノクロ映画の「黒」は何が潜んでいるのかわからない無限の闇にみえるのです。そして、観ているうちに、自分で色をつけていくので、なんとまぁファンタスティックな映画が完成すると思いました。
しかし、全編モノクロでは、ステージ照明の良さは伝わりません。そして、カラフルが好きな私にとっては、なんとかならないかと考えていると、Vampilliaさんのライブをはじめてみた時の感覚を思い出しました。私は、ライブをはじめてみた、その瞬間、「本当に魔法はあったんだ」とクリアな視界を手に入れられたのです。その感情を、映像として表現しようとした時に、世界を色づかせようと思いました。


スタンダードサイズに関して。私は携帯で写真を撮る時にスクエア(1:1の正方形)で写真を撮るのにハマっていて、その真四角な中に納まる構図が好きでした。スタンダードサイズ(4:3画面)は、私にとっては昔の映画の印象というよりも、イマドキな印象でした。本当は1:1で撮影したかった程で、カラーになると同時に画面を広げようと思いました。その事を撮影監督の伊集さんに話すと、「グザヴィエ・ドランが新作のmammyでやってるらしいよ」と言われ、断念しました。
スタンダードサイズ、モノクロは撮影監督伊集さんのアイディアで、パートカラーにしたい!というのは私のこだわりでした。そういった、色々なアイディアをだせる事は映画の面白い所なので、今回、それができて嬉しかったです。

*衣装や小道具も作品のテイストを上手く表現していたように感じましたが、そのこだわりなどについても伺いたいです。

私の好きな映画はファンタジーです。映画館でみるのなから、現実とは違った世界をのぞきたいと思っています。その世界ならではの小物がある!みたあとに、真似したい!なんて思えるのも、それも映画の魔法だと思います。だから、美術にはこだわりたかったし、Vampilliaさんと出逢った時の衝撃や世界観を、崩さずに表現したかったのです。今回、それができたのは、美術監督の成尾美奈さんのおかげです。成尾さんとは大学時代から一緒で私の好きな世界観をわかってくださってました。レイの持つ、懐中電灯1つにしても、「魔法のステッキみたいにしたい」と伝えたとこと、「まいちゃん、こんな感じ好きでしょ?」と素敵な魔法の懐中電灯をつくってくれました。
そして、衣裳はレイと委員長の制服は私の高校時代のもの、Vampilliaの衣裳はVampilliaさんコーディネート。カイトの衣裳は、界人さんの親友であり、監督としても作品を手掛けている小野寺亮くんのスタイリングです。

*酒井監督の作品に一貫した作風を感じます。ご自身では監督としての強みや、他の監督にないのではないかと思う部分はどのような点だと感じますか。

私が映画をつくりたいとおもっているのは、映画に救われたからです。魔法や妖精、サンタクロース、キラキラとした異世界を信じてきた私にとって思春期は戸惑う事なかりでした。信じてきたものが、現実にはないのではないか、と悩み現実に絶望しました。そんな時、「ハリーポッター」や「チャーリーとチョコレート工場」など実写のファンタジー映画をみて、「やっぱり現実にも魔法はあるのかもしれない」と信じされてくれました。「ハリーポッター」をみたあと、映画館をでると、本当にホグワーツ魔法魔術学校はどこかにあると信じられるのです。そんな風に私も、信じたいけど、信じきれない人たちへ希望をもてる様な映画をみせたいです。
自分の強み何ですか?という質問ですが、その答えは、現実にある魔法を信じているという事だと思います。それは、「ちちんぷいぷい」と簡単に使えるものではないです。そんな魔法を色んな形で映画を通して、伝えていきたいです。今回の「いいにおいのする映画」は照明技師という光の魔法使いのお話です。1人くらい本当に魔法を信じている大人がいてもいいと思いませんか?

*同世代の(特に女性監督)をどう思いますか。

同世代の監督とは交流があり、どの方も面白い方ばかりで刺激になります。
同世代の監督と並ぶと私は本当にちっぽけで、そのつど落ち込み、頑張ろうと思えます。
特に女性監督をどう思いますか?という質問ですが、そろそろ女性監督という言葉事態なくなる程、男だから女だからというのもなくなっている気はします。世界に沢山、男性や女性がいるのですから、それぞれの強みを活かした映画を届けたいですね。もはや、男女で考える事すら狭いのかもしれない、今後、ジェンダーフリー(今でいう、おねぇなど)な監督も沢山出てくると思います。
ただ、今まで男性社会だった映画界に、切り込んでいった女性監督がいなければ今の私はいなかったと思います。ですので、河瀬直美監督、西川美和監督、横浜聡子監督、山戸結希監督など、たくさんの女性監督を尊敬しています。女性という事を活かした映画や演出も、今後していきたいです。

今後の展望があれば教えてください!

ただいま、新作のプロットを考え中でございます!

本作の公開にむけて観客のみなさんへメッセージをお願いします!

『いいにおいのする映画』は、現実が嫌になり何か違う世界を覗きたい方にオススメの映画です。特に、主人公の年齢に近い、夢や恋に悩み、大人の階段を上っている10代、20代の方に観てほしいです。『映画は洋画しかみないわ』なんて方も、現実とはひと味違う不思議な世界に迷い込めると思います。とにかく、楽しんでくだせれば本望です。
自信のないあなたへ。わたしなりの希望を綴ってみました。よければ覗きにきてください。待ってます。酒井麻衣

直井卓俊さん(企画プロデューサー)からもコメントを頂きました!

映画を通じて伝わって来た酒井麻衣監督の強い意志。生々しい恋愛あるある映画が主流のこの時代に、ましてや「ファンタジー」というジャンルをやるのが困難なインディーズ映画において「魔法」を信じ切るということ。それを支えたVampillia、金子理江、吉村界人、中嶋春陽、技術スタッフらと酒井監督が生み出したグルーヴはまさにMOOSIC LAB(=映画と音楽の実験室)そのものでした。その唯一無二の魅力を、是非スクリーンで体感してください!

「いいにおいのする映画」ポスターヴィジュアル

あらすじ

国内外で活動するブルータルオーケストラ「Vampillia」にほれ込んだ24歳の新鋭・酒井麻衣監督が、Vampilliaを当て書きしたオリジナルストーリー。照明技師を目指す少女レイ、Vampiliaの楽曲制作とPAを務める少年カイトという登場人物を中心に、Vampilliaをめぐる物語を、スタンダードサイズの画面にモノクロ&パートカラーで描いた青春ダークファンタジー。夢見がちで光遊びが好きな少女レイは、離れ離れになってしまっていた幼なじみのカイトと再会する。カイトはVampilliaのメンバーとライブハウス付きの家に住み込み、作曲やPA、照明を手がけている。ライブハウスを訪れたレイはステージの照明に心をときめかせ、Vampilliaに懇願して照明技師として働かせてもらうことになるが……。


『いいにおいのする映画(Be A Light To The World)』予告編

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