「完全なるチェックメイト」ーー「ラストサムライ」のエドワード・ズウィック監督によるアメリカ映画


「完全なるチェックメイト」は「ラストサムライ」のエドワード・ズウィック監督によるアメリカ映画。天才チェスプレイヤーのボビー・フィッシャーの足跡をたどる。
ボビー・フィッシャーはチェスの世界チャンピオンになった人物だが、奇行が多く、80年代には行方不明になった。アメリカ映画「ボビー・フィッシャーを探して」(93)は、ボビーの後継者と目された天才少年フレッド・ウェイッキンを描いた映画だった。

「完全なるチェックメイト」でボビーを演じているのは、トビー・マグワイア。
「スパイダーマン」シリーズでおなじみ。米ソ冷戦時代に15歳にして全米チャンピオンになったボビーは、世界最高のチャンピオンであるソ連の王者ボリス・スパスキーと対戦する。
当時はアメリカとソ連があらゆる面でメンツをかけて争っていた。チェスも例外ではなく、ソ連とアメリカはプライドをかけて戦っていた。ソ連はチャンピオンのタイトルを34回も保持していた。

ところがボリスの今回の対戦相手となるボビー・フィッシャーは、IQ187の天才で、どんな手を打ってくるか予想がつかない。しかも思考が突飛で、自分をコントロールできない。傲慢な自信家で大のマスコミ嫌い。互いの大統領が声援し、圧力をかけてくる中で、この二人がどう戦っていったのか。

チェスに興味がある人もない人も、手に汗握る緊張感でぐったりするだろう。
世界チャンピオンのボリスを演じたのは、「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」などのリーヴ・シュレイバー。彼もトビー・マグワイアに劣らぬ演技を見せた。

『完全なるチェックメイト』予告編(12月25日公開)

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「Re:LIFE~リライフ~」マーク・ローレンス監督のアメリカ映画


「Re:LIFE~リライフ~」はマーク・ローレンス監督のアメリカ映画。ハリウッドを都落ちした落ち目の脚本家が大学で教えることになって…。
脚本家のキースを演じるのはヒュー・グラント。キースがアカデミー賞の脚本賞をとったのは、はるか昔。その後キースは妻と別れ、息子には会えず、ろくな仕事もない。
そんなとき、ニューヨーク州ビンガムトンという田舎の大学でシナリオ講師をするという仕事が舞い込んだ。ともかくも食っていけるというので、はめをはずしたキースは、古手の女性教授をからかい、着任早々女子学生に手を出すなどやりたい放題。ついにクビの危機に陥る。

この映画は、ローレンス監督の脚本がよく書けている。脚本家としての経験が込められている。脚本とは何かを実に懇切に教えてくれる映画でもある。
「高慢と偏見」などの作家ジェーン・オースティンをはじめとする文学、映画の名作に対する知的な会話や皮肉が楽しめる。
コメディ的な要素も多くて、ヒュー・グラントの軽妙な面が生かされている。大学の学科長に「セッション」の意地悪な音楽教授を演じてアカデミー賞を受賞したJ.K.シモンズ。働きながら大学で学ぶシングルマザーにマリサ・トメイなどワキも充実している。

後味の良さが感じられて、満足した。

ReLIFE~リライフ~予告編

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「愛しき人生のつくりかた」はジャン=ポール・ルーヴ監督のフランス映画


「愛しき人生のつくりかた」はジャン=ポール・ルーヴ監督のフランス映画。人気作家ダヴィッド・フェンキノスの小説の映画化。

パリでアパルトマンに住む老婦人のマドレーヌは夫に先立たれる。郵便局を定年になった息子のミシェルが面倒を見ることになる。マドレーヌは孫のロマンを愛している。ロマンは大学生だが、バイトでホテルの夜勤をしている。
あるときマドレーヌはけがをして病院に運び込まれた。「もう一人暮らしは無理」とミシェルは老人ホームに入れる。しかしマドレーヌにとって、狭くて管理されるだけの老人ホームは我慢できなかった。

アニー・コルディが演じる快活なマドレーヌ。ミシェル・ブランが演じる頼りないミシェル。新人のマチュー・スピノジが演じるロマン。みな役柄にぴったりはまって、見事なホームドラマに仕上がっている。けれんみのない映画で、好感が持てた。
「残さりし恋には」などの名曲がバックに流れ、ロマンチックだ。フランス映画らしい味わいがある佳作。

映画「愛しき人生のつくりかた」予告編

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コラム~野島孝一の試写室ぶうらぶら~シネフィル篇
■略歴
上智大学文学部新聞科卒業。毎日新聞社で映画記者歴約25年!
退職後、フリーの映画ジャーナリストとして活躍中。
■現在
日本映画ペンクラブ幹事
毎日映画コンクール選定委員、毎日映画コンクール諮問委員
アカデミー賞日本代表作品選考委員
日本映画批評家大賞選定委員
■著書
日本図書館協会選定図書
映画の現場に逢いたくて
ザ・セックスセラピスト THE SEX THERAPIST
野島 孝一 著
野島孝一の試写室ぶうらぶら 、オリジナル版は、アニープラネットWEBサイト
に掲載されています。
野島孝一@シネフィル編集部
アニープラネットWEBサイト
http://www.annieplanet.co.jp/