京都文化博物館フィルムシアター、映画日本百景【北海道〜青森編】。
12月26日は『サムライの子』(1963)が上映された。
小樽出身の児童文学作家山中恒による同名作が原作。“サムライ”と呼ばれた部落街。学校や地域で差別されながらも、素直な心で周囲を照らしながら、明るく生きる少女が主人公。
小樽花園小学校の雨天体育場を利用し、札幌に拠点を置くほりぞんとぐるーぷによる壮大なセット、地元の小学生やアマチュア劇団も参加、地域密着型の撮影が効果を生んでいる。
#ミニシアター http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/
京都文化博物館フィルムシアター、映画日本百景【北海道〜青森編】。
12月24日と26日は『サムライの子』(1963)。
小樽出身の児童文学作家山中恒による同名作が原作。“サムライ”と呼ばれた部落街。学校や地域で差別されながらも、素直な心で周囲を照らしながら、明るく生きる少女が主人公。
小樽花園小学校の雨天体育場を利用し、札幌に拠点を置くほりぞんとぐるーぷによる壮大なセット、地元の小学生やアマチュア劇団も参加、地域密着型の撮影が効果を生んでいる。
京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive
#ミニシアター http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/
京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive
『サムライの子』
1963(昭和38)年日活作品/94分・モノクロ
企画:大塚和 原作:山中恒 脚色:今村昌平 監督:若杉光夫 撮影:井上莞
『サムライの子』
1963(昭和38)年日活作品/94分・モノクロ
企画:大塚和 原作:山中恒 脚色:今村昌平 監督:若杉光夫 撮影:井上莞 音楽:渡辺宙明 美術:岡田戸夢 照明:北内年武 録音:宮永晋 編集:丹治睦夫
出演:田中鈴子(田島ユミ)、小沢昭一(父・太市)、南田洋子(妻・やす)、浜田光夫(マキタ)、松尾嘉代(ヒロ子)、高橋千恵子(ミヨシ)、上田吉二郎(父・クマ)、新田昌玄(町田先生)、田代みどり(石川恵子)、鈴木光子(佐竹悦子)、生田目洋文(田上)、小柴広吉(吉田)、東恵美子(金子後家)、大森義夫(ヨシオド)、日岸喜美子(ヨシオンバ)、鶴丸睦彦(ズンダ)、田中筆子(ズンダの神さん)、武智豊子(松下すぎ)、
青木道子(田代女先生)、大塚美枝子(音楽の先生)、藤原赫子(看護婦)、水梨民子(ある家の女中)、波多野憲(高校教員)、星野和正(警官)、三崎千恵子(ミヨシの伯母)、執印恒幸(ケブ)、君島英昭(ヨータン)
『サムライの子』
1963(昭和38)年日活作品/94分・モノクロ
企画:大塚和 原作:山中恒 脚色:今村昌平 監督:若杉光夫 撮影:井上莞
紋別で祖母と暮らしていたユミだが、祖母が亡くなったのを機に、「熊の出る開拓で仕事はできない」と逃げ出した父親に引き取られ、小樽に引っ越すことになった。父は小樽では市営住宅に住む事が出来ると言い、喜ぶユミだが、着いたそこは“サムライ部落”と呼ばれているボロ長屋。そこで新しい母親とその赤ん坊を紹介される。近所に住んでいる青年・マキタに、ここに住んでいることは学校では言わない方が良い、と忠告され・・・。
1960年に発表された小樽出身の児童文学作家で、大林宣彦監督『さびしんぼう』、『はるか、ノスタルジィ』の原作も手がけた山中恒(ひさし)による同名作が原作。
舞台となるのは“サムライ”と呼ばれた部落街で、戦前から札幌をはじめ道内に点在していた、主として本州から開拓を目的にやってきた人々が流れ辿り着いたと言われる細民街である。戦後は引揚者や職を持たない人々も住み着くようになり、1969年の札幌オリンピック開催決定を機に行政が撤廃へと働きかけ、やがて消失した。画中に登場する部落は、戦中に暁部隊の兵舎があった場所に作られた小樽市営の部落だと触れられている。
脚本は今村昌平によるもので、学校や地域で差別されながらも、素直な心で周囲を照らしながら、明るく生きる少女を主人公に据えるなど『にあんちゃん』(1959/今村昌平)、『キューポラのある街』(1962/浦山桐郎)の系譜にあたる作品となっている。
監督は加藤泰と大映京都の同期で、レッドパージを経て日活に移り、劇団民藝の演出家もつとめた若杉光夫。
撮影には小樽花園小学校の雨天体育場を利用し、札幌に拠点を置くほりぞんとぐるーぷによる壮大なセットが組まれ、地元の小学生やアマチュア劇団も参加、地域密着型の撮影が効果を生んでいる。
なお、原作小説は映画化だけでなく、つのだじろうが漫画化し、1962年に少女雑誌『なかよし』に連載された。
本作と『競輪上人行状記』(1963/西村昭五郎)の演技で、南田洋子はその年のブルーリボン助演女優賞を受賞し、女優としてのターニングポイントを迎えた。
http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/
島津香蘭@シネフィル編集部