映画『ミケランジェロ・プロジェクト(原題: The Monuments Men)』

『オーシャンズ』シリーズなどのジョージ・クルーニーが、製作・監督・脚本・主演をこなした第2次世界大戦中の実話を映画化した実録サスペンス。

ヨーロッパ各国に侵攻したナチスドイツが歴史的に重要な美術品の略奪を繰り返していた第2次世界大戦下、ルーズベルト大統領から建造物や美術品を保護する任務を託された美術館館長が、7人の美術専門家で構成される特殊チーム「モニュメンツ・メン」を結成し、危険な状況下で美術品保護のための作戦を遂行していく様を活写していく。

『ボーン』シリーズなどのマット・デイモン、『アビエイター』などのケイト・ブランシェット、『ロスト・イン・トランスレーション』などのビル・マーレイ、ジョン・グッドマン、ジャン・デュジャルダンら実力派スターが共演。彼らが繰り出す重厚で濃密な物語もさることながら、戦下での壮絶な戦闘を描写したアクションも見もの。

日本公開が危ぶまれたけれどやっと公開できて良かった。新しい切り口の戦争映画だね。
描かれ尽くした第2次世界大戦を独特の視点とタイミングで切り取ってて新鮮。そもそも戦争経験のないおっさんらが美術品保護のために戦場に行って命をかけて闘うというストーリーも面白い。常連のマット・デイモンから初参加のビル・マーレイまで集まった“オーシャンズ”的チームプレイも素晴らしくて、楽しい。ベテラン勢の演技は味わい深くて安心して観ていられる。

家具の陰に並ぶ名画や山積みされた美術品には鳥肌が立つほど圧巻だ。ただ美術品の重要性や登場人物たちの美術愛について深く描き切ってないのがもったいない…。音楽も素晴らしかったなあ。軽快で美しく、印象に残るオープニング。中盤の家族から贈られたレコードをかけるシーンや、クリスマスの名曲がかかるシーンはとにかく美しくて印象的で胸が熱くなった。エンドロールも感動的。好きだなあ。
ああ、個人的にはケイト・ブランシェットのフランス訛りも良かった。ジョージ・クルーニーが序盤にさらっと絵画や彫刻などの美術品のみならず、人々が築き上げた文化そのものを守り、それを遺して伝えて行くことの重要性について語るんだけれど、それが今作のメッセージだと思うんだけれど、そういった文化的な主張がどこまで伝わってるのかなあ…。結婚生活も落ち着いて自分の製作会社で気の置けない仲間たちと気楽にサクッと作ったといった感じか。とはいえ、これまでの戦争モノにはない切り口で歴史の裏で起こっていた真実を伝えた秀作と言えるだろう。

シネフィル編集部 あまぴぃ

映画『ミケランジェロ・プロジェクト』予告編

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