『第28回東京国際映画祭』(TIFF)のクロージングセレモニーが10月31日、都内で行われ、東京グランプリに、実在した女医を描いたブラジルの映画『ニーゼ』が受賞した。この作品で、最優秀主演女優賞も獲得で2冠。審査員特別賞は『スリー・オブ・アス』観客賞は『神様の思し召し』に決定。期待された、日本勢は、残念ながら受賞ならなかった。

  (C)2015 TIFF

東京グランプリ&最優秀女優賞『ニーゼ』

http://www.hollywoodreporter.com/review/nise-heart-madness-nise-o-833107

ホベルト・ベリネール監督

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東京グランプリ『ニーゼ』


ブライアン・シンガー審査委員長のコメント
「作品をつくるにあたって、とにかくその作がファンタジーであろうと、実話に基づいたものであろうと観た観客が本当だと思うということが本当に大事だと思います。それを考えた時に、この作品は、本当にその要素が 全部含まれていました。寂しさもあり、ユーモアもあり、そして最終的には勝負もあり、この作品に決めまし た。 個人の意見として、今回グランプリに「ニーゼ」に決まって本当に嬉しく思います。何故かというと、自閉症 の子供たちのバスドライバーをした経験があります。そうゆう意味でこの映画は私の心を打つ映画でした。そ して、もう一つ皆さんに言いたいことは、グランプリ作品の審議には長い時間がかかりました。素晴らしいフ ィルムメーカーの皆さま、素晴らしい演技者がいる中で、たったの6賞しかないことが残念です。 個人的な友人イーサン・ホークも非常にいい演技をしたと思いますし、「地雷と少年兵」の少年兵たちなど、 皆すごくいい演技をしていました。そして特に、「ニーゼ」に登場する犬の演技も最高でした。動物に演技を させる難しさが私にはよくわかるので、犬の素晴らしい演技に賞を差し上げたかったくらいです。映画祭の中 で、この審査員達と映画を観たりランチをしたり、素晴らしい時間を過ごしたことを皆さんに報告したいと思 います。東京の皆さん、日本の皆さん、本当にありがとうございました。」

ホベルト・ベルリネール監督のコメント
「時々自分が、特別なことをしていると感じる時があります。まさにこの作品をつくっている時にそう感じました。でもそれ以上に私にとって大変な経験になりました。病院の精神科の患者と5ヶ月程一緒に過ごし、そし て彼らは私たちと一緒に撮影に付き合い、そしてスタッフにもなり、キャストの一員にもなったわけです。こ ういった体験が私の人生を変えました。それは、この映画の中に全部出ています。もっともっと言いたいこと はたくさんありますが、この映画を観て頂ければ、全部感じて頂けると思います。日本が本当に大好きです。 皆さんに感謝をしています。ありがとうございました。」

ホベルト・ベリネール監督

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受賞したホベルト・ベリネール監督は、制作に13年かけたことを明かし、これまでの苦労を明かした。
また、審査委員長のブライアン・シンガー監督は「作品がファンタジーであろうと実話であろうと、観客が本当だって思えることが大切。その要素が含まれていた」と評価。

審査員特別賞『スリー・オブ・アス』

【コンペティション】『スリー・オブ・アス』予告編

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最優秀監督賞&WOWOW賞『カランダールの雪』

【コンペティション】『カランダールの雪』予告編

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観客賞『神様の思し召し』

Se Dio Vuole Trailer Ufficiale (2015) - Alessandro Gassman, Laura Morante Movie HD

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日本映画スプラッシュ部門 作品賞『ケンとカズ』

【日本映画スプラッシュ】『ケンとカズ』予告編

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マーク・ペランソン審査員のコメント(審査員がコメント)
「審査員として、日本映画スプラッシュの映画を思う存分観させて頂く機会を頂き、誠に感謝しております。会 期中、皆さんと素晴らしい時間を過ごす事ができ、作品に関して色々な話をする事が出来ました。ノミネート された作品、全てを楽しむ事ができ、中にはエンターテイメント性の高いもの、感動を与えてくれるものもあ りました。賞に選ばれなかった作品も含めて大変面白い作品が沢山ありました。今回のノミネート作品すべて に将来性を感じ、際立った演技力・質の高さを感じました。今回受賞した作品に関しては特にそうです。この
作品の二人の主演の社会における生き方、また、個人としてのそれぞれの生き方にメタファーを感じました。 この主演二人のデビュー作となりますが、精神的な葛藤や、複雑な気持ち、運命に翻弄されるキャラクターを 見事に捉えていたと思います。短い時間のストーリー展開で正確な編集をこなしていますし、この若い監督は カメラワークで主人公たちの悩みを捉え、二人の悲しい旅をシェイクスピアの様に描いております。」
日本映画スプラッシュ部門作品賞『ケンとカズ』

小路紘史監督のコメント
「この作品は本当に多くの方々の善意で最後まで作りました。スタッフやキャスト、そしてその家族、本当に「あ りがとう」と言いたいです。そして、最後までついてきてくれた主演の二人にも本当に「ありがとう」と言い たいです。この作品は、やっと一歩を踏み出したと思っています。そして、この賞に恥じないように頑張って いきたいと思います。」

その他受賞は、下記のとおり

【受賞作一覧】
東京グランプリ/『ニーゼ』
審査員特別賞/『スリー・オブ・アス』
最優秀監督賞/ムスタファ・カラ『カランダールの雪』
最優秀女優賞/グロリア・ピレス『ニーゼ』
最優秀男優賞/ローラン・モラー、ルイス・ホフマン『地雷と少年兵』
最優秀芸術貢献賞/『家族の映画』
WOWOW賞/『カランダールの雪』
観客賞/『神様の思し召し』
アジアの未来 作品賞/『孤島の葬列』
国際交流基金アジアセンター特別賞/『告別』
日本映画スプラッシュ部門 作品賞/『ケンとカズ』