2015年10月10日(土)より2016年1月31日(日)まで、三菱一号館美術館において、三菱一号館美術館 開館5周年記念「プラド美術館展―スペイン宮廷 美への情熱」が開催されています。

エル・グレコ 《受胎告知》 1570-72年 油彩・板 26.7×20cm プラド美術館蔵
© Archivo Fotográfico, Museo Nacional del Prado. Madrid.

アントン・ラファエル・メングス《マリア・ルイサ・デ・パルマ》 1765年  油彩・カンヴァス 48×38cm プラド美術館蔵

18世紀のヨーロッパでは、それまで王侯貴族や聖職者など一部の限られた人びとのものであった芸術を、大衆のものにするという考えが急進的に発達し、スペインにおいては1819年に王立美術館としてプラド美術館が開館します。その大きな特徴は、徴用した作品ではなく、王室コレクションを中核として設立された点にあります。そのため、プラド美術館は世界中の全ての時代、国籍、流派、芸術運動などを網羅した百科全書的なものとは性格を異にし、独特のコレクションを有する個性豊かな美術館として発足しました。

このコレクションは、15世紀にカトリック両王がフランドル美術を愛好し、所蔵したことを起源とし、歴代の王たちはそれぞれの嗜好に合った画家を庇護し、また、作品を購入、蒐集していきました。その後、1700年にスペイン・ハプスブルク王家の最後の王カルロス2世が崩御し、ブルボン王朝が樹立されると、本国フランスから画家が呼び寄せられるなど、嗜好に変化が表れます。このように、プラド美術館を生み出したのは、15世紀以降のスペインを統治した歴代国王の美術に対する情熱や、蒐集における個性的な嗜好でした。プラド美術館は世界でも有数の美術館ですが、それは規模や収蔵品の多種性に由来するものではなく、コレクションに一貫して存在する美術への情熱によるもので、網羅性よりも濃密さにおいて秀でています。

そのコレクションは現在、約7600点の絵画、約1000点の彫刻、約4800点の版画、約8200点の素描、そして膨大な数の芸術作品・歴史にまつわる文書から成り、プラド美術館は世界でもっとも重要な美術館のひとつであり続けています。

ヒエロニムス・ボス《愚者の石の除去》1500-10年頃 油彩・板 48.5×34.5cm プラド美術館蔵
© Archivo Fotográfico, Museo Nacional del Prado. Madrid.

本展覧会は、2013 年に国立プラド美術館で開催され、2014 年にバルセロナに巡回した、 プラド美術館所蔵品による展覧会 La belleza encerrada (Captive Beauty) を再構成 したものです。

本展覧会の会場は、以下の 7 つの章に分類・構成されています。
I  中世後期と初期ルネサンスにおける宗教と日常生活
II  マニエリスムの世紀:イタリアとスペイン
III  バロック:初期と最盛期
IV  17 世紀の主題:現実の生活と詩情
V  18世紀ヨーロッパの宮廷の雅
VI  ゴヤ
VII  19世紀:親密なまなざし、私的な領域

マリアノ・フォルトウーニ・イ・マルサル《日本式広間にいる画家の子供たち》1874年 油彩・カンヴァス44×93cm プラド美術館蔵
© Archivo Fotográfico, Museo Nacional del Prado. Madrid.

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ《ロザリオの聖母》1650-55年 油彩・カンヴァス 166×112cm
プラド美術館蔵
© Archivo Fotográfico, Museo Nacional del Prado. Madrid.

下の2枚の絵、左下の小さい方が右の大きな絵の下絵です。しかし、その下絵を描いたのはバロック期を代表する画家ルーベンス。絵の大きさに関係なく、迫力が感じられます。このようなユニークな展示も多く見られます。

左下:ペ ー テ ル・パ ウ ル・ル ー ベ ン ス[ 1 5 7 7 年 - 1 6 4 0 年 ] 《アポロンと大蛇ピュトン》
1636-37年 油彩、板 26.8×42.2 cm 狩猟休憩塔(トーレ・デ・ラ・パラーダ )の装飾用下絵(ボツェット) 1889 年にパストラーナ公爵未亡人より寄贈
Peter Paul Rubens 《Apollo and the Serpent Python》 © Archivo Fotográfico, Museo Nacional del Prado. Madrid.
右:コ ル ネ リ ス・デ ・フ ォ ス[ 1 5 8 4 年 頃 - 1 6 5 1 年 ] 《アポロンと大蛇ピュトン》
1636-38年 油彩、カンヴァス 188×265 cm
ルーベンスの下絵(ボツェット)に基づく狩猟休憩塔 (トーレ・デ・ラ・パラーダ )のための完成作
王室コレクション
Cornelis de Vos 《Apollo and the Serpent Python》© Archivo Fotográfico, Museo Nacional del Prado. Madrid.

本展では、歴代スペイン国王による偉大なコレクションの中から、スペイン3大画家ともいわれるエル・グレコ、ベラスケス、ゴヤを始めとして、フランドルの奇才ボスや巨匠ルーベンス、「スペインのラファエロ」とも称されるムリーリョなど、ヨーロッパ史を彩った名だたる名匠たちの作品群が一堂に会します。保存の難しい板絵などの極めて貴重な作品の繊細で緻密な表現を、三菱一号館美術館でぜひ、お楽しみください。

開催概要

展覧会名:「プラド美術館展 ―スペイン宮廷 美への情熱」
会  期: 2015年10月10日(土)~2016年1月31日(日)
開館時間: 10:00~18:00(金曜、会期最終週平日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日: 月曜休館(但し、祝日の場合、12月28日、1月25日開館) 年末年始休館:12月31日、1月1日
主  催: 三菱一号館美術館、プラド美術館、読売新聞社、日本テレビ放送網
後  援: スペイン大使館  スペイン大使館
協  賛: 大日本印刷、清水建設、三菱商事
協  力: KLMオランダ航空
お問い合わせ: 03-5777-8600(ハローダイヤル)

ショップに飾られたポストカード。photo©cinefil

ポストカードはお得な2枚組で、一枚は部分の拡大図になっています。photo©cinefil

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ご提供組数 5組10名様

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「プラド美術館展 ―スペイン宮廷 美への情熱」チケットプレゼント係宛てに、メイルでご応募ください。
抽選の上10組20名様に、記名ご本人様のみ有効の、チケットをプレゼントいたします。
チケットは、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メイルアドレス

info@miramiru.tokyo

応募締め切りは2015年11月30日 月曜日
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