野島孝一の試写室ぶうらぶら シネフィル版 第25回 」「カプチーノはお熱いうちに」「天使が消えた街cinefil連載-cinefil

「カプチーノはお熱いうちに」「天使が消えた街」

「カプチーノはお熱いうちに」は傑作！
フェルザン・オズペティク監督のイタリア映画。
＜ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞＞では１１部門にノミネート

「カプチーノはお熱いうちに」はロマンチック・コメディのようなタイトルだが、実は人生の哀歓をつづったなかなかの傑作だ。
フェルザン・オズペティク監督のイタリア映画で、＜ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞＞では１１部門にノミネートされた。

イタリア南部の小さい町で、カフェのウェイトレスのエリーナは、雨宿りしていて自動車修理工のアントニオと知り合う。
エリーナは横柄で人種偏見もあるアントニオのような男は許せないと感じていた。アントニオはエリーナのウェイトレス仲間シルヴィアの恋人だった。エリーナにも恋人がいた。それなのに、全然つり合いが取れないと思われた二人は恋に落ちてしまった。

それから幾星霜。二人は結婚して子供もできたが、熱が冷めていた。
そんなとき、エレーナが乳がんと診断される。

普通の闘病映画と違うのは、過去と現在の時間差を圧縮したような編集が、鮮やかに決まっているところだろう。
ジャンプ・カットのような画像処理がうまい。
ロマンスあり、倦怠あり、家族愛あり。
人生の凝縮のような味わいが感じられる。

ザジフィルム配給。秋、シネスイッチ銀座公開。

追加上映情報
11月7日(土)より2週間、キネカ大森での上映が決定！！

「天使が消えた街」は」マイケル・ウィンターボトム監督のイギリス・イタリア・スペイン合作映画

「天使が消えた街」は」マイケル・ウィンターボトム監督のイギリス・イタリア・スペイン合作映画。
この映画はイタリアのペルージャで実際に起こった、留学生殺人事件を基にしている。
２００７年に、イギリス留学生のメレディスという女性が殺され、ルームメイトのアメリカ人留学生アマンダ・ノックスと、恋人のイタリア男性が容疑者として逮捕された。

アマンダが美しい女性だったため、メディアが異常なほどに関心を寄せ、大騒ぎになった。
映画は場所をトスカーナのシェナに変えているが、マスコミの異常な実態を明らかにしている。

アメリカ人映画監督のトーマス・ラング（ダニエル・ブリュール）は、映画化のリサーチのために控訴審に沸くシェナを訪ねる。

一審では有罪判決を受けたアマンダらは、実際に殺人を犯したのかどうかどうかわからず、無罪を主張していた。トーマスは監督業がうまくいかず、岐路に立たされていた。
ローマでアメリカ人ジャーナリストのシモーン（ケイト・ベッキンセール）に再会したトーマスは、フィクション映画として撮ることを勧められる。
そしてシェナでは天使のような女子大生メラニー（カーラ・デルヴィーニュ）に出会う。

虚実を取り混ぜたウィンターボトム監督の手法は変幻自在。
この映画は作り方によっては、社会派サスペンスにもラブロマンスにもなりうるが、偏った作りはしていない。結局はトーマスの監督挫折という、ほろ苦さだけが残った気がする。

ブロードメディア・スタジオ配給。９月５日ヒューマントラストシネマ有楽町。

イタリア犯罪史上最も国際的な注目を浴びた、実際の事件「ペルージャ英国人女子留学生殺害事件（アマンダ・ノックス事件）」を、イギリスの名匠マイケル・ウィンターボトム監督が映画化した本作。
出演はダニエル・ブリュール、ケイト・ベッキンセイル、カーラ・デルヴィーニュら。

公開時のトークショーの模様はこちら。

また、１１月７日から始まる、広島他の上映スケジュールのサイトもあります。

シネフィル編集部

京都みなみ会館

上映スケジュール | 広島の映画館サロンシネマ、シネツイン、八丁座

コラム～野島孝一の試写室ぶうらぶら～シネフィル篇
野島孝一さんてこんなひと
■略歴
1941年、新潟県柏崎市の自宅誕生。
1964年、上智大学文学部新聞科をどうにかこうにか卒業。
そして、あの、毎日新聞社に入社。
岡山、京都支局を経て東京本社社会部、学芸部へ。
なんと、映画記者歴約25年！
2001年、毎日新聞定年退職。
その後、フリーの映画ジャーナリストになって大活躍。
■現在
日本映画ペンクラブ幹事
毎日映画コンクール選定委員、毎日映画コンクール諮問委員
アカデミー賞日本代表作品選考委員
日本映画批評家大賞選定委員
■著書
日本図書館協会選定図書
映画の現場に逢いたくて
ザ・セックスセラピスト THE SEX THERAPIST
野島 孝一　著