「EDEN」「踊るアイラブユー」

「EDEN」はミア・ハンセン=ラヴ監督のフランス映画

「EDEN」はミア・ハンセン=ラヴ監督のフランス映画。
監督の兄で、この映画の共同執筆者のスヴェン・ハンセン=ラヴが20年間ディスコDJをしてきた経験を踏まえた内容になっている。

大学生の主人公ポール(フェリックス・ド・ジヴリ)は、親友とDJチーム「Cheers」を結成。パリのクラブで評判になる。
しかし麻薬の乱用で生活のリズムが乱れ、恋人ともうまくいかなくなる。
そうこうするうちに親友が自殺。そして最新のクラブシーンの変化に乗っていけなくなる。

映画『EDEN/エデン』 予告編

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ポールらが熱中したのは、ガラージまたはガラージュと呼ばれるディスコミュージック。
この映画の魅力のひとつが、ディスコシーンで劇場が震えそうな低音のビートが頭をからっぽにする。
とにかく次々に繰り出される90年代のガラージの迫力には降参するしかない。
2000年代に入った後半部分は、悔悟と挫折の日々。何やらアリとキリギリスのよう。
それでも希望の光が射しているのが何より。
こういう映画はアメリカ映画しかないと思っていたから、フレンチポップスの奥深さに瞠目した。


131分の長編。ミモザフィルム配給。9月新宿シネマカリテ。

「踊るアイラブユー」はミュージカルで、しかも大ヒットしたポップスの名曲ばかりをアレンジ


「踊るアイラブユー」はミュージカルで、しかも大ヒットしたポップスの名曲ばかりをアレンジしてある。こんなの許されるのかと思うぐらい。もっともお金の問題だろうけど。

たとえばマドンナの「ホリディ」、バナナマラの「ヴィーナス」、シンディー・ローパーの「ハイスクールはダンステリア」等々。
もっとも歌うのは映画の主演者たち。

映画『踊るアイラブユー♪』予告編

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物語は南イタリアの美しい海岸の街プーリアで繰り広げられる。
3年前にこの土地で恋人と別れたテイラー(ハンナ・アータートン)。姉のマディ(アナベル・スコーリー)が結婚するというので、久しぶりに事地を訪ねる。

なんと姉の結婚相手とは、テイラーの別れた恋人ラフ(ジュリオ・ベルーチ)だった。テイラーは今も彼が忘れられないが、姉のためラフとは初対面のふりをする。

こんな恋愛模様が、80年代の名曲を巧みにアレンジしながら進展していく。
映画の出来はそこそこというところだが、音楽プロデューサーは「フル・モンティ」でアカデミー賞作曲賞受賞のアン・ダッドリー。
イギリス映画とは思えないほど、軽いロマンチックなミュージカルで楽しませてくれる。

ファントムフィルム配給。7月10日TOHOシネマズシャンテ。


コラム~野島孝一の試写室ぶうらぶら~シネフィル篇
野島孝一さんてこんなひと
■略歴
1941年、新潟県柏崎市の自宅で助産婦にとり上げられ誕生。
1964年、上智大学文学部新聞科卒業。
そして、あの、毎日新聞社に入社。
岡山、京都支局を経て東京本社社会部、学芸部へ。
なんと、映画記者歴約25年!
2001年、毎日新聞定年退職。
その後、フリーの映画ジャーナリストになって大活躍。
■現在
日本映画ペンクラブ幹事
毎日映画コンクール選定委員、毎日映画コンクール諮問委員
アカデミー賞日本代表作品選考委員
日本映画批評家大賞選定委員
■著書
日本図書館協会選定図書
映画の現場に逢いたくて
ザ・セックスセラピスト THE SEX THERAPIST
野島 孝一 著