会場風景-村田峰紀作品- photo(C)cinefil art review

北九州で現代美術の表現活動をしている森秀信です。
これから「ART@Kyushu」と称して、主に九州・山口地域の展覧会告知や、展評をしていきます。
九州は古くより大陸の玄関口として栄え、日本画では大分の豊後南画に代表されるように、独特の文化圏を築いています。その一端を、ほんの少しでも見ていただければと思います。

第1回 手術台での展覧会、パフォーマンスアートの現在。
QMAC企画展第11弾「漂着」2015年10月3日-12月20日-cinefil art review


1回目は、北九州市八幡東区にあるユニークなアートスペース「operation table」での、パフォーマンスを主に活動しているアーティストの活動に焦点をあてた、展覧会「漂着」の紹介です。
「operation table」はその名の通り、手術台が残る元動物病院のアートスペースですが、2011年4月に開設以来、狩野哲郎展など、計10回の企画展を開催しています。

パフォーマンスアートは日本のアバンギャルディズムとして、海外ではよく紹介されている1950年代の具体や、1960年代のハイレッドセンターなどが広く知られています。
身体表現としてはその場限りのものですが、展覧会を単なるドキュメンテーションとして捉えずに、漂流する思考のかたちとして感じてもらう、6名のパフォーマンスアーティストを紹介する展覧会です。

潘逸舟によるオープニングパフォーマンス「呼吸」  photo(C)operation table

会場風景-松野真知作品-  photo(C)cinefil art review

坂井存、友清ちさと、潘逸舟(はんいしゅう)、松岡涼子、松野真知、村田峰紀
6名のパフォーマンスアーティスト

世界各地を渡り、近年では福島でタイヤのチューブを抱えたパフォーマンスで知られる坂井存、福岡県津屋崎で開催された展覧会と会場を結びつける、友清ちさと。
展覧会のオープニングでのパフォーマンス「呼吸」をした、上海生まれの潘逸舟(はんいしゅう)、様々なアーティストとコラボレーションし、今回は画家生島国宜とコラボレーションした舞踏家の松岡涼子、牧場での労働活動と身体表現を重ね合わせる松野真知、最後に身体を酷使し、強い緊張感で周囲を結ぶパフォーマンスで知られる、村田峰紀。

operation table会場風景  photo(C)cinefil art review

こういったアーティストの記録映像や、パフォーマンスの痕跡となるオブジェ類や物体が、空間に美しく並べられ、整然としたなかに、一つの美しい哲学のようなものを垣間みることができます。


また参加アーティストはそれぞれ年齢、国内での活動地域も異なりますが、過激なパフォーマンスで知られる、1960年代から続くウィーン・アクショニストの精神性がかたちづくる神話のようなものとは全く違う、現在の日本のパフォーマンスの文脈を素直に感じ取れます。


村田峰紀が小倉城近くで、10月4日にパフォーマンスをしました。ホームページに告知予定になりますが、会期中に各アーティストがパフォーマンスをするのも見逃せません。

森秀信 -cinefil art review

小倉城での村田峰紀のパフォーマンス  photo(C)operation table

QMAC企画展第11弾「漂着」 概要
会  期:2015年10月3日(土)-12月20日(日)
時  間:11:00–18:00、土日のみオープン
     ※平日は予約制:090 7348 8169
入場料:無料
会  場:operation table 福岡県北九州市八幡東区東鉄町8-18
     phone 093-651-1215, 090-7384-8169
     e-mail info@operation-table.com
出品アーティスト:坂井存、友清ちさと、潘逸舟(はんいしゅう)、松岡涼子、松野真知、村田峰紀
公式サイト:http://operation-table.com

森秀信 プロフィール

1966年長崎市生まれ。
1991年武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻修了後、現代美術センターCCA北九州リサーチプログラム修了。
主に現代美術の創作活動の他、展覧会のキュレーションやワークショップの企画を担当。
専門は現代美術。