これは、是枝裕和監督の、面白いインタビュ―ですね(特に前半)。
ただ、是枝監督、良心的でいい映画を撮る監督さんだとは思いますが、
『そして父になる』は、予想通りの展開すぎて、
どうなのかなぁ…とは思いました。

映画作りと会社の仕事は似ている
映画監督・テレビディレクター 是枝裕和さん(1)
川島 蓉子
>>バックナンバー2015年9月18日(金)1/3ページ
「総合商社って、何をする会社か知らなかった」
川島:是枝さんには、この4月から、伊藤忠商事の企業広告の企画・制作をお願いしています。
   作っていただいた広告について、多くの社員から、
  「あの是枝監督が、うちの会社のコマーシャルを手がけている」
  と、驚きや喜びの声が寄せられていて
「お願いして良かった」
と、心から感謝しています。
(映像:伊藤忠商事広報部フェイスブックページより:)


©写真:鈴木愛子

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/252773/090900005/?n_cid=nbpnbo_nb_fb

是枝裕和(これえだ・ひろかず)


映画監督・テレビディレクター
1962年、東京生まれ。87年に早稲田大学第一文学部文芸学科卒業後、テレビマンユニオンに参加。主にドキュメンタリー番組を演出。
14年に独立し、制作者集団「分福」を立ち上げる。
主なテレビ作品に、水俣病担当者だった環境庁の高級官僚の自殺を追った「しかし…」(91年/フジテレビ/ギャラクシー賞優秀作品賞)などがある。
95年、初監督した映画『幻の光』(原作 宮本輝、主演 江角マキコ・浅野忠信・内藤剛志)が、第52回ヴェネツィア国際映画祭で、金のオゼッラ賞等を受賞。
04年、監督4作目の『誰も知らない』が、カンヌ国際映画祭にて、映画祭史上最年少の最優秀男優賞(柳楽優弥)を受賞し、話題を呼ぶ。
13年、『そして父になる』で、第66回カンヌ国際映画祭審査員賞他国内外の賞を多数受賞。
2015年6月13日より最新作『海街diary』公開。
(写真:鈴木愛子、以下同)

ーーー中略ーーー
川島:さて、ちょっと本題からずれちゃいましたが、伊藤忠商事という企業は、是枝さんからどう   見えました?
是枝:その質問に答える前に、話しておくことがあります。
   今回の広告は、入社したばかりの社員を主役に据え、彼ら彼女らの目を通して、社内を描く   ことを意図しました。
川島:なぜですか?
是枝:覚えてます? 最初のミーティングで、川島さん、僕に「総合商社って何をする会社かご存   じですか?」って質問したでしょ。
   あの質問がきっかけだったんです。
川島:えっ、どうして?
是枝:そう聞かれた時、僕は、はっと気づいたんです。
   「俺、総合商社ってどんな仕事をしているのか、全く知らないぞ」って。
   そして、
  「知らないことを知ったかぶりをして映像化することはできない」
   と思ったのです。
   だから、総合商社を知らないという無知を受け入れた上で、どう撮るかを考えました。
   僕みたいに総合商社のことをよく知らない人の目を通して、総合商社ってどんなことをして   いて、どんなキャラクターの会社なのかを描けば、コマーシャルを見る、一般のテレビ視聴   者に、ぐっと伝わるんじゃないか。
   じゃあ、総合商社のことを全く知らない関係者って、誰だ? 
   新入社員じゃないか! 
   という経緯で、コマーシャルのコンセプトが決まっていったんです。
川島:新入社員のオーディションもやりましたね。
是枝:新人の方々を、入社前に面接しました。
   正式に社員になる前の人たちを、企業広告にキャスティングする。
   結構、斬新なことなので、
   クライアントである伊藤忠商事が躊躇するかな、とも思ったんですが、認めていただきまし   た。
川島:いざ、どの新入社員をキャスティングするのかを決める段階で、けっこう厳しい議論にもな   りましたね。
   会社側からすれば、非の打ち所のない、優等生的な人間を推したい。
   でも、是枝さんの方はというと……。
是枝:優等生ばっかりじゃつまんない(笑)。
   もちろん、優秀な新入社員を見せたい、というのは企業として当たり前の感覚です。
   ただ、優等生ばかりを取り上げちゃうと、伊藤忠さんの魅力を、僕が思い描いた広告のかた   ちで、体現できなくなっちゃう。
川島:是枝さんの撮りたい人と会社側が出したい人がずれて、意見が拮抗する場面もあって、ちょ   っと冷や冷やしました。
   でも、最終的には是枝さんの意見が……。
是枝:通していただきました。
   こういうコマーシャルの場合、普通は僕が折れるしかないわけです。
   ただ伊藤忠商事さんの場合、意図するところをきっちり説明したら、理解してくださった。
   会社の中にカメラが入っていくわけですから、
   ここはいけない、あそこはいけないと、企業側は守りの姿勢に入りがちになります。、、、

仁科 秀昭
:天井桟敷、東宝撮影所などの美術スタッフを経て、
現在はミュージアムプランナーとして、活躍中。