シネフィル映画短評 第88回 『バレエボーイズ』

映画『バレエボーイズ(原題: Ballettguttene)』

ノルウェーでプロのバレエダンサーを目指す3人の少年たちの友情と成長を4年間にわたって追った青春ドキュメンタリ。

ノルウェーの首都オスロでバレエスクールに通う3人の少年、ルーカス、トルゲール、シーベルト。時にじゃれ合ったり、女の子の話題で盛り上がったりと少年らしさを覗かせながらも、夢に向かってたゆまぬ努力を続けていく彼らの12歳から16歳までの貴重な4年間を丁寧に追いかける。
ある日、ルーカスだけがイギリスの名門ロイヤル・バレエスクールから招待を受ける。
3人は16歳という多感な時期にこれからの人生を大きく左右する選択を突きつけられる。希望と葛藤に満ちた少年たちの輝かしい青春の日々を躍動感溢れるバレエの映像と共に映し出していく。

彼らの夢や希望、厳しい現実や挫折が盛りだくさんの成長物語に引き寄せられる。
もうね、眩しいの、顔を背けたくなるくらい眩しいの。一生懸命に夢を追う彼らの姿がキラキラと眩しいの。心も身体も変化する“少年期”“少年時代”特有の美しさや切なさ、儚さがキラキラと眩しいの。75分と物足りない尺だけれど、踊りのシーンが少ないのが淋しいけれど、ありのままな感じのする、とても良質なドキュメンタリ映画だ。
特に主人公ルーカスの姿に胸が熱くなった。プロになりたいっていう気持ちが揺らぎつつもピュアで真っ直ぐ。友人2人は踊り続けたいけれど何となく限界も見えていて、迷いつつ、逃げ道作りつつ…。

多感で不安定な時期だからこその葛藤や苦悩、不安が良く見えたし、踊れる喜びが全身から滲み出ていた。
一番美男子のルーカスはどんどん身長が伸びるし、声変わりはするし、バレエどんどん上手になって、顔もどんどん逞しくなっていった。いやぁ、リアルだ。音楽もオシャレで素敵ね。
彼らの今後が気になるなあ。どんなダンサーになるんだろう? 楽しみだ。
ボクは自分と真剣に向き合ってきただろうか? そんなことを思いながら、彼らのピュアな情熱に勇気付けられた。ボクもストレッチや柔軟やらなきゃなあとも思った。

シネフィル編集部 あまぴぃ