第18回「マッドマックス 怒りのデスロード」「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」
「グローリー ―明日への行進―」

「マッドマックス 怒りのデスロード」を木場のIMAXシアターで、3D方式で鑑賞

「マッドマックス 怒りのデスロード」を木場のIMAXシアターで、3D方式で鑑賞することができた。
メル・ギブソンを主役に起用し、世界的に大ヒットさせた「マッドマックス」のシリーズ3本を監督したジョージ・ミラー監督が、満を持して世に問う最新作。

映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』特報

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石油も水も尽きかけた荒廃した世界。
元警官のマックス(トム・ハーディ)は資源を独占し、恐怖と暴力で大衆を操るイモータン・ジョーの軍団に捕まり、ジョーの女たちと逃げたフュリオサ(シャーリーズ・セロン)を追うはめになる。

自由を得たマックスは、フュリオサや女たち、そして仲間になったニュークス(ニコラス・ホルト)とともに、理想郷へと突っ走るが…。

これをIMAX劇場で見たのは大正解。
改造車やバイクが数百台も爆走する場面の迫力たるや信じがたいほどの強烈パンチ。
特に棒高跳びのようにポールにブル下がり襲ってくる、白塗りのウォーターボーイズの映像は、これまで見た映画の域を超えている。
大画面と3Dには圧倒されること確実。
スキンヘッドにしたうえ、片手が義手のシャーリーズ・セロンがまさに圧巻。
CGをほとんど使わず、スタントマンの演技を最大限に引き出したナマの映像には頭が下がる。

ワーナー配給。6月20日公開。

マッドマックスを演じたトム・ハーディ主演の
「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」

マッドマックスを演じたトム・ハーディ主演の「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」も非常にユニークな映画で、スティーヴン・ナイト監督の独自性な手腕には感服させられた。
「イースタン・プロミス」などでエネルギッシュな映像に定評がある監督。

「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」予告編

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画面に出てくるのは運転をするトム・ハーディだけ、という思い切った手法。
それなのに飽きさせないし、緊張でぐったりするほど。

主人公のアイヴァン・ロックは大手建設会社の現場責任者。
翌日は巨大ビルの基礎コンクリート打ちという大工事が控えている。
しかし彼は単身BMWの乗用車を運転し、はるか離れたロンドンまでハイウェイを疾走する。
なぜなのか。
それは彼が電話で話す内容で明らかにされていく。
妻子がある彼は、出張中に知り合った中年女性と、たった一晩のアバンチュールを楽しんだ。
その彼女が妊娠し、今夜出産することになった。
彼はその立ち合いに行くところだ。
職場を放棄したということで、会社はクビを宣告。妻は取り乱して離婚を言い渡す。

それでも、弱い立場で心細い思いをしている孤独な女性のために、彼はハイウェイを走る。
だれでも自分がかわいいから、嘘をついてでも自分を守ろうとする。
それなのにすべてを捨ててでも、人間の信義を守ろうとする男の姿に打たれる。
この映画の尺はサブタイトルと同じ86分。

アルバトロスフィルム配給。6月27日公開。

「グローリー ―明日への行進―」は、故マーティン・ルーサー・キングJr.牧師のセルマの行進(1965)の、実話を基にしたアメリカ映画。

「グローリー ―明日への行進―」は、故マーティン・ルーサー・キングJr.牧師のセルマの行進(1965)の、実話を基にしたアメリカ映画。
アカデミー賞作品賞にノミネートされ、主題歌賞を受賞した。

グローリー/明日への行進 本予告

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1964年にノーベル平和賞を受賞した、キング牧師(デヴィッド・オイェロウォ)は、ジョンソン大統領(トム・ウィルキンソン)に黒人の選挙権を保障する法案を要請するが、時期尚早と断られた。
アメリカ南部では、黒人が有権者登録をしようとしても阻止され、多くの黒人が白人の手で殺害されていた。
キング牧師は黒人差別が最もひどい、アラバマ州のセルマで運動を起こそうとするが、いきなり白人に殴られた。
キング牧師は無抵抗の行進を計画するが、人種隔離政策に固執するウォレス・アラバマ州知事(ティム・ロス)は、行進を禁止する。

わずか50年前のアメリカでは、このように野蛮な黒人排除の実態があったことを、改めて教えてくれる。
「マルコムX」は映画になったが、キング牧師はなぜか映画になっていない。
監督・製作総指揮のエヴァ・デュヴァネイは、黒人女性監督で、丁寧に事実を拾い集め、リアルに当時を再現している。
テレビの力で一挙に支持者が増えた行進が、橋を渡るシーンは感動すること必至だ。

ギャガ配給。6月19日公開。

野島孝一@シネフィル編集部

野島孝一の試写室ぶうらぶら 、オリジナル版は、アニープラネットWEBサイト
に掲載されています。
アニープラネットWEBサイト
http://www.annieplanet.co.jp/