次作を夢見ながら戦病死した、若き映画監督に対する残された同志からの精一杯の追悼

中国戦線で病没した山中貞雄追悼映画『天才脚本家 梶原金八』と『チャンバラが消えた日』関連上映、『その前夜』(1939)@京都文化博物館フィルムシアター

京都文化博物館フィルムシアター、『天才脚本家 梶原金八』と『チャンバラが消えた日』関連上映。7月30日は『その前夜』(1939)。
中国戦線で病没した山中貞雄追悼映画。

稲垣浩と二人で木屋町をぶらついている時に、山中が思いついた話が元ネタ。
「ここらへんにカメラを据えたら、ちょうど小橋の向こうに池田屋が見えるやろ・・・
題名は三条木屋町、維新の京洛をこの狭い一角で描くのや」
この雑談を元に、稲垣浩が第一稿をまとめ、鳴滝組の同人が脚本化。
監督は山中の愛弟子・萩原遼。前進座を中心にキャスティングも豪華。

池田屋騒動という歴史的事件を背景に、志士や新選組といった大義に命をはって生きる人ではなく、そんな乱世でも自分の事で精一杯の市井の若者の生きざまをあえて描く。

戦争という大義で散った、山中監督への追悼。

‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

(C)京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive
京都文化博物館フィルムシアター、『天才脚本家 梶原金八』と『チャンバラが消えた日』関連上映。7月30日は『その前夜』(1939)。山中貞雄監督。

京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

京都文化博物館フィルムシアター、『天才脚本家 梶原金八』と『チャンバラが消えた日』関連上映。7月30日は『その前夜』(1939)。
中国戦線で病没した山中貞雄追悼映画。稲垣浩と二人で木屋町をぶらついている時に山中が思いついた話が元ネタ。

(C)京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive
京都文化博物館フィルムシアター、『天才脚本家 梶原金八』と『チャンバラが消えた日』関連上映。7月30日は『その前夜』(1939)。山中貞雄監督。

「ここらへんにカメラを据えたら、ちょうど小橋の向こうに池田屋が見えるやろ・・・
題名は三条木屋町、維新の京洛をこの狭い一角で描くのや」

この雑談を元に、稲垣浩が第一稿をまとめ、鳴滝組の同人が脚本化。
監督は山中の愛弟子・萩原遼。前進座を中心にキャスティングも豪華。
池田屋騒動という歴史的事件を背景に、志士や新選組といった大義に命をはって生きる人ではなく、そんな乱世でも自分の事で精一杯の市井の若者の生きざまをあえて描く。

戦争という大義で散った山中監督への追悼。
‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

(C)京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive
京都文化博物館フィルムシアター、『天才脚本家 梶原金八』と『チャンバラが消えた日』関連上映。7月30日は『その前夜』(1939)。山中貞雄監督。

『その前夜』1939(昭和14)年東宝作品/87分・モノクロ
製作:武山政信 監督:萩原遼 原案:山中貞雄

『その前夜』
1939(昭和14)年東宝作品/87分・モノクロ

製作:武山政信 監督:萩原遼 原案:山中貞雄 脚本:梶原金八 撮影:河崎喜久三 

美術考証:岩田専太郎 美術:河東安英 録音:道源勇二 照明:西川鶴三 
編集:後藤敏男 音楽:太田忠

出演:河原崎長十郎(滝川仙太郎)、中村翫右衛門(彦太郎)、山田五十鈴(お咲)、
千葉早智子(藤堂芳江)、高峰秀子(おつう)、清川玉枝(おまさ)、助高屋助蔵(彦兵衛)、

中村鶴蔵(徳兵衛)、橘小三郎(安田東馬)、山崎進蔵[のちの河野秋武](疋田弥一郎)、市川莚司[のちの加東大介](茂木庄兵衛)、市川扇升(松永恭平)、市川進三郎(藤田伍八)、市川笑太郎(幸兵衛)、瀬川菊之丞(山崎丞)、阪東調右衛門(宮部鼎蔵)、市川章次(原田佐之助)、市川菊之助(ちょぼくれ侍)、今成平九郎(近藤勇)

(C)京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive
京都文化博物館フィルムシアター、『天才脚本家 梶原金八』と『チャンバラが消えた日』関連上映。7月30日は『その前夜』(1939)。山中貞雄監督。

明治の夜明けのも近い京都。

三条木屋町の宿屋・大原屋は、昔は栄えていたものの、今では近くの池田屋に押され、客といえば長逗留の滝川仙太郎だたひとり。

彼は立派な武士でありながら、絵を描きたいがために禄を離れ、毎日写生ばかりしているという変わり者。

いつものように絵筆を走らせていた仙太郎は偶然、新撰組が、池田屋に集結した勤王浪士たちに夜襲をかけるという情報を知る・・・。

(C)京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive
京都文化博物館フィルムシアター、『天才脚本家 梶原金八』と『チャンバラが消えた日』関連上映。7月30日は『その前夜』(1939)。山中貞雄監督。

次作を夢見ながら戦病死した、若き映画監督に対する残された同志からの精一杯の追悼

中国戦線にて病没した山中貞雄への追悼映画として東宝が企画。
原案に山中の名があるが、これは稲垣浩と二人で木屋町をぶらついている時に、山中が思いついた話を元にしている。

「ここらへんにカメラを据えたら、ちょうど小橋の向こうに池田屋が見えるやろ」、
三条小橋の東詰に立った山中は続ける、
「題名は三条木屋町、維新の京洛をこの狭い一角で描くのや、安あがりで会社は喜ぶでえ。
クライマックスは池田屋の討ち入りや、ヒットすること疑いなしや」。

この雑談を元に稲垣浩が第一稿をまとめ、鳴滝組の同人が脚本化する。
山中の病没が9月で、本作のクランクインが12月とかなり短期間のうちに準備が進められた。

監督には山中の愛弟子で、生活まで影響を受けるほど心酔していた萩原遼が担当する。
キャスティングも豪華で、かつて山中作品を支えた前進座を中心に、山田五十鈴、高峰秀子が姉妹役で特別出演した。

池田屋騒動という歴史的事件を背景に、本作は志士や新選組といった大義に、命をはって生きる人ではなく、そんな乱世でも自分の事で精一杯の市井の若者の生きざまをあえて描いた。
山中の語った構想をずらした形のこの設定は、日中戦争という歴史の大きな流れの中で、次作を夢見ながら戦病死した、若き映画監督に対する残された同志からの精一杯の追悼でもあった。

島津香蘭@シネフィル編集部

http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film.html