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「クレオパトラとエジプトの王妃展」@東京国立博物館 平成館-cinefil art review

2015年7月11日より、クレオパトラに代表される、古代エジプトの王妃や女王たちをテーマにした展覧会「クレオパトラとエジプトの王妃展」が、東京国立博物館 平成館にて始まりました。
(展覧会公式サイト:http://www.egypt2015.jp

「絶世の美女」として語り継がれるクレオパトラ、女王として君臨したハトシェプストなど、時に大きな政治的・宗教的な役割をも果たした古代エジプトの女性たち。世界各地の名だたる美術館や博物館から、古代エジプトの選りすぐりの名品を集め、彼女たちの魅力をたっぷりと紹介しています。

会場に入ると、まず横たわる美女の像が出迎えてくれます。この像がクレオパトラです。

「クレオパトラ」の背面と正面 ダニエル・デュコマン・ドゥ・ロクレ作 1852~53年 マルセイユ美術館(フランス)所蔵 (C)cinefil art review

「クレオパトラの鼻がもう少し低かったなら、世界の歴史は変わっていただろう。」という仏哲学者ブレーズ・パスカルの言葉でも有名なクレオパトラとは、クレオパトラ7世のことです。彼女自身はギリシア人で、古代エジプト プトレマイオス朝最後のファラオです。18歳の時に、父であるプトレマイオス12世の後を継いで、ファラオとなりました。

美女として有名なクレオパトラですが、実は、美貌よりも知性で男性を魅了していたそうです。

古代エジプトの王=ファラオは、絶大な権力をもつ専制的支配者です。その王をとりまく女性たちの中で、「王の母」という名が、最初の女性の称号として現れます。そして、「王の妻」、「王の娘」と続くことになります。

「王の母」がどのような意味を持ったかというと、展示されている「王妃ヘテプヘレスの輿(複製)」において、輿(こし)の後ろに「支配者の指導者」すなわち、「王の指導者」という最大級の賛辞が刻まれていることから、とても高い地位を示していたことがわかります。

手前「王妃ヘテプヘレスの輿(複製)」、奥に「「王妃ヘテプヘレスの天蓋(複製)」、王妃ヘテプヘレスの寝台(複製)」、「王妃ヘテプへレスの肘掛椅子(複製)」すべてモナコ グリマルディ・フォーラム所蔵。 原品はいずれも古王国・第4王朝時代  スネフェル王~クフ王治世(前2614~前2556年頃)。カイロ・エジプト博物館所蔵 (C)cinefil art review

会場は5つの章で構成されています。

「第1章 王(ファラオ)をとりまく女性たち」

「第1章 王(ファラオ)をとりまく女性たち」
古代エジプトの王=ファラオには、男性がなるのが原則でしたが、一方で、古代エジプトの社会では女性の地位が比較的高く、王妃たちは王の妻として王の政治を支えていました。この章では王を支えた妻や母、そして娘たちを紹介しています。

「第2章 華やかな王宮の日々」

「第2章 華やかな王宮の日々」
王の暮らす王宮は、まさに古代エジプトの力と富を象徴するものの一つです。この章では、きらびやかな王宮の生活を伝える品々や、王に仕えた人々を紹介します。展示空間の壁の色は、遺跡の壁画に使われた色を模しているとのことです。

「王宮の窓」 メンフィス、メルエンプタハ王宮址にて出土。 新王国・第19王朝時代 メルエンプタハ王治世(前1213~前1203年頃) ペンシルヴァニア大学考古学人類学博物館(アメリカ)所蔵 (C)cinefil art review

左「鉢」と右「壺」 グラーブで出土。新王国・第18~19王朝時代(前1550~前1186年頃) マンチェスター博物館(イギリス)所蔵 (C)cinefil art review

「第3章 美しき王妃と女神」

「第3章 美しき王妃と女神」
王妃の大切な役割の一つは、王を宗教的な側面から支えることです。王は現人神であり、王妃自身もまた、女神にあやかった冠などの装身具で美しく装いました。この章では、女神にも例えられた美しき王妃や、その理想とされた女神を紹介します。

「第4章 権力をもった王妃たち」

「第4章 権力をもった王妃たち」
古代エジプトの王妃たちのなかには、政治や宗教へ対する強い影響力をもつ者も現れ、なかでも新王国・第18王朝時代の王妃たちの活躍は、めざましいものがありました。権力をもった王妃たちの歴史は、その最後を飾るクレオパトラ女王(クレオパトラ7世)へと続いていきます。

(「王妃のマスク」(C)cinefil art review
ミイラの頭部を覆っていたマスクです。布と漆喰とを交互に重ねて固め、それに彩色を施してあります。
新王国・第18王朝時代(前1550~前1292年頃) マンチェスター博物館(イギリス)所蔵

「第5章 最後の女王クレオパトラ」

「第5章 最後の女王クレオパトラ」
古代エジプト最後の王朝となったのが、ギリシア系王国の1つプトレマイオス朝(前304~前30年)です。この章では、古代エジプト最後の女王クレオパトラとともに、絶世の美女・悲劇の女王として語りつがれたその姿もあわせて紹介します。

「クレオパトラ」近年クレオパトラ像として指摘された作品です。ギリシア様式の特徴をもっています。
出土地不詳 プトレマイオス朝時代(前1世紀中頃) トリノ古代博物館(イタリア)所蔵 (C)cinefil art review

左に「クレオパトラ」 出土地不詳 プトレマイオス朝時代(前200~前30年頃) メトロポリタン美術(アメリカ)所蔵、右に「アントニウス」の胸像 ローマ時代(後1世紀頃) ヴァチカン美術館(ヴァチカン市国)所蔵 (C)cinefil art review

クレオパトラの、毒蛇に自身を噛ませて死んだという最後のシーンは有名です。
カエサルとアントニウスという英雄に愛された彼女は、古代エジプト最後の女王としてだけでなく、物語の中の魅力的な主人公=妖艶な美女として、語り継がれています。

左「クレオパトラの死 」アッキーレ・グリセンティ筆 1878~1879年 ブレシア市立美術(イタリア)館蔵、右「オクタウィアヌスにカエサルの胸像を示すクレオパトラ」ポンペオ・ジローラモ・バトーニ筆 1755年か ディジョン美術館(フランス)所蔵 (C)cinefil art review

皆さんも是非、本展で、クレオパトラとその他の多くの王妃たちの新しい魅力を、発見してください。

ちょうど、夏休みの企画ということで、お子さんの自由研究の題材にもぴったりです。
トーハクでは、事前学習や見学の際に活用できる「ジュニアガイド」も用意されています。
こちらより、PDFでダウンロードできます。(-cinefil art review)
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1740

齋藤繁一@シネフィル編集部 -cinefil art review

▪️会期:2015年7月11日(土)ー 9月23日(水・祝)
▪️会場:東京国立博物館 平成館 〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9
*JR上野駅公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分、東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、東京メトロ千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
*東京国立博物館ウェブサイト:http://www.tnm.jp/

▪️開館時間:午前9時30分〜午後5時
*金曜日は午後8時まで。7月22日から8月27日までの火・水・木曜と、8月10日(月)、土曜、日曜、祝・休日は午後6時まで。
*入館は閉館の30分前まで

▪️休館日:月曜日
*ただし、7月20日(月・祝)、8月10日(月)、9月21日(月・祝)は開館、7月21日(火)休館

▪️主催:東京国立博物館、 NHK、 NHKプロモーション、 朝日新聞社
▪️後援:外務省
▪️協賛:大日本印刷、 トヨタ自動車
▪️協力:日本航空、 KLMオランダ航空
▪️制作協力:The Grimaldi Forum Monaco ファクト・コンセプトゥール社

▪️お問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
▪️展覧会公式サイト:http://www.egypt2015.jp

▪️関連事業:
<講演会・講座> 特別展「クレオパトラとエジプトの王妃展」記念講演会(2)「遺跡に見る古代エジプトの女王・王妃たち:発掘調査の現場から」
平成館 大講堂 2015年9月5日(土) 13:30~15:00 *開場は13:00を予定 →申込受付中

<イベント> 「クレオパトラとエジプトの王妃展」キッズデー
平成館 特別展示室 2015年7月27日(月) 10:00~15:00 (入館は14:30まで) →当日受付

▪️巡廻予定:大阪・国立国際美術館 2015年10月10日(土)~12月27日(日)

「クレオパトラとエジプトの王妃展」@東京国立博物館 平成館-cinefil art review