「FINALHOME 津村耕佑の脳内サバイバル術」vol 02
いま思う、脳内サバイバルの原点

テレビや映画のヒーロへの憧れた子供達は皆彼らに近づこうと競いました。

今は、市販のコスプレ用アイテムも豊富ですし、自作用の材料も道具も揃っていますが、当時はダンボールや発泡スチロールですら、珍しい時代です。

セロテープもガムテープも贅沢品ですから、今のようにお構いなしには使えません。

忍者部隊月光

ライフルマン

シェーン

間違って親に買ってもらった最新の玩具など持って遊びに行こうものなら、
逆に仲間外れにされる事さえありました。

ですから木の枝を拳銃に、和風の風呂敷をマントにするなど、想像力を逞しくして遊ぶしかありません。

枝や木っ端、広告紙で製作したヒーロアイテムは、当然ショボく、場合によってはエアーギターならぬ、空気銃しか無い有様です。

それでも、アクションやセリフを真似し成りきる事で、十分楽しかった記憶があります。

土門拳 昭和のこども

土門拳が撮った「昭和のこども」では、棒きれを刀に見立ててチャンバラごっこをしていますが、道に映った影だけを見ると、立派なヒーロ映画のように見えます。

現代は、無いものは無いというほど、豊かなものにあふれた飽食の時代です。

コスプレパーティ

想像力を解き放つ場面すら、授業やワークショップと銘打って、学校や団体が用意してしまいます。

いま思い返せば、デザインやアートにとって大切な「見立て」のスキルは、物や情報が少ない当時だからこそ鍛えられたのでしょう。

この連載コラムが、私自身をふくめた「かつての子供たち」が自在にあやつっていた、真夏の積乱雲のような想像力や、昭和の原風景から生まれたものたちや、過去の娯楽を思い返す機会になり、その過程で自ずと「脳内サヴァイバル術」を発見出来る事に気がつきました。

スクリーンに投影された映画体験から、テレビや動画まで、メディア・アートとして理解しても良いのかもしれません。

突然ですが、今回は、

「情報より先に行動する」

を、私のサバイバル提言とさせて頂きます。

KOSUKE TSUMURA Profile
津村耕佑 プロフィール

Art director・ fashion designer
FINAL HOME project 主催
編装会議 主催
武蔵野美術大学空間演出デザイン学科教授
文化服装学院ファッション工芸専門課程非常勤講師
日本文化デザインフィーラム会員

https://www.facebook.com/kosuke.tsumura.9
https://www.facebook.com/hensoukaigi