京都文化博物館フィルムシアター、映画監督市川崑の世界。『黒い十人の女』(1961)
京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film.html

京都文化博物館フィルムシアターで開催中の、映画監督市川崑の世界。5月23日は『黒い十人の女』(1961)の上映が。
見直すごとに新しい発見がある市川昆作品のなかでも、見応えがある作品です。

女たちが一人一人、刺客のように現れる時の、その凄みーー。
冒頭の写真は、ついに10人の女たちに詰め寄られて、絶体絶命の男性の様子が
最高におかしい場面ですが、
各場面の描写力のみごとさにも震撼する作品。

フィルム上映で市川昆監督作がみられる、贅沢な特集の機会です。
わたしも、ひたすら見に行きたい!

シネフィル編集部 園田恵子

京都文化博物館フィルムシアター、映画監督市川崑の世界。5月23日は『黒い十人の女』(1961)

京都文化博物館フィルムシアター、映画監督市川崑の世界。5月23日は『黒い十人の女』(1961)。市川監督オリジナル脚本作品。
当時テレビ局はVTRより生放送が多く、毎日ストレスに曝される、秒単位の仕事の中で自らを失い、その事にも気づかず、喪失感さえ持てない男。
妻の他に9人もの女と付き合っているが、女達もそれぞれ同じような問題を抱えている。充実しているように見えても、内面的には意味を見失い、茫洋とした生を送る現代人の心の病理を描く。

‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film.html

京都文化博物館フィルムシアター、映画監督市川崑の世界。『黒い十人の女』(1961)
京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

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京都文化博物館フィルムシアター、映画監督市川崑の世界。本日23日は『黒い十人の女』(1961)。市川監督オリジナル脚本作品。

当時テレビ局はVTRより生放送が多く、毎日ストレスに曝される、秒単位の仕事の中で自らを失い、その事にも気づかず、喪失感さえ持てない男。妻の他に9人もの女と付き合っているが、女達もそれぞれ同じような問題を抱えている。充実しているように見えても、内面的には意味を見失い、茫洋とした生を送る現代人の心の病理を描く。 ‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film.html

『黒い十人の女』
1961(昭和36)年大映東京作品/102分・モノクロ
製作:永田雅一 企画:藤井浩明 シナリオ:和田夏十 監督:市川崑 撮影:小林節雄 音楽:芥川也寸志 録音:西井憲一 照明:伊藤幸夫 美術:下河原友雄 特殊撮影:築地米三郎 助監督:中村倍也 編集:中静達治
出演:山本富士子(風の妻・双葉)、宮城まり子(アート社の三輪子)、中村玉緒(四村塩)、岸田今日子(後藤小夜子)、船越英二(TVプロデューサー・風松吉)、岸恵子(女優・石ノ下市子)、永井智雄(本町芸能部長)、大辻伺郎(野上)、伊藤光一(羽織の男)、伊丹一三(花巻)、倉田マユミ(十糸子)、宇野良子(虫子)、有明マスミ(八代)、紺野ユカ(櫛子)、村井千恵子(七重)、浜村純(警官に扮した俳優)、夏木章(TV局員)、森山加代子(タレント・百瀬桃子)、ハナ肇とクレイジーキャッツ 

京都文化博物館フィルムシアター、映画監督市川崑の世界。『黒い十人の女』(1961)
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TVプロデューサーの風は、妻がありながら9人もの女性と付き合っている。
風は年中忙しがってばかりの男だが、どんな女性にも優しい。女たちは何故だか妙に彼が気になり、諍いごとが絶えない。いっそ死んでくれればという話が女達の間で持ち上がった。

困った風は冷静な妻と共謀し、女達の前で妻の撃った銃弾に倒れるという芝居を打った。驚いた女達の反応は様々だった。後追い自殺をする者、急に結婚する者・・・。そして妻も風と離婚した。忙しさを言い訳に、私生活にも仕事にも本気で向かい合おうとしなかった風を、女優の市子が引き受けたが・・・。

『炎上』『鍵』『野火』『おとうと』等、文学作品の映画化で気を吐いていた市川監督にとって、久々のオリジナル脚本作品。テレビ局のプロデューサーが主人公であるが、本作当時テレビ局はVTRより生放送が多く、毎日毎日ストレスに曝される、まさに現代的な職業であった。男は秒単位の仕事の中で自らを失い、その事にも気づかず、喪失感さえ持てない。また仕事は忙しいが、その成果は金という形でしか残らない。彼は妻の他に9人もの女と付き合っているが、女達もそれぞれ同じような問題を抱えている。こんな男女の人間関係、リアリティは希薄である。本作で市川・和田は外的には充実しているように見えても、内面的には意味を見失い、茫洋とした生を送る現代人の心の病理を描くが、この虚しいドラマにあえて決着を付けず、癒しという部分では冷酷に突き放した形で観客に提示する。映像表現についても各ショットの構図はダイナミックかつショッキング、硬くドライな画調でまとめられ、市川作品として期待を裏切らない仕上がりである。

The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive