『磯崎新の「都庁」』平松剛を読了。

面白い本です。

 内容は新宿の新都庁舎の建築コンペをめぐり、
師弟関係でもある丹下健三と磯崎新ご両人の、内なる戦いを描いたものですが、

この著者、構造設計が本業とは思えないほど文章と構成が巧みで、
現在進行形のコンペ構想の事務所の様子から、

磯崎の生い立ちに突然フラッシュバックしたり、
また当時の所員のインタビューに戻ったりといった、
かなり複雑な構成を軽々とやりとげていて、
まるで見事な映画シナリオを読んでいるようです。

 装丁が和田誠というのもうれしいですね。

著者は相当な映画ファンなのでは?

平松氏は、前作『光の教会 安藤忠雄の現場』で、

「大宅壮一ノンフィクション賞」を受賞されています。

この本、装丁も楽しいーー。

カバーをめくると所員が登場…。

仁科 秀昭

仁科 秀昭:天井桟敷、東宝製作所などの美術スタッフを経て、現在はミュージアムプランナーとして、活躍中。