ポップでカラフルな水玉や、独特の《南瓜》のシリーズでも知られる、世界的前衛芸術家・草間彌生(1929~)の初めての大規模版画展が京都市京セラ美術館で開催されています。

草間彌生は1993年第45回ヴェネチア・ビエンナーレにおいて、日本を代表する作家として脚光を浴び、世界の舞台へと立ちました。その前後で積極的に版画制作に取り組んだことも、現在の評価につながる大きな原動力となりました。

草間は1979年に版画作品を初めて発表します。そこには米国から帰国後の、死や苦悩をテーマにした作品とは対照的に、華やかなモチーフが色彩豊かに表現されています。それまでの抽象的な表現に加え、南瓜、ドレス、葡萄、花や蝶など日常的なモチーフが網目や水玉で構成され、明瞭な色彩をまとった草間ならではの唯一無二の世界観です。

世界各地の美術館で大規模な展覧会が開催され、2016年に文化勲章を受章し、2017年には、草間彌生美術館が東京都新宿区に開館されました。

代表作に《無限の網》、《無限の鏡の間》、《水玉強迫》、《南瓜》、《わが永遠の魂》シリーズなどがあり、現在も精力的に創作活動を続けています。

世界最大級の草間コレクションを誇る草間彌生の故郷・長野県松本市にある松本市美術館が所蔵する版画作品に作家蔵の作品を加えた約330点の大規模版画展です。草間彌生の版画芸術の魅力と軌跡をご覧ください。

画像: 草間彌生《靴をはいて野にゆこう》1979年 ©YAYOI KUSAMA【後期展示】

草間彌生《靴をはいて野にゆこう》1979年 ©YAYOI KUSAMA【後期展示】

1929年、草間彌生は長野県に生まれ、植物に囲まれて育ち、家の周りに広がる畑に出かけてはスケッチをする少女時代を過ごし、特にお気に入りの南瓜を何度も描いてきました。
1957年、28歳で単身渡米。網目、水玉といった独自のイメージを確立し、約16年間、ニューヨークを中心に創作活動を行いますが、体調や心の不調を感じ、1973年に帰国。
この時期は苦しい胸のうちを反映するように、「死」を想起させるものが多く存在します。版画作品が登場したのもその頃からですが、版画作品には、そういった作品とは対極にあるような華やかなモチーフが色彩豊かに表現され、生命力に満ちています。

画像: 草間彌生《南瓜》1982年 ©YAYOI KUSAMA【前期展示】

草間彌生《南瓜》1982年 ©YAYOI KUSAMA【前期展示】

時を経て、心の葛藤を自己分析によって昇華させた水玉や網目が、草間の幼少期の記憶にあった植物、南瓜など身近なモチーフが水玉や網目と結びつき、鮮やかで色彩豊かな作品が誕生したのです。

画像: 草間彌生《帽子(Ⅰ)》2000年 ©YAYOI KUSAMA【後期展示】

草間彌生《帽子(Ⅰ)》2000年 ©YAYOI KUSAMA【後期展示】

草間は渡米後、1959年に発表した網目でキャンバスを覆いつくす絵画「無限の網(ネット・ペインティング)」シリーズによって、画家として鮮烈なデビューを飾ります。
そして、1965年頃からは、電飾と鏡を用いた立体作品の制作を始めました。「ミラールーム」に代表される光の彫刻作品です。合わせ鏡によって明滅しながらどこまでも増殖する光(水玉)は、草間の永遠なるイメージとなり、「水玉の女王」とも呼ばれるようになりました。草間彌生の水玉模様は、無限に増殖する水玉です。

画像: 草間彌生《朝のかがやき(TWHIOW》2007年 ©YAYOI KUSAMA【前期展示】

草間彌生《朝のかがやき(TWHIOW》2007年 ©YAYOI KUSAMA【前期展示】

今までの華やかでカラフルなイメージとは一転。
2004年から約4年をかけて制作された「愛はとこしえ」のシリーズは、モノクロームの大型シルクスクリーン作品です。黒色のマーカーペンで100号のキャンバスに描いた50点を原画としています。
本シリーズは、その後のアクリル画「わが永遠の魂」シリーズへと繋がり、最新シリーズ《毎日愛について祈っている》へ発展を続ける近年の躍進の起点となった作品でもあります。

近年は、雄大にそびえ立つ富士山を主題に、浮世絵の木版画の技法を用いた連作も創り出しました。葛飾北斎や歌川広重など名だたる絵師たちを魅了した富士山の秀麗な姿を草間が木版画で表現したのです。
これからも草間彌生の創造する世界は生命力に溢れ、増殖を続けるでしょう。

※本展は2022年夏に松本市美術館で開催された特別展「草間彌生 版画の世界」の巡回展となります。
※展示作品数は会場によって異なります。

展覧会概要

展覧会 「松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」
会期 2025年4月25日(金)~9月7日(日)
※本展は前期・後期で作品を全点入れ替えます。
前期:4月25日(金)~6月29日(日)/後期:7月1日(火)~9月7日(日)
開館時間 10:00~18:00(最終入場は17:30まで)
休館日 月曜日(ただし4/28、5/5、7/21、8/11は開館)
会場 京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ
アクセス

展覧会公式サイト

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」京都市京セラ美術館@シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上2組4名様に、無料観覧券をお送り致します。この観覧券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2025年5月19日 月曜日 24:00
記載内容
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