このたび、京都国立近代美術館において、「ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡―市民が創った珠玉のコレクション」が開催されます。

 ルートヴィヒ美術館は、二度の世界大戦と戦後の復興、東西ドイツの分裂から統一に至る激動の時代の中で、美術を愛する市民のコレクターが、寄贈や支援によって未来に芸術を継承しようという想いから生まれました。

 ドイツのケルン市が運営する本館は、館名に名を冠するルートヴィヒ夫妻をはじめとする市民のコレクターたちによる寄贈を軸に形成されています。
 ルートヴィヒ夫妻が寄贈したヨーロッパ随一の優れたポップ・アートのコレクションやロシア・アヴァンギャルドの貴重な作品群に、ピカソやドイツ近代美術の名品など、絵画、彫刻、写真、映像を含む代表作152点※を紹介します。(※一部東京会場のみでの展示作品があります。)

 世界で3本の指に入るピカソのコレクションから《アーティチョークを持つ女》や、ピカソと同時代にパリで活躍したマティスやモディリアーニ、ロシア・アヴァンギャルドのマレーヴィチ、ポップ・アートを代表するウォーホルやリキテンスタインなどの作品が一堂に会します。

 美術館と市民の生きた交流の証しとしての本展が、私たちの社会における美術館の意義と役割を見つめなおす契機になれば幸いです。
是非、この機会にご堪能ください。
それでは展覧会構成に従って、シネフィルでも主な作品を紹介致します。

画像: ルートヴィヒ美術館外観  Museum Ludwig, Köln / Cologne © A.R.

ルートヴィヒ美術館外観  Museum Ludwig, Köln / Cologne © A.R.

序章 ルートヴィヒ美術館とその支援者たち

 ルートヴィッヒ美術館が所蔵するドイツを中心とした近代美術作品の多くは、1946年にケルン市に寄贈されたヨーゼフ・ハウプリヒのコレクションと、その後彼が設立した基金によって購入された作品に由来します。美術館と彼の目的は、ナチ・ドイツ時代に「退廃芸術」として公共の場から駆逐されたドイツ表現主義をはじめとする近代美術の復興とそのコレクションの再建でした。
 1957年には、ゲオルク&リリー・フォン・シュニッツラー夫妻(1884-1962/1889-1981)が収集した画家マックス・ベックマンの作品群が、そして1958年には、ピカソやマティス、ココシュカやクレーなど近代美術の重要作品を含む、ヴィルヘルム・シュトレッカー(1884-1958)のコレクションが収蔵されました。
 1976年、ドイツ表現主義と同時期に展開したロシア・アヴァンギャルドの優れた作品群を美術館にもたらしたのは、ペーター&イレーネ・ルートヴィヒ夫妻で、彼らは 同時にポップ・アートの包括的コレクションを寄贈しました。
 同年、画家エルンスト・ヴィルヘルム・ナイの支援者として知られていたギュンター&カローラ・パイル夫妻(1908-1974/1907-1992)も、所蔵する数多くのナイ作品のほか、エルンストを含む近代美術作品群を寄贈しました。
 さらに1977年には、写真芸術発展の支援者でありコレクターであったレオ・フリッツ&レナーテ・グルーバー夫妻(1908-2005/1936- )のコレクションが収蔵され、ルートヴィヒ美術館写真・映像部門の礎となりました。

1 ドイツ・モダニズム―― 新たな芸術表現を求めて

 19 世紀から 20 世紀にかけてのドイツでは、新たな芸術表現を模索する芸術家グループ「ブリュッケ(橋)」や「青騎士」を中心とした表現主義そして、新即物主義など、20世紀前半のドイツの前衛的な芸術動向が、絵画・彫刻・写真で紹介されています。
 カンディンスキーは抽象絵画の先駆者の一人。バルラハは、表現主義の彫刻家。自らの戦争体験から反戦的な作品を制作したため、ナチス政府から「退廃芸術」とされ、1936年には、作品の制作を禁じられました。

画像: ワシリー・カンディンスキー《白いストローク》 1920年 油彩/カンヴァス 98.0 × 80.0 cm Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML 10003. (Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_d056273_01)

ワシリー・カンディンスキー《白いストローク》 1920年 油彩/カンヴァス 98.0 × 80.0 cm Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML 10003. (Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_d056273_01)

画像: エルンスト・バルラハ《うずくまる老女》 1933年 木 56.0(高さ)× 33.0 × 30.0 cm Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML 76/SK 0047. (Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_c005052)

エルンスト・バルラハ《うずくまる老女》 1933年 木 56.0(高さ)× 33.0 × 30.0 cm Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML 76/SK 0047. (Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_c005052)

2 ロシア・アヴァンギャルド―― 芸術における革命的革新

 ドイツで表現主義が拡がりを見せていた同じ頃、ロシアでも、社会の大変革と連動して、ロシア・アヴァンギャルドと呼ばれる、芸術における新たなうねりが生まれていました。
 マレーヴィチは「スプレマティズム」を提唱して、絵画を現実との対応関係から切り離し、円や正方形といった基本的造形要素のみで構成する絶対的に自律した無対象絵画を生み出しました。

画像: カジミール・マレーヴィチ《スプレムス 38番》1916年、油彩/カンヴァス、102.5 × 67.0 cm Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML 01294. (Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_d033965_01)

カジミール・マレーヴィチ《スプレムス 38番》1916年、油彩/カンヴァス、102.5 × 67.0 cm Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML 01294. (Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_d033965_01)

画像: アレクサンドル・ロトチェンコ《ライカを持つ少女》 1934年(プリント:1934年以降) ゼラチン・シルバー・プリント 40.0 × 29.0 cm Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML/F 1978/1072. (Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_c009362)

アレクサンドル・ロトチェンコ《ライカを持つ少女》 1934年(プリント:1934年以降) ゼラチン・シルバー・プリント 40.0 × 29.0 cm Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML/F 1978/1072. (Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_c009362)

3 ピカソとその周辺――色と形の解放

 ここでは、ルートヴィヒ美術館のピカソ・コレクションから各時代を代表する作品とともに、パリで活動したピカソと同時代の作家たちの作品も紹介されています。また、同時期にレイヨグラフやソラリゼーションといった新たな写真芸術の手法を開発したマン・レイの作品も併せて紹介されています。  

4 シュルレアリスムから抽象へ―― 大戦後のヨーロッパとアメリカ

 第二次世界大戦後にヨーロッパでは、フランスを中心にアンフォメル(非定形)と呼ばれる絵画が隆盛となり、アメリカでは抽象表現主義が花開きました。それらに、大きな影響を与えたのは、 ヨーロッパからアメリカに亡命したシュルレアリストでした。戦後の人間の生の回復を志向する様々な作品を、「主観的写真」も含め、紹介します。

画像: ヴォルス《タペストリー》 1949年、油彩/カンヴァス 54.0 × 73.0 cm Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML 01167. (Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, Peter Kunz, rba_d032855_01)

ヴォルス《タペストリー》 1949年、油彩/カンヴァス 54.0 × 73.0 cm Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML 01167. (Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, Peter Kunz, rba_d032855_01)

5 ポップ・アートと日常のリアリティ

 1950年代にイギリスではじまり、1960年代のアメリカを席巻したポップ・アートは大量消費を前提とした大衆文化を批評し、巷に広がるイメージを利用することで芸術のオリジナリティを問いかけました。それらポップ・アートの優品が紹介されています。

6 前衛芸術の諸相――1960年代を中心に

 ルートヴィヒ夫妻は、前衛的、抽象的な作品を数多く収集しました。
「1960年代の美術」展でも、観者の網膜上の知覚作用を巧みに取り込んだオプ・アートや、逆に、イリュージョンを極限まで排したミニマリズムなど、1960年代の重要な動向が押さえられていました。還元的でシンプルな形態に向かいつつも、固有の展開を遂げた芸術の諸相が紹介されています。ルイスはアメリカの抽象絵画を代表する画家です。

画像: モーリス・ルイス《夜明けの柱》1961年、アクリル絵具/カンヴァス 220.0 × 122.0 cm Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML 01091. (Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_d040139)

モーリス・ルイス《夜明けの柱》1961年、アクリル絵具/カンヴァス 220.0 × 122.0 cm

Museum Ludwig, Köln / Cologne, ML 01091.
(Photo: © Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_d040139)

7 拡張する美術 ―― 1970年代から今日まで

 本章では、旧東西ドイツをめぐる社会問題に関連する作品や、現代美術の購入と振興をめぐるルートヴィヒ美術館の活動なども参照しつつ、映像やパフォーマンスなど多様に展開した現代美術の諸相が紹介されています。

 

展覧会概要

展覧会名:ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡̶市民が創った珠玉のコレクション
会  期:2022年10月14日(金)̶2023年1月22日(日)
会  場:京都国立近代美術館(〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町)
開館時間:10:00‒18:00
      ※毎週金曜日は20:00まで ※入館は閉館の30分前まで
      ※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開館時間は変更と
       なる場合があります。来館前に最新情報をご確認ください。
休 館 日:月曜日(ただし、12月26日と1月9日は開館)、
     12月29日~1月3日
問い合わせ:京都国立近代美術館 075-761-4111(代表)
展覧会 HP:https://ludwig.exhn.jp  

観 覧 料:一般2,000円(1,800円)、大学生1,100円(900円)、
      高校生600円(400円)
      ※( )内は20名以上の団体料金 ※ 中学生以下無料
アクセス:京都市バス「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ、
     「岡崎公園 ロームシアター京都・みやこめっせ前」下車徒歩約5分、
     「東山二条•岡崎公園口」下車徒歩約10分
     地下鉄東西線「東山駅」下車徒歩約10分

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡̶市民が創った珠玉のコレクション」@京都 シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2022年1Ⅰ月7日 月曜日 24:00
記載内容
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