壮大な自然に恵まれ、美しい街並みとして世界遺産にも登録された古都・エディンバラ。
その中心に位置するスコットランド国立美術館は、1859年に開館し、現在では毎年230 万人以上が訪れる、ヨーロッパでも屈指の規模を誇る「美の殿堂」です。

 このたび、その「美の殿堂」より珠玉の名画が一堂に会しました。
「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」が東京展で盛況を博し、2022 年7 月16 日(土)から9 月25 日(日)まで神戸市立博物館で開催中です。
その収蔵品は、ルネサンスから近代に至る西洋美術史をたどり、英国、特に地元スコットランドの芸術家たちの作品に関して唯一無二のコレクションを形成してきました。

 本展では、そのスコットランドが誇る珠玉の絵画コレクションが紹介されています。
ラファエロ、エル・グレコ、ベラスケス、レンブラント、ブーシェ、ルノワールなど、ルネサンス期から 19 世紀後半までの西洋絵画史を彩る巨匠たちの作品が展示されています。
 ヨーロッパの巨匠たちによる芸術に触発されて生まれた、ゲインズバラ、レノルズ、コンスタブルらによる英国絵画、特に、レイバーン、グラントなど、スコットランド出身の画家たちの珠玉の名画も多数出品。合わせて 87 件 89 点のうち、75 点が日本初出品のものです(1991年以降のスコットランド国立美術館の記録による)。是非この機会に、壮大な美の旅へおでかけください。
それではシネフィルでも。展覧会構成に沿って、ご紹介致します。

画像: 豪華!西洋美術史を彩る名画の饗宴
「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」

プロローグ ―スコットランド国立美術館

 スコットランド国立美術館で、開館以来現在も使用されている歴史的にも貴重な展示室の様子や、美術館を取りまくエディンバラの街並みを描く作品が紹介されています。

画像1: プロローグ ―スコットランド国立美術館

また、スコットランドを愛する人々の熱意により拡充されてきたスコットランド国立美術館のコレクションの象徴として、フレデリック・エドウィン・チャーチの記念碑的大作が展示されています。

画像2: プロローグ ―スコットランド国立美術館

 チャーチ(1826-1900)は、世界各地を旅した、19世紀のアメリカの風景画家で、ダイナミックにナイアガラの滝を描いた本作は、1867 年にパリで開催された万国博覧会に出展するために制作されたものと考えられています。縦横各2.5メートルほどの大画面に描かれた滝は圧巻です。画面左上には、展望台から景色を眺める二人の人物が描かれており、彼らの存在が自然の壮大なスケールを示しています。スコットランド出身の実業家によって美術館に寄贈されました。

1. ルネサンス

 15・16 世紀のフィレンツェ、ヴェネツィア、ローマを中心とした偉大な創造性の時代が、著名な絵画と素描で紹介されています。
非常に重要な宗教画(ヴェロッキオ(帰属)、ヴェロネーゼ、エル・グレコ)や世俗的な作品(コレッジョ、ボルドーネ)をご覧ください。

画像1: 1. ルネサンス

 本作の作者として比定されているヴェロッキオ(1435 頃-88)は、レオナルド・ダ・ヴィンチの師としても知られる中期ルネサンス画家で、彫刻家です。
 本作は、19世紀英国のラファエル前派を支えた批評家で芸術家のジョン・ラスキンが所有していたため、「ラスキンの聖母」とも呼ばれています。
同時代の聖母子像の背景としては、異例の壮大な古代建築の廃墟が用いられているのが特徴的。古い宗教に対するキリスト教の勝利を意味するとも言われます。

画像2: 1. ルネサンス

 「ギリシャ人」という意味の名前であるエル・グレコ(1541-1614)は、宗教画を大胆な色彩でドラマティックに描きました。
キリストが左手を置いている水晶は、世界を表しているようです。

2.バロック

 17 世紀のヨーロッパでは、革新的な画家たちが、繊細かつ壮麗な表現で、従来の世界観を覆そうとしました。黄金時代のオランダ絵画を代表するレンブラント、10 代にしてかつてないリアリズム絵画を制作したスペインのベラスケスらの油彩画とともに、画家たちの並外れた自由な発想を垣間見ることのできる習作や素描も紹介されています。

画像1: 2.バロック

 ルーベンス(1577-1640)は、17世紀フランドルを代表するバロックの巨匠のひとりで、アントウェルペンで大規模な工房を経営し、生み出された作品はヨーロッパ中の貴族階級や収集家間でも高く評価されました。
 またルーベンスは画家としてだけではなく、古典的知識を持つ人文主義学者、美術品収集家でもあり、4ヶ国語を話し、外交官としても活躍し、ナイト爵位を受けました。

画像2: 2.バロック

 ベラスケス(1599-1660)はスペイン絵画が黄金時代であった17世紀のバロック期の巨匠で、国王フェリペ4世の宮廷画家として活躍し、マルゲリータ王女と女官たちを描いた《ラス・メニ―ナス》などの作品が有名です。
 本作は、彼が彼が18歳か19歳の頃に描いた作品で、台所や居酒屋の情景を主題とした「ボデゴン」といわれる絵画です。庶民の日常生活の一瞬が切り取られ、ドラマティックに描かれています。
台所用具や卵などの物の質感が写実的に描かれている初期の傑作です。日本初公開。

3.グランド・ツアーの時代

 18 世紀、英国のコレクターたちは、美術品の購入や文化的教養を深めるためにヨーロッパ大陸を巡る「グランド・ツアー」を行いました。
 同時期にフランスでは、牧歌的な自然の中で上流階級の男女の甘美な集いを描いたロココ主義が流行していました。本章ではその先駆けとなったヴァトー、最盛期のブーシェなどの作品が紹介されています。
 また、肖像画を軸に発展した英国絵画は、ゲインズバラ、レノルズ、ラムジーの作品が展示されています。

画像1: 3.グランド・ツアーの時代

 ブーシェ(1703-70)は、もともとは歴史画や神話画を描いていましたが、1730 年代からロマンティックで牧歌的な主題にも取り組みました。
フランスのルイ15世の愛人であったポンパドゥール夫人からも寵愛された、美しい田園風景の中で男女が愛を語る様子を描いたロココ主義を代表する画家です。
《田園の情景》は、「愛すべきパストラル」、「田舎風の贈物」、「眠る女庭師」の三部作で、3作品ともかなり細身で縦長の構図となっており、おそらく背の高い窓の間にかけられていたと考えられます。
いずれもブーシェ晩年の大作、田園画の典型的な作品で、人物の表情や風景の植物も繊細に描かれ、澄んだ空気感までもが伝わってくるようです。

画像2: 3.グランド・ツアーの時代

 レノルズ(1723-92)は、英国ロイヤル・アカデミー初代会長を務めた英国美術史上、重要な画家です。
ラファエロやミケランジェロなどの古典絵画を研究し、優美さと慈愛に満ちた人物を、歴史画のような壮麗な構成のなかに描くことで、英国肖像画の隆盛を導きました。
 本作は、ファッショナブルな白いモスリンの衣装を身にまとい、手芸にいそしむ三姉妹が描かれ、その華麗で優雅なたたずまいは、ギリシャ神話に登場する「三美神」が、時空を超えて18 世紀の英国上流社会に降臨したかのようです。

4.19 世紀の開拓者たち

 19 世紀はヨーロッパ全域で革命的な絵画表現が開花した時代です。ドービニー、コローらの風景画から、印象派、新印象主義など、フランス絵画の革新が感じられるでしょう。
 また、伝統に則しながら新しい肖像画の境地を切り開いたレイバーンとグラント、独自の感性で自らが慣れ親しんだ景色を普遍的な芸術に昇華させたコンスタブルなど、多様な展開を遂げた英国絵画が紹介されています。

画像1: 4.19 世紀の開拓者たち

 コンスタブル(1776-1837)はターナーとともに、19世紀英国を代表する風景画の巨匠です。本作は、故郷の馴染みの場所を描き、コンスタブルが影響を受けたクロード・ロランの作品の構図を踏襲していますが、彼の故郷サフォークの田園を長年にわたり描き続けた集大成でもありました。ノスタルジックな光と風を体感できる、コンスタブル渾身の傑作です。

画像2: 4.19 世紀の開拓者たち

 ミレイ(1829-1896)はハントや、ロセッティとともに、ロイヤル・アカデミーに反発し、美術批評家ラスキンの「芸術は自然に忠実でなければならない」という主張のもとに、「ラファエル前派」を結成しました。
 シェイクスピアの「ハムレット」のヒロインを題材にした川の流れに仰向けに浮かぶ美女を描いた《オフィーリア》が有名です。
本作は、後期の作品で、子役俳優を描いたもの。印象深いタイトルは女性詩人の詩から引用したもので、少女の純真さと儚さが表現されています。

画像3: 4.19 世紀の開拓者たち

 印象派を代表する画家・ルノワール(1841-1919)。1885年に、長男ピエールが生まれると、彼は本作のような母性を主題とする作品を描くようになります。
赤ん坊の服や肌のピンクが映えるよう、全体の色調が整えられています。赤ん坊はルノワールの次男で、のちに映画監督となるジャン。女性は子守りのガブリエルで、晩年のルノワール作品にモデルとしてしばしば登場します。
 「美の殿堂」スコットランド国立美術館より来日した、華麗で優雅な西洋美術史を辿る珠玉の名画に癒され、至福のひとときをお過ごしください。

展覧会概要

展覧会名:「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」
会 場:神戸市立博物館(〒650-0034 神戸市中央区京町24 番地)
会 期:令和4 年7 月16 日(土)~9 月25 日(日)【62 日間】
休 館 日:毎週月曜・9 月20 日(火)[ただし9 月19 日(月・祝日)は開館]
開館時間:9 時30 分~17 時30 分(金曜日と土曜日は19 時30 分まで)※入場は閉館の30 分前まで
主 催:神戸市立博物館、毎日新聞社、NHK 神戸放送局、NHK エンタープライズ近畿
協 賛:信越化学工業、DNP 大日本印刷、公益財団法人 日本教育公務員弘済会 兵庫支部
後 援:ブリティッシュ・カウンシル、Kiss FM KOBE
協 力:日本航空、ルフトハンザカーゴ AG

公式 SNS:@greats2022
入 場 料:当日券(消費税込) 一般 1,800 円 大学生 900円 高校生以下 無料
団体券(消費税込) 一般 1,600 円  大学生 700 円 高校生以下 無料
※神戸市在住で満65 歳以上の方は当日一般料金の半額。(確認できるものをご持参ください)
※団体は20 名以上。
※障がいのある方は障がい者手帳などの提示で無料。
※本展は日時指定予約優先制です。予約なしでご来場されますと入場をお待ちいただく場合があります。
※チケットの購入・予約方法は公式HP をご覧ください。

シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」@神戸 シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、招待券をお送り致します。この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
★応募締め切りは2022年8月29日 月曜日 24:00
記載内容
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