チェコ・ヌーヴェルヴァーグの巨匠フランチシェク・ヴラーチル監督による1967年の映画『マルケータ・ラザロ ヴァー』を7/2(土)よりシアター・イメージフォーラムにて公開致します。

画像1: © 1967 The Czech Film Fund and Národní filmový archiv, Prague

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13世紀ボヘミア王国を舞台に宗教と部族間の抗争に翻弄される少女マルケータを描いた本作は、『アンドレイ・ ルブリョフ』(アンドレイ・タルコフスキー監督)、『七人の侍』(黒沢明監督)などと並び評され、1998年に はチェコの映画批評家とジャーナリストを対象にした世論調査で史上最高の映画に選出されました。
制作におよそ10年、かつてない規模の予算をかけ極寒の山奥で生活しながら548日間にもわたる撮影を行った、 二度と作ることのできない空前の超大作。公開から55年の時を経て日本初劇場公開となる知られざる傑作です。

画像2: © 1967 The Czech Film Fund and Národní filmový archiv, Prague

© 1967 The Czech Film Fund and Národní filmový archiv, Prague

この度、フランチシェク・ヴラーチル監督による、本作の魅力の核心に迫るコメントを公開いたします。 1999年に死去されたヴラーチル監督の発言が日本語で紹介されることは非常に珍しく、短いながらも氏の映画への考え方が伺えるコメントとなっています。

『マルケータ・ラザロヴァー』フランチシェク・ヴラーチル監督コメント
「道は似ていて、様々な木が並ぶ」「まっすぐな木に高い木、風に揺れる木」――ヴァンチュラが原作で書いた言 葉が非常に印象的だった。私は映画作りで風景を何より重視する。私にとって芸術とは視覚芸術で、昔から映画の 風景ばかりを見ていて字幕を読むのに苦労した。物語の主題は目に見えないので、映画の主題を決めるのは大変な 作業だったよ。映画向けに作られたオリジナルの物語でも、小説が原作の物語でもどちらでもいい。重要なのは物 語の第一印象だよ。かすかな印象でも十分だ。先ほど、本作の原作について言及したが"もう一度引用したいと思う。 「道は似ていて様々な木が並ぶ」「まっすぐな木に高い木、風に揺れる木」多くの知恵を含みながらも視覚的な印 象を強く与える言葉だ。頭に浮かぶ第一印象は壮大である必要はない。かすかなイメージさえ得られればそれを踏 み台にできる。そして1つの物語に膨らませていけばいい。
映画作りに最も近い芸術形態は恐らく詩だろう。詩を構成する節の一つ一つにはそれぞれ違う意味がある。映画も 同じように数多くのショットで構成されている。違う意味を持つ複数のショットを編集で組み合わせるとまた違う 意味が生まれる。そういう意味で映画は詩的な芸術であり、それこそが映画の魅力だろう。
(『In the Web of Time (V síti času)』(1989年/監督:フランチシェク・ウルドリッヒ)より)

フランチシェク・ヴラーチル監督

フランチシェク・ヴラーチル František Vláčil
1924年チェコスロバキア(現チェコ共和国)チェスキー・チェシーン生まれ。 1945年よりブルノの大学で美学と美術史を学ぶ。在学中に映画製作に興味を持ち、ブルノ漫画・人形映画スタジオで脚本家として働く。その後、新し く設立された科学教育映画スタジオにて短編ドキュメンタリー映画の制作に携わる。 1951年からは陸軍の映画スタジオで働き、短編ドキュメンタリーを制作。1958年には初の短編劇映画『ガラスの雲』を監督した。その後、チェ コの大スタジオ「バンドラフ・スタジオ」に移り、1960年に初の⻑編映画『白い鳩』を監督。この作品はカンヌやヴェネチアなどの国際映画祭で評価され、チェコ・ヌーヴェルバーグの嚆矢と言われている。その後、『悪魔の罠』(ʻ61年)『マルケータ・ラザロヴァー』(ʻ67年)『蜂の谷』 (ʻ67年)の歴史三部作、初のカラー作品『アデライド』(ʻ69年)を監督し、それぞれ高い評価を得た。「正常化」以降、ヴラーチルは⻑編映画の製作を許されず、 バランドフ・スタジオを去らざるを得なかった。1976年に再び⻑編映画の製作が許可され『焼きジャガイモの煙』 (ʻ76年)を監督。『暑い夏の影』(ʻ77年)はカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭でクリスタルグローブ賞を受賞した。
ビロード革命後、これまでのチェコ映画への貢献に対してチェコのアカデミー賞であるチェコ・ライオン賞を受賞し、チェコ映画テレビアカデミーの会⻑に就任した。1999年死去。

映画『マルケータ・ラザロヴァー』予告編

画像: 映画『マルケータ・ラザロヴァー』予告編 youtu.be

映画『マルケータ・ラザロヴァー』予告編

youtu.be

マルケータ・ラザロヴァ―
(1967年/チェコ/166分/モノクロ/シネマスコープ/モノラル/DCP/原題:Marketa Lazarová)
© 1967 The Czech Film Fund and Národní filmový archiv, Prague
監督・脚本:フランチシェク・ヴラーチル
原作:ヴラジスラフ・ヴァンチュラ
脚本:フランチシェク・パヴリーチェク
撮影:ベドジフ・バチュカ/美術・衣装:テオドール・ピステック/音楽:ズデニェク・リシュカ
出演:マグダ・ヴァーシャーリオヴァー、ヨゼフ・ケムル、フランチシェク・ヴェレツキー、イヴァン・パルーヒ、パヴラ・ポラーシュコヴァー

提供:キングレコード /
配給・宣伝:ON VACATION /
後援:チェコセンター東京
© 1967 The Czech Film Fund and Národní filmový archiv, Prague

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2022年7月2日(土)、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

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