日本橋の三井記念美術館においてリニューアルオープンIとして「絵のある陶磁器 ~仁清・乾山・永樂と東洋陶磁~」が6月26日(日)まで開催中です。リニューアルオープンIIとして「茶の湯の陶磁器 ~“景色”を愛でる~」7月9日(土)〜9月19日(月・祝)も開催されます。

三井記念美術館では、2005年開館以来の全館改修工事を、2021年9月から2022年4月まで実施しました。改修工事は空調機械設備の更新と、館内および展示ケース内照明のLED化、セキュリティ設備の更新、床の張替、エントランス・映像ギャラリー・ショップのリニューアルなど、全面的に行われました。今展示はそのリニューアルオープン展です。

展覧会の趣旨

展覧会の趣旨が下記のように挙げられています。

江戸時代の京都では、仁清や乾山の色絵陶器、染付や金襴手のような中国陶磁を写した永樂家の陶磁器など、絵のある陶磁器が多く焼かれ、それらが今日の京焼へとつながっています。
「江戸店持京商人」として、京都に居住した豪商三井家は、茶の湯を通じて仁清や乾山につながる永樂家の陶磁器を好み、長年にわたり親交がありました。今回の展覧会は館蔵品のなかから、仁清・乾山をはじめ、写しの世界ともいえる永樂保全・和全の陶磁器を中心に、そのもとになった中国陶磁もあわせて展観いたします。

館蔵品としておなじみの陶磁器も多いかと思いますが、今回は描かれている絵や文様の世界に注目していただきます。

展示室1 仁清・乾山・永樂

日本の陶磁器の歴史の中で、器体に釉薬や絵具で絵が描かれるのは、茶湯の陶器として桃山時代に美濃で焼かれた志野や織部がはじまりです。その後、京焼色絵陶器の完成者とも言われる野々村仁清が大名茶人や公家の好みを汲み取った雅な茶陶を焼きました。
尾形乾山(1663~1743)は、仁清に陶法を学び、京都の鳴滝に窯を築いて乾山焼を焼きました。
さらに幕末には、西村(永樂)了全(1770~1841)・保全(1795~1854)が出て、仁清写しや中国陶磁の写しを焼き、茶の湯界の需要に応えます。

画像: 《色絵桐巴文水指》野々村仁清 江戸時代・17世紀 photo©️saitomoichi

《色絵桐巴文水指》野々村仁清 江戸時代・17世紀
photo©️saitomoichi

画像: 《布目色絵団扇形食籠》永樂和全  江戸時代・19世紀 photo©️saitomoichi

《布目色絵団扇形食籠》永樂和全  江戸時代・19世紀
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展示室3 「如庵ケース」茶道具取り合わせ

端午の節句にちなんで、茶碗は永樂保全の《色絵兜菖蒲文平茶碗》、水指は保全の《絵高麗写花文耳付水指》。釜は利休好みの与次郎作《雲龍釜》。床の《祇園祭礼図》は織田信長から千利休が拝領したものと伝わります。

画像: 展示室3の展示風景:《祇園祭礼図 伝千利休所持》 桃山時代・16世紀、《色絵兜菖蒲文平茶碗》永樂保全 江戸時代・文政10年〜嘉永 7 年(1827 〜 54)、《雲龍釜・風炉》釜:辻与次郎 桃山時代・16世紀、《絵高麗写花文耳付水指》永樂保全 江戸時代・文政10年〜嘉永 7 年(1827 〜 54) photo©️saitomoichi

展示室3の展示風景:《祇園祭礼図 伝千利休所持》 桃山時代・16世紀、《色絵兜菖蒲文平茶碗》永樂保全 江戸時代・文政10年〜嘉永 7 年(1827 〜 54)、《雲龍釜・風炉》釜:辻与次郎 桃山時代・16世紀、《絵高麗写花文耳付水指》永樂保全 江戸時代・文政10年〜嘉永 7 年(1827 〜 54)
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展示室4 永樂保全・永樂和全 I

広い展示室4には永樂保全と永樂和全の作品が並びます。
保全は、京焼の家元であると同時に千家十職の一つ、土風炉師の家である善五郎の十一代です。和全は保全の長男で十二代善五郎で、義弟の宗三郎とともに、嘉永6年(1853)に御室仁和寺門前の仁清窯跡に窯を築いて作陶をはじめています。

画像: 左:《染付獅子牡丹文稜花鉢》永樂保全 江戸時代・弘化 4 年頃〜嘉永 7 年(1847頃〜 54)、右:《染付登亀滞船図菱形向付》永樂保全 江戸時代・文政10年〜天保14年(1827 〜 43) photo©️saitomoichi

左:《染付獅子牡丹文稜花鉢》永樂保全 江戸時代・弘化 4 年頃〜嘉永 7 年(1847頃〜 54)、右:《染付登亀滞船図菱形向付》永樂保全 江戸時代・文政10年〜天保14年(1827 〜 43)
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画像: 左:《白地金襴手鳳凰文天目 明治23年皇后献茶用》永樂和全 明治時代・19世紀、右:《赤地金襴手鳳凰文天目 明治20年明治天皇献茶用》永樂和全 明治時代・19世紀 photo©️saitomoichi

左:《白地金襴手鳳凰文天目 明治23年皇后献茶用》永樂和全 明治時代・19世紀、右:《赤地金襴手鳳凰文天目 明治20年明治天皇献茶用》永樂和全 明治時代・19世紀
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展示室5 永樂和全 II

展示室5は和全の菊谷窯の作品を中心に展示しています。菊谷窯は、粗い胎土に薄く透明釉を掛けて簡略な絵付けを施したものが多く、民芸風ともいえる雅味があり、晩年の和全の境地がうかがえるものです。

画像: 左:《鶴亀絵土器皿 円山応挙画》絵:円山応挙 江戸時代・寛政元年(1789)、右:《応挙写鶴亀絵平皿 三井高福画》永樂和全 明治15年(1882) photo©️saitomoichi

左:《鶴亀絵土器皿 円山応挙画》絵:円山応挙 江戸時代・寛政元年(1789)、右:《応挙写鶴亀絵平皿 三井高福画》永樂和全 明治15年(1882)
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展示室7 東洋陶磁

最後の展示室7では、保全や和全が写しの手本とした中国陶磁のなかから、絵がある作品を選んで展示しています。

この春リニューアルされた空間に、絵のある陶磁器の多彩な世界を堪能しに行きましょう。

画像: 左:《呉須赤絵龍文大平鉢》 明時代・17世紀、右:《呉須赤絵龍花鳥文大平鉢》 明時代・17世紀 photo©️saitomoichi

左:《呉須赤絵龍文大平鉢》 明時代・17世紀、右:《呉須赤絵龍花鳥文大平鉢》 明時代・17世紀
photo©️saitomoichi

概要

会期:開催中〜2022年6月26日(日)
会場:三井記念美術館
住所:東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 三井本館7階
時間:11:00〜16:00 (最終入場時間 15:30)
休館日:月曜日
観覧料:一般 1,000円(800円)、大学・高校生 500円(400円)、中学生以下 無料
    *70歳以上の方は800円(要証明)
    *リピーター割引:会期中一般券、学生券の半券の提示で、2回目以降は( )内割引料金となります。
    *障害者手帳を提示の方、およびその介護者1名は無料です(ミライロIDも可)
入館について:予約なしで入館可能。

■「国際博物館の日」を記念して、5月18日(水)当日に限り、外国人および大学・高校生の方は無料でご入館いただけます。
※パスポート(写し可)または学生証のご提示をお願いしております。

   37.5度以上の熱がある方は入館できません。入館にはマスクの着用が必要です。
   また、展示室内の混雑を避けるため入場制限を行う場合があります。
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式URL:http://www.mitsui-museum.jp/

cinefil 読者チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「絵のある陶磁器 ~仁清・乾山・永樂と東洋陶磁~」プレゼント係宛てにメールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  miramiru.next@gmail.com
*応募締め切りは2022年5月22日 24:00 日曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
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