ついに大阪・中之島に「大阪中之島美術館」が誕生しました。
大阪市制100周年記念事業のひとつとして、近代美術館を新たに建設することになり、1983年に構想された「大阪中之島美術館」は、約40年の時を経て、2022年2月に開館を迎えました。
大阪・国立国際美術館に隣接する大阪の新しいアートの殿堂です。

画像: 《SHIP‘S CAT(Muse)》ヤノベケンジ 2021 photo by ©cinefil

《SHIP‘S CAT(Muse)》ヤノベケンジ 2021 photo by ©cinefil

スタイリッシュなブラックキューブの大阪中之島美術館の前でお出迎えするのは、巨大ネコのオブジェ。
「希望のモニュメント」《サンチャイルド》で有名な大阪が誇る現代美術作家・ヤノベケンジ作の作品《SHIP‘S CAT(Muse)》(2021)です。
ネコは神社の鳥居を思わせる朱色と白のコントラストが際立つ宇宙飛行士のような出で立ちで、まさに美術館の守護神のようです。

オープニングの「Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―」(2022年2月2日〜 3月21日)では、6000点を超える収蔵作品のなかから、佐伯祐三やモディリアーニ、ロートレック、森村泰昌などの作品約400点が紹介されています。

そして第二弾となる「モディリアーニ ─愛と創作に捧げた 35 年─」(2022 年 4 月 9 日~7 月 18 日)は、独自の芸術世界を築き、わずか35歳で生涯を閉じたモディリアーニの本格的な回顧展で、2008 年の回顧展以来、日本でモディリアーニの作品をまとめてご紹介する初めての機会となります。

画像1: 展覧会風景 photo by ©cinefil

展覧会風景 photo by ©cinefil

アメデオ・モディリアーニ(1884-1920)は祖国イタリアで美術を学んだ後、21 歳でパリに出て様々な芸術に出会いますが、フォーヴィスム、キュビスムなど新しい芸術運動が展開する中、どの運動にも属さず独自の表現様式を築きました。
モディリアーニは一貫して人物像の制作に取り組み、フォルムへの関心を追求し、モデルとなった人物の内面的な本質を捉えたのです。
2020 年に没後 100 年を迎えましたが、今なお、モディリアーニの芸術は脚光を浴び、世界から注目を集めています。

本展ではさらに、モディリアーニと親交を深めたキスリングやパスキンなど、「エコール・ド・パリ」と呼ばれる外国出身作家や、新しい流れを生み出したピカソやセヴェリーニなどの作品も合わせて展示されています。
              
モディリアーニと 20 世紀前期のパリで開花した芸術は、新時代の幕開けを迎える躍動感に満ちていて、大阪中之島美術館の幕開けにふさわしい展覧会となっています。
是非、この機会に「モディリアーニ ─愛と創作に捧げた 35 年─」をご堪能ください。
それでは、シネフィルでも展覧会の構成に沿って、いくつかの作品を紹介致します。

画像2: 展覧会風景 photo by ©cinefil

展覧会風景 photo by ©cinefil

本展の見どころ

1.世界初公開の肖像画を含め、国内外のモディリアーニ作品約 40 点が集結

画像: 《少女の肖像》アメデオ・モディリアーニ  1915年頃、グレタ・ガルボ・ファミリー・コレクション

《少女の肖像》アメデオ・モディリアーニ  1915年頃、グレタ・ガルボ・ファミリー・コレクション 

不幸にも結核性髄膜炎のため、35 歳で急逝したモディリアーニの作品は、それほど多くはありません。
本展では、国内をはじめ、フランス、イギリス、ベルギー、デンマーク、スイス、アメリカなどから珠玉の油彩画や素描などが一堂に会します。なかでも、スウェーデン生まれの伝説的ハリウッド女優、グレタ・ガルボが生涯にわたって愛蔵した《少女の肖像》は世界初公開となります。

画像: グレタ・ガルボの部屋の再現 展覧会風景 photo by ©cinefil

グレタ・ガルボの部屋の再現 展覧会風景 photo by ©cinefil

2.大阪中之島美術館所蔵の裸婦像と同じモデルを描いた作品が来日、大阪で初めての再会

画像: 《座る裸婦》アメデオ・モディリアーニ 1917 年、アントワープ王立美術館 photo: Rik Klein Gotink, Collection KMSKA - Flemish Community (CC0)

《座る裸婦》アメデオ・モディリアーニ 1917 年、アントワープ王立美術館
photo: Rik Klein Gotink, Collection KMSKA - Flemish Community (CC0)

画像: 《髪をほどいた横たわる裸婦》アメデオ・モディリアーニ 1917 年、大阪中之島美術館

《髪をほどいた横たわる裸婦》アメデオ・モディリアーニ 1917 年、大阪中之島美術館

大阪中之島美術館の約 6000 点のコレクションを代表する《髪をほどいた横たわる裸婦》。
本展では、この作品のモデルと同一の女性を描いたアントワープ王立美術館(ベルギー)所蔵の《座る裸婦》が来日、大阪で初めての競演が叶います。
「横たわる裸婦」をテーマに描いたルネサンス期のティツィアーノの作品《ウルヴィーノのヴィーナス》を意識して描かれたとも言われていますが、モディリアーニは古典的とは真逆の新しい独自の感性で、斬新に描いています。

画像: 左《髪をほどいた横たわる裸婦》アメデオ・モディリアーニ 1917 年、大阪中之島美術館 右《座る裸婦》アメデオ・モディリアーニ 1917 年、アントワープ王立美術館 photo: Rik Klein Gotink, Collection KMSKA - Flemish Community (CC0) photo by ©cinefil

左《髪をほどいた横たわる裸婦》アメデオ・モディリアーニ 1917 年、大阪中之島美術館
右《座る裸婦》アメデオ・モディリアーニ 1917 年、アントワープ王立美術館
photo: Rik Klein Gotink, Collection KMSKA - Flemish Community (CC0)
photo by ©cinefil

3.モディリアーニとともに活躍した芸術家の作品を集め、大阪・中之島に「エコール・ド・パリ」の空間を再現

20 世紀前期のパリで活動したモディリアーニは「エコール・ド・パリ」の一員として、ピカソやシャガール、藤田嗣治などと同世代で、そうした仲間たちの作品も多数紹介されています。

プロローグ:20 世紀初頭のパリ

モディリアーニが過ごした20世紀初頭のパリは華やいだベル・エポック(“良き時代”などを意味するフランス語。19世紀末から第1次世界大戦が勃発するまでのフランスの繁栄を表す)の時代から一転して、フランスは1914年から1918年まで第1次世界大戦の渦中に置かれます。
戦時下で苦しい市民生活を強いられるなか、芸術家たちは苦難に耐えて制作しました。
そうした時代背景がポスター作品やパネル展示によって紹介されています。

第 1 章:芸術家への道

故郷イタリアからパリに到着したモディリアーニは、セザンヌなどの作品に影響を受け、キュビスムやフォーヴィスムなど新しい表現に触発されます。
さらに、他の芸術家と同様にアフリカ美術にも魅せられ、この時期は彫刻とカリアティー
ド(古代建築に用いられた女性の姿を模した柱)の制作に没頭しました。

第 2 章:1910 年代パリの美術

モディリアーニは異国出身者の総称「エコール・ド・パリ」の仲間ですが、当時のパリは新しい美術が次々と生まれる刺激的な芸術都市でした。
モディリアーニは仲間と豊かに交流し、文学者とも親交を深めます。
本章ではピカソ、シャガール、スーティンなど、パリで活躍した芸術家たち25名の作品が集められ、モディリアーニとの関わりを中心に紹介されています。

第 3 章:モディリアーニ芸術の真骨頂 肖像画とヌード

彫刻から絵画へ復帰したモディリアーニは肖像画を次々に描き、絵画表現を成熟させていきます。
モデルとなったのは友人や知人、恋人らでした。1917年には画商ズボロフスキーの勧めで裸婦の連作に取り組みます。
モディリアーニは約400点の油彩画を残していますがそのほとんどは肖像画で、裸婦は約40点といわれています

画像: 《エレナ・ポヴォロスキ》アメデオ・モディリアーニ 1917 年、フィリップス・コレクション

《エレナ・ポヴォロスキ》アメデオ・モディリアーニ 1917 年、フィリップス・コレクション

パリと南仏でこの時期に制作した作品群にはモディリアーニ芸術の真価が凝縮されています。
最終章では、日本初公開となるバーゼル美術館(スイス)所蔵の肖像画をはじめ、珠玉の作品群をご鑑賞ください。

画像: 《ドリヴァル夫人の肖像》アメデオ・モディリアーニ 1916年頃、バーゼル美術館寄託

《ドリヴァル夫人の肖像》アメデオ・モディリアーニ 1916年頃、バーゼル美術館寄託

画像: 《若い女性の肖像》アメデオ・モディリアーニ 1917年頃、テート、Photo © Tate

《若い女性の肖像》アメデオ・モディリアーニ 1917年頃、テート、Photo © Tate

20世紀初頭の画家たちはそれまでにない新しい表現を求めていました。
モディリアーニもまた、独自の世界を描いたのでしょう。
新しく誕生した大阪中之島美術館でモディリアーニの新しい風をご堪能ください

画像: 美術館内の藤森氏デザインのベンチ photo by ©cinefil

美術館内の藤森氏デザインのベンチ photo by ©cinefil

画像: 美術館内の藤森氏デザインのベンチ photo by ©cinefilm

美術館内の藤森氏デザインのベンチ photo by ©cinefilm

大阪中之島美術館のオリジナル家具として、美術館のベンチや椅子などを藤森泰司氏がデザインしました。
シャープでモダンなデザイン性と機能性を兼ね備えた美しい家具です。
是非、美術館で座り心地を確かめてください。

展覧会概要

【展覧会名】 開館記念特別展
モディリアーニ ―愛と創作に捧げた 35 年―
【会期 】 2022 年 4 月 9 日(土)– 7 月 18 日(月・祝)
【開館時間】 10:00~17:00
*入場は 16:30 まで。月曜日休館(5/2、7/18 を除く)。
*災害などにより臨時で休館となる場合があります。
【会場 】 大阪中之島美術館 5 階展示室
【 観 覧 料 】 一般 1,800 円(1,600 円)|高大生 1,500 円(1,300 円)|小中生 500 円(300 円)
*税込み価格。カッコ内は前売り〔販売期間:2022 年 2 月 2 日(水)~4 月 8 日(金)〕
及び 20 名以上の団体料金。
*企画チケットなど詳細は本展公式ホームページで順次お知らせします。
【公式ホームページ】:https://modi2022.jp
【主催 】 大阪中之島美術館、読売新聞社
【協力 】 国立民族学博物館

「モディリアーニ ─愛と創作に捧げた 35 年─」@大阪 シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、「モディリアーニ ─愛と創作に捧げた 35 年─」@大阪 シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上2組4名様に、招待券をお送り致します。
この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
*応募締め切りは2022年4月18日 月曜日 24:00
1、氏名
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
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また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

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