1974年より埋もれた世界の名作映画を発掘して上映し、ミニシアターの先駆けとして54年の歴史を持つ東京 神保町の映画館「岩波ホール」が、コロナ禍の急激な経営の悪化により運営が困難になったとして、ことし7月29日(金)に閉館することとなった。

画像: 公式サイトより閉館のお知らせ www.iwanami-hall.com

公式サイトより閉館のお知らせ

www.iwanami-hall.com

岩波ホールは、1968年に多目的ホールとして開館し、その後、1974年より総支配人であった高野悦子さんと、川喜多かしこさんが商業ベースにはなりづらいと考えられている名作を上映することを目的として世界の埋もれた作品を発掘して上映する「エキプ・ド・シネマ」を発足し、展開。
大手の配給会社が扱わない作品を独自に選んで上映する「ミニシアター」の先駆けとして長年の間、コアな映画ファンに愛され続けてきた。また、日本で初めて各回完全入れ替え制、定員制を実施、予告編上映の際に企業コマーシャルを流さない、映画ファンの誰でも入会できる会員制度の仕組みなど、今までにない映画館のあり方を提供した。
2021年には、リニューアル工事もおこなっていたが、長引くコロナの影響での経営悪化によって、貴重な文化施設をも閉館に追い込んでしまった。

主な上映作品は、サタジット・レイ監督による第1回上映作品『大樹のうた』(1974年)以降、
70年代『大いなる幻影』(1976年)、『惑星ソラリス』(1977年)『家族の肖像』(1978年)『旅芸人の記録』(1979年)。
80年代、『大理石の男』(1980年)『山猫』(1981年)『ファニーとアレクサンデル』(1985年)『八月の鯨』(1988年)。
90年代、『眠る男』(1996年)『宋家の三姉妹』(1998年)など、良質な映画を上映し続け、2000年代になってからも、『美しい夏キリシマ』(2003年)、『サラエボの花』(2007年)、『木洩れ日の家で』(2011年)『ハンナ・アーレント』(2013年)など、現在までに65カ国・271作品を上映してきた。(2022年1月12 日現在)

2022年1月14日までは、『ユダヤ人の私』を上映、1月15日からは、日向寺太郎監督による日中合作『安魂(あんこん)』、1月29日からは近年特に数多く日本に紹介し続けてきたジョージアの映画をまとめて『ジョージア映画祭2022 コーカサスからの風』と題して特集上映されることが告知されている。

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