すみだ北斎美術館において2021年12月5日(日)まで「学者の愛したコレクション ―ピーター・モースと楢﨑宗重―」を開催しています。

すみだ北斎美術館では、北斎の研究者であり、世界有数の北斎作品コレクターであったピーター・モース氏と、葛飾派作品以外にも貴重で多種多様な資料を収集した浮世絵研究の第一人者・楢﨑宗重氏の二大コレクションを有しています。

本展ではピーター・モースコレクションより江戸時代の風俗・流行が窺える作品、楢崎宗重コレクションより江戸から昭和期にかけて特に人気や評価が高かったとされる絵師・画家の作品を厳選し、約140点を展観します。希少な北斎作品や、高名な絵師・画家たちによる貴重な作品の数々を展示し、両氏が生涯をかけて収集、研究した珠玉の名品に対するこだわりと研究業績を紹介します。

画像: 第一展示室入口展示風景 photo©️saitomoichi

第一展示室入口展示風景
photo©️saitomoichi

画像: 展示風景:会場壁面にはモース氏の言葉も掲げられている。 photo©️saitomoichi

展示風景:会場壁面にはモース氏の言葉も掲げられている。
photo©️saitomoichi

展覧会は3章構成で第1章は「ピーター・モースコレクション」です。

ピーター・モース(1935-93)氏は、北斎の「諸国瀧廻り」シリーズに関する論文を執筆、「百人一首乳母かゑとき」シリーズに関する単著『Hokusai: One Hundred Poets』を刊行し、また、北斎のカタログレゾネ(全作品目録)の作成を試みるなど、北斎の研究者であり、北斎作品の収集家でした。大森貝塚を発見したエドワード・モースの血縁(弟の曾孫)にもあたります。

北斎作品や研究資料など総数約600点に及ぶピーター・モースコレクションは、欧米における北斎の個人収集としては最高・最大の内容といわれており、研究者の眼で収集された希少価値の高い作品が多く含まれていることが特徴です。本章ではピーター・モースコレクションから95点の作品を展示します。

1章1節は「外での楽しみ」。
モースコレクションの中には自社参詣、行楽など、野外での活動の様子がうかがえる作品が多くみられます。モースコレクションの小版錦絵には、東海道の旅の様子を描いた作品が豊富にあります。江戸時代、東海道をはじめとする街道が整備されたことは、庶民が遠方に赴きやすくなった要因の一つと言えます。

画像: 葛飾北斎《新板浮絵八ッ山花盛群集之図》 文化(1804-18)中期頃  すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期) photo©️saitomoichi

葛飾北斎《新板浮絵八ッ山花盛群集之図》 文化(1804-18)中期頃  すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期)
photo©️saitomoichi

画像: 葛飾北斎《神田明神休茶屋》 文化2年(1805) すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期) photo©️saitomoichi

葛飾北斎《神田明神休茶屋》 文化2年(1805) すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期)
photo©️saitomoichi

画像: 葛飾北斎《神田明神休茶屋》(部分) 文化2年(1805) すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期) photo©️saitomoichi

葛飾北斎《神田明神休茶屋》(部分) 文化2年(1805) すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期)
photo©️saitomoichi

1章2節は「人々の生活」。
モース氏は、質の高い作品や貴重な作品の収集を追求していました。コレクションには「冨嶽三十六景」や「諸国名橋奇覧」シリーズも含まれています。この節ではモース氏の収集への情熱を感じながら、江戸時代の生活や流行について読み取れる作品を展示しているとのことです。

画像: 葛飾北斎《冨嶽三十六景 武州玉川》 天保2年(1831)頃  すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期) photo©️saitomoichi

葛飾北斎《冨嶽三十六景 武州玉川》 天保2年(1831)頃  すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期)
photo©️saitomoichi

1章3節は「芸能を堪能」。
江戸時代中期以降、歌舞伎や浄瑠璃などの芸能が大流行しました。モースコレクションの中にも芸能を題材にした作品が多数見られます。この節では、芸能を演じる人や芸能を楽しむ人の様子とともに、北斎が生涯をかけて絵を上達させようとした熱意と、モース氏が北斎の画歴全体を見渡せるような作品収集に注力した熱意を楽しんでほしいそうです。

画像: 葛飾北斎《『北斎漫画』草筆之部》 天保14年(1843) すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期) photo©️saitomoichi

葛飾北斎《『北斎漫画』草筆之部》 天保14年(1843) すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期)
photo©️saitomoichi

画像: 葛飾北斎《新板浮絵三芝居顔見世大入之図》 文化(1804-18)中期頃 すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期) photo©️saitomoichi

葛飾北斎《新板浮絵三芝居顔見世大入之図》 文化(1804-18)中期頃 すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期)
photo©️saitomoichi

1章4節は「文学に親しむ」。
モース氏には、北斎の「百人一首乳母かゑとき」シリーズについてまとめた著書があります。モース氏が北斎の百人一首や版本など、特に文学に関する作品について几帳面に研究したことが伺えます。

画像: 葛飾北斎《百人一首乳母かゑとき 猿丸太夫》 天保6年(1835)頃 すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期) photo©️saitomoichi

葛飾北斎《百人一首乳母かゑとき 猿丸太夫》 天保6年(1835)頃 すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期)
photo©️saitomoichi

画像: 葛飾北斎『近世怪談 霜夜星』 文化5年(1808) すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期・後期) photo©️saitomoichi

葛飾北斎『近世怪談 霜夜星』 文化5年(1808) すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期・後期)
photo©️saitomoichi

第2章は「楢﨑宗重コレクション」です。

楢﨑宗重(1904-2001)氏は、昭和から平成にかけて活動した美術史家です。戦前より浮世絵雑誌の発行に携わり、国際浮世絵学会の前身である日本浮世絵協会(第二次・第三次)を設立し、会長などをつとめました。また、戦後間もない時期に『北斎論』を刊行し北斎研究の分野でも活躍し続け、浮世絵を美術史の中で学問的に位置づけることに尽力しました。これらの研究活動の中で収集された楢崎コレクションは、美術史研究上、貴重な美術資料・歴史資料を含んでおり、すみだ北斎美術館では約480点を所蔵しています。本章では、楢﨑コレクション作品の中から北斎をはじめ様々な絵師、時代、形態のものを、一部楢﨑氏が著した作品解説とともに紹介します。

画像: 葛飾北斎《北斎翁道之志遠里 箱根》 文政年間(1818-1830) すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期) photo©️saitomoichi

葛飾北斎《北斎翁道之志遠里 箱根》 文政年間(1818-1830) すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期)
photo©️saitomoichi

画像: 歌川国貞《当世美人合 身じまい芸者》 文政(1818-30)末期頃 すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期) photo©️saitomoichi

歌川国貞《当世美人合 身じまい芸者》 文政(1818-30)末期頃 すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期)
photo©️saitomoichi

画像: 小林清親《両国雪中》 明治10年(1877)頃 すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期) photo©️saitomoichi

小林清親《両国雪中》 明治10年(1877)頃 すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期)
photo©️saitomoichi

第3章は「研究者・コレクターたちの記録」です。

第1章・第2章を通して二人の学者の研究者像を紹介してきましたが、浮世絵をはじめとする美術作品は研究者やコレクターたちによって様々な経緯で収集され、大切に保管されてきました。本章では戦前に名高かった浮世絵収集家や研究者を「古今東西浮世絵数寄者総番附」から紹介します。

画像: 金子孚水《古今東西浮世絵数寄者総番附》 昭和13年(1938) すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期・後期) photo©️saitomoichi

金子孚水《古今東西浮世絵数寄者総番附》 昭和13年(1938) すみだ北斎美術館蔵(展示期間:前期・後期)
photo©️saitomoichi

本展覧会の会期は前期(開催中~11月7日)・後期(11月9日~12月5日)に分かれており、多くの作品が展示替えされます。ぜひ、二期とも訪れて二人の研究者が収集した北斎の世界を堪能しましょう。

開催概要

会期:開催中〜2021年12月5日(日)
   前期:10月12日~11月7日
   後期:11月9日~12月5日
   ※前後期で一部展示替えあり
会場:すみだ北斎美術館 Google Map
住所:東京都墨田区亀沢2-7-2
時間:9:30〜17:30 (最終入場時間 17:00)
休館日:月曜日
観覧料:一般 1,000円、高校生・大学生 700円、65歳以上 700円、
    中学生 300円、障がい者 300円、小学生以下 無料
  ※中学生・高校生・大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証を要提示
  ※65歳以上の方は年齢を証明できるものを要提示
  ※身体障がい者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳、被爆者健康手帳などをお持ちの方及びその付添の方1名まで障がい者料金で観覧できます(入館の際は、身体障がい者手帳などを要提示)
   ※観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)も観覧できます
TEL:03-6658-8936
URL:https://hokusai-museum.jp/

cinefil 読者チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「学者の愛したコレクション ―ピーター・モースと楢﨑宗重―」プレゼント係宛てにメールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  miramiru.next@gmail.com
*応募締め切りは2021年10月24日 24:00 日曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
5、記事を読んでみたい監督、俳優名、アーティスト名
6、読んでみたい執筆者
7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、
  5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
 (複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。

抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

This article is a sponsored article by
''.