「ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス」が9月18日よりBunkamura ザ・ミュージアムにて開催されています。
「箱根の自然と美術の共生」をコンセプトにしたポーラ美術館のコレクションは2006年より各地を巡回し、大阪・あべのハルカス美術館でも好評を博しました。
今回は東京で、箱根のポーラ美術館のコレクションを鑑賞できる絶好の機会です。

8回目の全国巡回展となる今回は、西洋絵画コレクションから特に人気の高い印象派のモネやルノワールから、後期印象派のセザンヌ、ゴッホ、前衛芸術運動の中心となったマティス、ピカソ、「エコ―ル・ド・パリ」のユトリロ、シャガールなど名だたる画家28名による珠玉の名画74点が一堂に会します。
また、巡回展では初めて12件のアール・ヌーヴォーとアール・デコの化粧道具コレクションも展示されます。
是非、この機会に印象派の光あふれる色彩豊かな 作品から「エコール・ド・パリ」への時代の変遷をご堪能ください。

画像: 《女神文香水瓶》 エミール・ガレ 1884年  ガラス  ポーラ美術館蔵

《女神文香水瓶》 エミール・ガレ 1884年  ガラス  ポーラ美術館蔵

ポーラ美術館は、2002年9月、富士箱根伊豆国立公園内の豊かな緑に囲まれた箱根・仙石原に開館しました。
ポーラ美術館のコレクションは、西洋絵画、日本の洋画、日本画、版画、彫刻、東洋陶磁、日本の近現代陶芸、ガラス工芸、化粧道具など多岐にわたり、総数は約1万点におよびます。その核となる西洋絵画のコレクションは、19世紀フランス印象派の絵画から、ポスト印象派を経て20世紀絵画に至る、西洋の近代美術の展開を体系的にたどる国内でも屈指の
コレクションになっています。
それでは、シネフィルでも展覧会の構成に従って、いくつかの作品を観ていきましょう。

画像: 《室内:二人の音楽家》 アンリ・マティス  1923年  油彩/カンヴァス  ポーラ美術館蔵

《室内:二人の音楽家》 アンリ・マティス  1923年  油彩/カンヴァス  ポーラ美術館蔵

19世紀末から20世紀にかけて女性のファッションや化粧は劇的に変化しました。それは労働、社交、レジャーなどの活動に代表される女性のライフスタイルの変遷によるものです。美しく着飾ったパリジェンヌたちは、印象派からエコール・ド・パリに至る画家たちの眼をとらえ、時代の象徴として様々に描かれています。

本展では、①時代を映すファッショナブルな女性像、②近代化によって大きく変貌するパリ、③画家たちが旅先で出会った風景や南仏など重要な制作地を巡る旅、の3つのテーマを通して、フランスを舞台に活躍した画家たちの美意識が感じられるでしょう。

画像: 《サン=ラザール駅の線路》 クロード・モネ  18 77年  油彩/カンヴァス  ポーラ美術館蔵

《サン=ラザール駅の線路》 クロード・モネ  18 77年  油彩/カンヴァス  ポーラ美術館蔵

産業革命によって鉄道が目覚ましく発達し、鉄道網がフランス各地にまで延びたことにより、パリの人々の生活には田舎や行楽地で余暇を楽しむレジャーが定着しました。一方、画家たちは理想の風景を追い求めてパリ郊外や南仏等に移り住み、作品制作にいそしむようになりました。そこには旅先や移住先の自然豊かな色彩あふれる田園風景と、そこでの人々の過ごし方を垣間見ることができます。

第1章 都市と自然 —モネ、ルノワールと印象派

19世紀後半に急速に近代化の進むパリと郊外の行楽地を舞台に、新たな芸術運動を展開したモネやルノワールなど印象派の画家たちが紹介されています。

画像: クロード・モネ 《睡蓮》 1907年  油彩/カンヴァス ポーラ美術館蔵 photo by © cinefil

クロード・モネ 《睡蓮》 1907年  油彩/カンヴァス ポーラ美術館蔵 photo by © cinefil

「光の画家」「睡蓮の画家」とも称される印象派の巨匠・モネは、パリを出て、終の棲家に選んだジヴェルニーに広大な庭園、睡蓮の池を造り、約300点にも上る「睡蓮」の作品を描きました。
水面に映る樹木と水辺に浮かぶ睡蓮が見事に調和し、美しい色彩で表現されています。

画像: ピエール・オーギュスト・ルノワール《レースの帽子の少女》 1891年  油彩/カンヴァス  ポーラ美術館蔵 photo by © cinefil

ピエール・オーギュスト・ルノワール《レースの帽子の少女》 1891年  油彩/カンヴァス  ポーラ美術館蔵 photo by © cinefil

第2章 日常の輝き ―セザンヌ、ゴッホとポスト印象派

印象派の描法を独自に推し進めたセザンヌやゴッホの作品をはじめ、彼らポスト印象派の画家たちの影響を色濃く受けたボナールの作品から、色彩と造形の探究によって浮かび上がる日常という身近な世界の魅力に焦点が当てられています。

画像: 《プロヴァンスの風景》 ポール・セザンヌ 1879-1882年 油彩/カンヴァス  ポーラ美術館蔵

《プロヴァンスの風景》 ポール・セザンヌ 1879-1882年 油彩/カンヴァス  ポーラ美術館蔵

第3 章 新しさを求めて —マティス、ピカソと20世紀の画家たち

新しい世紀を迎えたパリで前衛芸術運動の中心となったマティスとピカソ、レジェの作品によって、20世紀美術のダイナミズムをとらえます。

画像: 《襟巻の女》 アンリ・マティス  1936年 油彩/カンヴァス  ポーラ美術館蔵

《襟巻の女》 アンリ・マティス  1936年 油彩/カンヴァス  ポーラ美術館蔵

第4章 芸術の都 —ユトリロ、シャガールとエコール・ド・パリ

印象派の登場以来、新しい芸術を生み出し続けてきたパリは「芸術の都」と称され、世界各国の若い芸術家たちを魅了します。「エコール・ド・パリ」を中心に、戦間期のパリを彩った多様な表現が紹介されています。

画像: 《花》キスリング 1929年  油彩/カンヴァス  ポーラ美術館蔵

《花》キスリング 1929年  油彩/カンヴァス  ポーラ美術館蔵

 

キスリングはパリの社交界の人々と交友し、艶やかな色彩で、肖像画に加え花瓶に生けられた花の作品を多く描きました。

青空のもと、まばゆい光を受けて輝く緑の樹々や、澄みきった川の水面がきらめく、美しい風景画の数々は、清々しい空気感までもが伝わってくるようで、清涼感を感じる、ひとときの癒しの時間となるでしょう。
また、流行の衣装を身にまとった優美で魅惑的な女性像は、次々と生まれる新しい芸術の時代を映す鏡のようです。
是非、この感動を美術館で!
珠玉の名画に癒される夢のようなひとときをお過ごしください。
                        (美学美術史学科専攻 米澤美也子)

展覧会概要

展覧会名 ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス
会期 2021年9月18日(土)〜2021年11月23日(火・祝)
会場 Bunkamura ザ・ミュージアム
住所 東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura B1F
時間 10:00〜18:00 (最終入場時間 17:30)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
※金・土の夜間開館については予定のため、変更になる可能性があります
休館日 9月28日(火)、10月26日(火)
観覧料 一般 1700円 大学・高校生 1000円 中・小学生 700円
※未就学児は入館無料
※学生券を購入の際は、学生証を要提示(小学生は除く)
※障がい者手帳の提示で本人と付き添い1名は半額(一般 850円、大高 500円、中小 350円)当日窓口にて購入下さい
お問合せ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会ホームページ 

※会期中のすべての土日祝および11月15日(月)~11月23日(火・祝)は【オンラインによる入場日時予約】が必要となります。詳細は下記をご確認ください。
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/21_pola/topics/nichiji.html

※入場日時予約対象日は変更になる可能性もございます。
※状況により、会期・開館時間等が変更となる可能性がございます。
最新情報など詳細は当HPにて随時ご案内いたしますので、ご来場の際には事前のご確認をお願いいたします。

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