カバー画像 上村松園《人生の花》1899年 京都市美術館蔵[通期展示]

京都市京セラ美術館の開館1周年を記念し、気品漂う美人画で近代京都画壇を代表する女流画家・上村松園の回顧展が7月17日より開催されます。
1974年に開催した同館の「生誕100年記念 上村松園展」から約50年ぶりとなる本展では、初期の代表作《人生の花》をはじめ、絶筆となった《初夏の夕》など松園の珠玉の芸術作品、約100点が集結しています。

上村松園(1875-1949)は京都に生まれ、京都府画学校に学び、鈴木松年、幸野楳嶺、竹内栖鳳に師事。日常生活や歴史、物語などをテーマに、清楚で品格のある女性像を独自の清澄な雰囲気で繊細に描き出し、昭和23(1948)年には、 女性として初の文化勲章を受章しました。

本展では、重要文化財に指定された《序の舞》(1936年、東京藝術大学蔵)と、《母子》(1934年、東京国立近代美術館蔵)の2作品をはじめ、《砧》(1938年、山種美術館蔵)、《草子洗小町》(1937年、東京藝術大学蔵)など全国の美術館や個人所蔵家の協力のもと、最初期の作品から絶筆まで、松園芸術の全貌が紹介されています。
この機会に松園の描く清澄で気品漂う女性たちをご鑑賞ください。
それではいくつかの作品をシネフィル上でも紹介致します。

画像: 重要文化財 上村松園《序の舞》1936年 東京藝術大学蔵[後期展示]

重要文化財 上村松園《序の舞》1936年 東京藝術大学蔵[後期展示]

本作は、能楽の仕舞のなかでも静謐で上品な「序の舞」をテーマとしており、現代女性を描いた数少ない松園作品として知られています。
優雅な所作の中に凛とした気品が感じられる松園の代表作のひとつです。
女性のうちに潜む強い意志を、静かな中にも品位のある仕舞「序の舞」を通して描いています。絵のモデルは上村松篁の妻(上村淳之の母)の未婚時代の姿です。

画像: 上村松園《焰》1918年 東京国立博物館蔵[前期展示]

上村松園《焰》1918年 東京国立博物館蔵[前期展示]

《焰》は、「源氏物語」に登場する六条御息所の静かに燃え上がる嫉妬心を見事に表現しました。時を超え、遥か源氏物語の世界が垣間見えるようです。
光源氏を愛する六条御息所は、その強い思いから正妻・葵上や他の恋人をも、呪い殺したといわれています。高貴で美しい女性が生霊となり、ドロドロとした嫉妬心が、めらめらと燃え上がる瞬間が描かれています。
美しい女性の内面の壮絶な悲しみと怒りを表現しています。
清楚で穏やかな女性を描くことが多い松園にしては珍しい作品です。

画像: 上村松園《人生の花》1899年 京都市美術館蔵 [通期展示]

上村松園《人生の花》1899年 京都市美術館蔵 [通期展示]

松園の初期の作品で、婚礼の席に向かう花嫁とその母の姿を描いた作品です。
「晴れの日」の母と娘の心情が横顔から窺えます。
松園は、美しい着物の文化、日本の風俗を描き残したかったのかも知れません。

画像: 上村松園《晩秋》1943年 大阪市立美術館蔵[前期展示]

上村松園《晩秋》1943年 大阪市立美術館蔵[前期展示]

日常生活の何気ない様子、縁側で障子の破れを直す女性を描いた作品です。
女性の髪型は、明治以降の京都独特の形で、若い女性に人気の「粋書(すいしょ)」と呼ばれるもの。黒の掛け襟をつけた無地のきものに、青磁色の博多織の昼夜帯を締め、帯締めで留めています。透明感のある美しい青色が印象的です。

画像: 上村松園《清少納言》1917-18年頃 個人蔵 [通期展示]

上村松園《清少納言》1917-18年頃 個人蔵 [通期展示]

新発見となる作品《清少納言》を初公開。同作は、1917~18年ごろに描かれたとみられ、名作《花がたみ》と《焰》のあいだの時期に制作された大正期の松園の名作です。
本展は、その存在は知られていたものの、作品自体は長らく行方不明でした。作品発表時以来、初めて出品される機会となります。
平安時代の作家・歌人である清少納言が中宮定子の問いかけに応えてみすを上げている様子を描いています。
みす越しに雪景色を見せる透かしの技法に繊細な松園の手腕が見られます。

画像: 上村松園《初夏の夕》1949年 京都市美術館蔵 [通期展示]

上村松園《初夏の夕》1949年 京都市美術館蔵 [通期展示]

本展では、木村伊兵衛が横山大観、川合玉堂、上村松園、鏑木清方の4人を撮影し、海外向けに1939年に刊行された写真集『Four Japanese Painters(四人の日本画家)』の中の写真作品《上村松園》(1938年、東京都写真美術館蔵)7点を、松園の回顧展としては初めて出品します。

松園が描く着物姿の女性は、清澄な雰囲気の中、凛として気品に溢れる美しい日本女性です。
是非この夏、京都で松園の描く世界をご堪能ください。(美学美術史学科専攻 米澤美也子)

展覧会概要

展覧会名:京都市京セラ美術館開館1周年記念展「上村松園」
会期:2021年7月17日(土)〜9月12日(日) 会期中に展示替えあり
[前期 7月17日(土)〜8月15日(日) / 後期 8月17日(火)〜9月12日(日)]
会場:京都市京セラ美術館 本館 北回廊1F
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124
開館時間:10:00〜18:00(最終入場は17:30)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
料金:一般 1,800円(1,600円)、大学・高校生 1,300円(1,100円)、中学生以下 無料
※( )内は前売・20名以上の団体料金
※京都市内に在住・通学の高校生は無料
※障害者手帳などの提示者は本人および介護者1名無料(確認できるものを持参のこと)
※前売券は、美術館公式オンラインチケット、ローソンチケット(Lコード 55001)、チケットぴあ(Pコード 685-628)、イープラス、セブンチケット、CNプレイガイド、楽天チケットにて発売
混雑時には日時指定優先入場券をお持ちの方を優先案内します。予約、購入は美術館ウェブサイトをご覧ください。
【問い合わせ先】京都市京セラ美術館 TEL:075-771-4334
京都市京セラ美術館公式ウェブサイト https://kyotocity-kyocera.museum

京都市京セラ美術館開館1周年記念展「上村松園」@京都シネフィルチケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、京都市京セラ美術館開館1周年記念展「上村松園」@京都シネフィルチケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、招待券をお送りいたします。
この招待券は、非売品です。
転売業者などに転売されませんようによろしくお願い致します。
☆応募先メールアドレス miramiru.next@gmail.com
*応募締め切りは2021年8月2日 月曜日 24:00
1、氏名
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、当選無効となります。
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また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

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