『ゆきゆきて、神軍』、『ニッポン国VS泉南石綿村』など数々の作品を生み出した原一男監督が、令和元年夏、参議院選挙で注目されたれいわ新選組の選挙戦を、東大教授の安冨歩を中心に密着した『れいわ一揆』。
昨年の東京国際映画祭で特別上映され、大きな話題となりその後も、ロッテルダム国際映画祭、ニューヨーク近代美術館(MoMA)DocFortnight 2020、JAPAN CUTSなどでも上映され、国内外の注目を集めております。

当初4月17日公開予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大状況を鑑みて延期となりました。改めまして、この度9月11日(金)からアップリンク渋谷ほか全国順次公開が決まり、併せて新予告編も解禁されました。

画像: ©風狂映画舎

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《「れいわ一揆」再公開に向けて》

「れいわ一揆」は、今年の4月17日に公開されるはずだった。いよいよ公開だ、とスタッフ共々、張り切って大車輪で準備作業をしていた。その矢先だった。劇場からコロナ禍のため、休業に入る、との知らせ。もしかしたら...と予測はしていた。が実際に上映が延期になったことがわかったときには、一気に全身の力が抜けた。我が映画生活50年で、初めてことだった。それからの時間が長かった。できることはやっておこう、と互いに言いつつも力が出てこない。3ヶ月経った頃、少しずつ劇場が再開に向けて動き出した。「れいわ一揆」は、いつプログラムするか、と劇場側と交渉を何度も何度も続けた。劇場も、上映するはずだった作品が溜まっていて、それらも含めてのプログラムを組まなければならないので大変だ。

さて、再公開が9月11日と決まった。が率直に言って、我が映画関連でいうと、山本太郎代表の都知事選出馬、大西恒樹の「命の選別」発言、野原善正の離党問題、「れいわ一揆」は決してれいわ新選組のPR映画ではないが、それでも党の激震が、もろに作品を揺さぶった。「れいわ一揆」は何という不幸な作品だ、とこの激震を呪った。が、待てよ、と思い直した。この激震の荒波をくぐって上映されるわけだから、より深く作品の意義を問われるだろうが、それは作品にとって意味あることだ、と。

ドキュメンタリーの意義は、問題提起にある、と信じている私にとっては、この作品から、どんな問題意識を汲み取ってくれるだろうか? と楽しみにしている。
映画監督 原一男

《「アップリンク」について》

完成して、作った私たちの思惑をはるかに超えて大きな話題になっていた「ゆきゆきて、神軍」。どこの劇場が上映してくれるだろうか?
と思案を始めた当初から、ユーロスペースの堀越謙三は親身になってアドバイスをしてくれた。紆余曲折あったが、どんなことがあってもウチでは上映するからね、と早くから宣言してくれていた堀越謙三に托することを決意。堀越謙三に同志的な心情を感じたからだ。

自主製作のドキュメンタリーをミニシアターで上映する、という流れは、それまでなかったのだ。だから堀越謙三が「神軍」をユーロスペースで上映するということは彼にとっても冒険だっただろうと思う。結果、見事に大ヒット。以後、全国の ミニシアターが、自主製作のドキュメンタリーが商売になる、と劇場主たちの認識を変えた。「神軍」は、先鞭をつけたわけだ。

以後、作品が完成して、この作品はどこの劇場で上映してもらおうか? を決める時、作品を気に入ってくれたか?が判断の基準になるのは当然だが、私が重視するのは、同志的な心情を感じることがきるかどうか、が決め手になる。

「れいわ一揆」が完成して、私たちが候補の劇場を探し始めた時に、その一番手に選んだのは、アップリンクだった。正確にいうと、石井支配人だった。彼は、実は《夏の神軍祭り》など私たちの企画を持ち込んで受け入れてくれた、という信頼感があったからだ。

そんな時に浅井隆代表の「パワハラ問題」がおきた。パワハラ問題自体は、私にはとても他人事とは思えなかったから関心は持ち続けている。が、パワハラ問題を起こした人が代表の劇場で上映することはどういうことかと製作者側が懸念し、上映館を変更した、という話も聞く。が私は、アップリンクで上映してもらう、という方針を変えようという気持ちは全くなかった。あくまでも石井支配人との同志的な心情が揺らぐことはない、と思っているからである。現在、彼がアップリ ンクの社内改善に向けて社員として苦辛していると思う。その変革が自社に止まらず、今後のミニシアターへのモデルケースになればという心意気も持ち合わせていると信じたいし、今後も、同志的な思いで応援していきたい。
映画監督 原一男

原一男監督『れいわ一揆』新予告

画像: 原一男監督『れいわ一揆』新予告 youtu.be

原一男監督『れいわ一揆』新予告

youtu.be

『れいわ一揆』あらすじ
東京大学東洋文化研究所教授・安冨歩。彼女は2013年以来、「もっとも自然に生きる事ができる」スタイルとして、女性服を着る「女性装」を実践していた。その安冨は7月4日公示、21日投開票となる参比例区への、山本太郎代表のれいわ新撰組からの出馬を決める。選挙活動を通して安冨が一貫して訴えるのは、「子どものための社会の実現」。新橋SL広場、東京駅赤レンガ駅舎前、阿佐ヶ谷駅バスターミナル他都内各地から旭川、沖縄、京都まで――安冨は選挙戦を勝ち抜くため、全国を巡ってゆく。そして故郷の大阪府・堺市駅前に立った安富は、美しい田園風景が無個性な住宅街に変わり、学んだ中学校の校舎も取り壊されてしまった奪われた喪失感を吐露し始める......。

監督:原一男
製作:島野千尋
撮影:原一男 島野千尋 岸建太朗 堀井威久麿 長岡野亜 毛塚傑 中井献人 田中健太 古谷里美 津留崎麻子 宋倫 武田倫和 江里口暁子 金村詩恩
編集:デモ田中 小池美稀
製作・配給:風狂映画舎
2019 年/248 分/DCP/16:9/日本/ドキュメンタリー
©風狂映画舎

2020年9月11日より、アップリンク渋谷ほか全国順次公開

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