NYのジャパン・ソサエティー(JS)映画部が主催する現在開催中(2020年7月17日(金)〜7月30日(木)*米国東部夏時間)の日本映画祭・第14回『JAPAN CUTS〜ジャパン・カッツ〜』で若手の映像作家の活動を後押しすることを目的に今年より新しく設けたネクストジェネレーション・コンペティション部門の第1回大林賞は、アンシュル・チョウハン監督の『コントラ』に贈られることが決定しました。

故・大林宣彦監督(1938~2020年)の日本映画界での偉業を称えて名を冠した「大林賞」は、本ネクストジェネレーション部門において紹介している若手監督の自主制作によるストーリー性の高い厳選した長編7作品の中から映画関係者の審査員が総合的な観点から将来性と才能を発揮している最も優れた作品を選出しています。

審査員の安藤桃子氏、ジュリアン・ロス氏、そして高松美由紀氏のコメント

「日本を含む世界の映画業界が危機的な変化に直面している今、ネクストジェネレーション・コンペティション部門は我々、審査員に日本映画界の未来を見据えるというポジティブな意欲をかき立てました。受賞作品は、(大林監督が築き上げていたように)過去の重さと、それに伴う我々の責務を探求しています。過去の出来事に根ざした作品でありながら、登場人物の少女が成長する過程の多感な状況をきめ細かく描かれていることと、少女がいかに物語を導いていったかという点に心を打たれました。この作品の監督は、映画という枠の中で彼独自の世界を創り上げるべく、日本を見ることができる双眼鏡を持ち続けることができる監督だと信じています。猛スピードで変化し、進化するNEXT GENERATION。奇しくも最も大和魂を感じる一本、そしてこれからの未来に最も期待を覚えさせたのは後ろ向きに走る男を主人公にした映画だった。
2020年日本映画祭ジャパン・カッツの第1回大林賞はアンシュル・チョウハン監督の『コントラ』に贈ります。」

米国東部夏時間の2020年7月30日(木)午後9時から本映画祭のクロージング・セレモニーとアンシュル・チョウハン監督の第1回大林賞の受賞スピーチや質疑応答を動画ライブ配信で開催されます。
本映画祭は本作品を含む42本の日本映画作品を7月30日(木)午後11時59分(米国東部夏時間)まで視聴可能です。観客賞の発表は開催期間後に発表します。

【ネクストジェネレーション・コンペティション部門について】

今年より新しく設けたネクスト・ジェネレーション・コンペティション部門では、日本映画の未来を垣間見ることができる次世代の若手監督の自主制作によるストーリー性の高い長編作品を7作品を厳選して上映。また、さらに新しく設けた故・大林宣彦監督(1938~2020年)の日本映画界での偉業を称えて名を冠した「大林賞」では、映画関係者の審査員が最も優れた作品を本ネクスト・ジェネレーション部門の中から1作品が選出されました。

第1回目となる今回は、大林賞を受賞したアンシュル・チョウハン監督の『コントラ』の他に三澤拓哉監督の『ある殺人、落葉のころに』、鈴木冴監督の『神様のいるところ』、片山享監督の『轟音』壷井濯監督の『サクリファイス』 、山田佳奈監督の『タイトル、拒絶』、そして中川奈月監督の『
夜のそと』など、若手監督たちの厳選した7作品で構成されていました。

大林監督は次の言葉を残されています。
「笑顔と、生きること、そして、今日より少し良い明日をたぐり寄せるために、ぼくは映画を拵えてきた。だから、ぼくの続きはみんながやってね。」

この言葉の通り「大林賞」は、独創的な宇宙感、創造性を特徴とする先駆的な映画人の大林宣彦監督に敬意を表して、次世代の映画作家に贈られます。大林賞は、映画業界の専門家から構成される審査員により、本映画祭のネクスト・ジェネレーション部門で最も優秀な独立系長編映画監督に贈られま
す。総合的な観点から最も将来性と才能を発揮している若手の映像作家の活動を後押しすることを目的としています。

大林監督の長女で料理家、映画監督の大林千茱萸氏は、下記のように述べています。

「父が映画作家として歩んできた道がこうして、また新たな未来の作家さんたちへと受け継いで戴けること、たいへん光栄であり、誇らしい限りです。父と共に映画を作り続けてきたプロデューサー恭子さんも、涙ぐみながら『たいへん嬉しいです、感謝します』と、皆さまに伝えて欲しいとのことでした。」

【大林宣彦監督について】
1938年広島県尾道市生まれ。
3歳の時に自宅の納戸で出合った活動写真機で、個人映画の製作を始める。上京後、16㎜フィルムによる自主製作映画『EMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ』が、画廊・ホール・大学を中心に上映されジャーナリズムで高い評価を得る。『喰べた人』(1963年)はベルギー国際実験映画祭で審査員特別賞を受賞。
この頃からテレビコマーシャルの草創期に本格的に関わり始め、チャールズ・ブロンソンの「マンダム」、ソフィア・ローレン、カトリーヌ・ドヌーヴなど外国人スターを多数起用、その数は2000本を超える。1977年『HOUSE ハウス』で劇場映画にも進出。同年、ブルーリボン新人賞を受賞。古里で撮影された『転校生』(1982年)『時をかける少女』(1983年)『さびしんぼう』(1985年)は”尾道三部作”と称され親しまれている。『異人たちとの夏』(1988年)で毎日映画コンクール監督賞、『北京的西瓜』(1989)で山路ふみ子監督賞、『青春デンデケデケデケ』(1992年)で平成4年度文化庁優秀映画作品賞、『SADA』(1998年)でベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞、『理由』(2004年)で日本映画批評家大賞・監督賞、藤本賞奨励賞を受賞。『この空の花―長岡花火物語』(2012年)ではTAMA映画賞・最優秀作品賞ほか多くの賞を受賞。『この空の花』の少年少女版として製作されたAKB48のPV『So long! THE MOVIE』(2012年)なども手がける。2004年春の紫綬褒章受章、2009年秋の旭日小褒章受章。2019年度の文化功労者。

【大林賞受賞作品紹介】

『コントラ』
Kontora

第二次世界大戦時に記された祖父の日記を辿って、ソラは不可思議な宝の探索を始める。その頃、無言で後ろ向きに歩くホームレス男が、ソラの住む街へと迷い込む。もしかしたら男は、ソラと彼女の父親との凍結された関係を溶かす触媒となり得るのかもしれない。

エストニアのタリン・ブラックナイト映画祭で日本映画初の最優秀賞と最優秀音楽賞を受賞。

画像1: Kontora © 2019 KOWATANDA FILMS

Kontora © 2019 KOWATANDA FILMS

2019年/143分/
監督:アンシュル・チョウハン 
出演:円井わん 間瀬英正

画像2: Kontora © 2019 KOWATANDA FILMS

Kontora © 2019 KOWATANDA FILMS

アンシュル・チョウハン
1986年北インド生まれ。陸軍士官学校に通い、大学を卒業して芸術学部を卒業後、2006年よりアニメーターとして活動を開始。
2011年に拠点を東京に移し、ポリゴン・ピクチュアズに採用される。
『トロン蜂起』トランスフォーマー』ファイナルファンタジー15』ファイナルファンタジー15』FF7リメイクガンツ:0などの大型プロジェクトを数多く手がける。
アニメーターとして働く傍ら、監督としての情熱を追求し、これまでに『Bad Poetry Tokyo』と『Kontora』の2作品を監督し、国際的な映画祭で数々の賞を受賞し、高い評価を得ている。

画像3: Kontora © 2019 KOWATANDA FILMS

Kontora © 2019 KOWATANDA FILMS

【「大林賞」審査員紹介】

安藤桃子
映画監督。長編デビュー作『カケラ』(2010年)は、国内外の映画祭で高い評価を得る。
2010年に発表した『カケラ 人生のかけら』は、国内外の映画祭で高い評価を受ける。2012年には初の小説を発表し、妹の安藤サクラ主演で『0.5ミリ』(2014年ジャパン・カッツ上映作品)を監督し、上海国際映画祭最優秀監督賞をはじめ国内外の映画祭で数々の賞を受賞した。現在、高知県在住の映画館キネマMの代表監督を務めている。

ジュリアン・ロス
ロカルノ映画祭、ロッテルダム国際映画祭のプログラマー。
ライデン大学社会芸術センター(LUCAS)の助教授、オランダ映画アカデミーのメンターを務める。展覧会「More Than Cinema」の共同キュレーターを務めている。城之内元春、田名網圭一(パイオニアワークス、ブルックリン)、『日本の拡張された映画とインターメディア』の共同編集者。
1960年代の批評的テクスト(ベルリン:アーカイブ・ブックス)

高松美由紀
国内外でサービスを提供している数少ないフリーストーンプロダクションの創業者CEO。フリーストーン・プロダクションズは、制作から販売、PR、配給まで、国内外を問わず、すべてを手がけている。フランス映画祭、京都映画祭、東京国際映画祭などの国際PRに奔走している。『十年Ten Years Japan』のプロデューサーでもある。

【チケット・インフォメーション】

視聴方法:ビデオ・オン・ディマンド(VOD)モデルのレンタル方式

*米国内で視聴可能(米国に滞在の方はご覧ください)

*本映画祭開催中(2020年7月17日〜30日*米国東部夏時間)、
配信プラットフォーム上のサイトで作品をご視聴いただけます。
再生可能期間はチケット購入した作品を再生開始してから30時間以内となります。

長編作品(1作品):一般 7ドル/
会員 5.25ドル(25%割引)

会場: Shift72の配信プラットフォーム上(オンライン上)

https://www.japancuts.japansociety.org

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