『新聞記者』の大ヒットで今を時めく藤井道人監督ですが、5月に自ら劇場に掛け合いスタートさせた青春群像劇『青の帰り道』の再上映でも動員1万人を突破し、新たな記録を作っています。

『青の帰り道』は群馬県前橋市と東京を舞台に、高校の同級生7人の卒業後10年を描く青春群像劇。7人それぞれ夢に敗れたり、厳しい現実が立ちはだかるも、もがきながら進んでいく。真野恵里菜、清水くるみ、横浜流星、森永悠希、戸塚純貴、秋月三佳、冨田佳輔が出演しています。

全国各地からリクエストが殺到し、当初予定していたアップリンク渋谷の1館上映から、TOHOシネマズが運営する「ドリパス」のイベント上映を含めて上映館は25館に広がりました。

地方上映の盛り上がりにつきCinefilでは、5~6月に掲載した藤井監督の『青の帰り道』東京再上映記念連載に続いて、3回に渡り『青の帰り道』地方上映 特別連載を行います。

1回目の今回は、新潟・市民映画館 シネ・ウインドの井上経久支配人。
普段は上映リクエストを受け付けていないというシネ・ウインドも、ファンの強い要望に突き動かされた劇場です。asukaさんを中心に『青の帰り道新潟応援団』はコアメンバー7名、SNSメンバーも含めると総勢20名にも及びます。
『青の帰り道』の地方ムーブメントは一体どのように生まれたのでしょうか。

■#1 新潟
新潟・市民映画館 シネ・ウインド/井上経久 支配人

画像: 新潟・市民映画館 シネ・ウインド/井上経久 支配人

新潟・市民映画館 シネ・ウインド/井上経久 支配人

映画館にはたくさんの上映リクエストが届きます。
しかし現実にリクエストに応え上映に至ることは非常に稀です。

「見たい!」というAさんの思いを理解しつつも、この新潟でAさん以外に誰がその映画を見たいのか。上映が決まった時に本当にAさんは見に来るのか。Aさんは周りの誰かにこの映画のことを伝えてくれるか。そもそもAさん、あなたの名前は--?

と、やり取りが進むにつれ、いつの間にか音信不通になる。これを何回繰り返したか。このようなこともあり今は原則としてリクエストにはお応えしていません。

ただシネ・ウインドは「新潟・市民映画館」です。映画を見る人・見たい人と、映画を選んで映す人、という単純な関係性ではなく、双方が寄り添い対話を重ね一致点を見つけながら映画を届けていくのがベストだと思っています。

そしてこのような関係を築くことが出来た稀有な例が、『青の帰り道新潟応援団』です。

画像: 動員1万人突破!『青の帰り道』再上映記念連載【地方上映特別編 #1新潟】「地元で上映して欲しい」リクエストを受け付けない劇場を動かしたファンの声と団結力

東京でなく、地元でこの映画を見たい!

5月の上旬に突然「青の帰り道」上映リクエストのメールが連発しました。

驚きましたが私なりにリクエストは受け付けないことを説明し、それでも上映に関心があるのならば一度お会いしましょうという内容の返信を丁寧にしたつもり。

そんななか、お会いすることになったのが「青の帰り道」出演の横浜流星さんのファンだというasukaさんだったのです。

いわゆるプロフェッショナルな映画宣伝担当ではない、でも彼女の話からは
「もちろん自分も見たいけれども、自分が暮らす新潟で上映することが大切だ」
という意味が汲み取れ、鑑賞者視点だけではない拡がりが生まれるかもと感じました。

ならば、もう少し流星さんファンの仲間を集まればもっと良いアイディアも出るし、何より同じ俳優が好きなもの同士集まるのは楽しいよと伝えた結果、鉄の結束と機動力を誇る『青の帰り道新潟応援団』が誕生しました。

asukaさんコメント

『青の帰り道』は生きる道はひとつじゃないということを教えてくれる。
それぞれがそれぞれの選択をしてそれぞれの人生を生き、それで生き詰まっても違う道がある。
迷っても、間違ってもまたやり直せる。そんな光が差す映画だと思う。
きっと誰かに共感する。全ての人におすすめします。

画像: 東京でなく、地元でこの映画を見たい!

映画を見る・見せる形の原点

彼女たちの意見や行動はとても新鮮で、小旗を作って監督を歓迎する発想は映画館の人間には出ないし、もちろんきっと作りません(しかも藤井道人監督の来館が決まる前からだったかな)。

キャスト紹介や「たらればシート」作成など、観客の視点から生まれた意見を次々と形にしていく新潟応援団の面々。

画像1: 映画を見る・見せる形の原点
画像2: 映画を見る・見せる形の原点

やがて横浜流星さんのファンというつながりから発展し、藤井道人監督や制作会社BABEL LABEL作品、更に多様なたくさんの映画への思いに繋がっていく新潟応援団の様子を見て、映画を見る・見せる形の原点を教わったような気さえしました。

そしてご家族との暮らしやパート・仕事の合間にシネ・ウインドに集まり、意見を交わしせっせと作業をする彼女たちの努力が、藤井道人監督が舞台挨拶に来る、初日に喜びに変わることを願っていたのです。

画像: 応援団の運動が注目され「新潟日報」に掲載(7/26朝刊)

応援団の運動が注目され「新潟日報」に掲載(7/26朝刊)

満席がかなって涙を流す応援団

7/27(土)「青の帰り道」シネ・ウインド上映の初回は補助席の出る大入りとなりました。

作った小旗をお客様に渡しながら涙を流し喜び合う、青の帰り道新潟応援団。
「今のあなたたちはある意味映画を届ける側でしょ、今は泣くときじゃないでしょ」
と小言をいいつつ、感謝する私も確かにいました。

藤井道人監督舞台挨拶 アーカイブ
https://www.instagram.com/p/B0b78VeBXFk/

画像: 満席がかなって涙を流す応援団

新潟上映は8/9(金)まで続きます。

彼女たちが作った「たらればシート」も「キャスト紹介」も今は劇場ロビーに馴染んでいます。汗と涙で頑張ってきた新潟応援団たちと来場のお客様が、最終日を笑顔で迎えられるようサポートしていかなくては。

これが新潟・市民映画館シネ・ウインドの支配人としての矜持です。

画像: 応援団主催「青の帰り道について語り合う会」

応援団主催「青の帰り道について語り合う会」

■新潟・市民映画館 新潟シネ・ウインド

画像: ■新潟・市民映画館 新潟シネ・ウインド

1985年3月、新潟市内の名画座「ライフ」の閉館をきっかけに「市民の手で運営する映画館」を、齋藤正行(現シネ・ウインド代表)が提唱。一口1万円の出資を広く募る活動を行った。会員組織である「新潟・市民映画館鑑賞会」と、その事務局機能を担い、映画館の管理を行う法人「(有)新潟市民映画館」を設立。同年「新潟市民映画館シネ・ウインド」開館。2013年には「デジタルシネマ設備募金プロジェクト」を成功させてデジタルシネマ機材を導入。歴史ある35ミリフィルム映写設備も保持し、様々な上映素材に対応する。

〒950-0909 新潟県新潟市中央区八千代2丁目1-1 万代シテイ第二駐車場ビル
https://www.cinewind.com/

映画『青の帰り道』絶賛上映中

8/16(1日限定) ミレール先行配信
https://mirail.video/title/4450001

8/23 DVD・Blu-ray発売

画像: 予告編 https://youtu.be/KVf7LrbGHGM youtu.be

予告編 https://youtu.be/KVf7LrbGHGM

youtu.be

映画『青の帰り道』

出演:真野恵里菜 清水くるみ 横浜流星 森永悠希 戸塚純貴 秋月三佳 冨田佳輔
山中崇 淵上泰史/嶋田久作
工藤夕貴 平田満

主題歌:amazarashi『たられば』

監督:藤井道人

原案:おかもとまり 
脚本:藤井道人/アベラヒデノブ

制作プロダクション:and pictures  

制作協力:BABEL LABEL/プラスディー

配給:NexTone
配給協力:ティ・ジョイ

再上映配給:BABEL LABEL/ボタパカ/and pictures

©映画「青の帰り道」製作委員会 

公式サイト

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