印象派の先駆者の知られざる画業

19世紀中頃のフランスを代表する風景画家・シャルル=フランソワ・ドービニーは、日本での知名度こそ低いですが、知る人ぞ知る、印象派の先駆者のひとりとして、絵画史上において重要な位置付けの画家です。
刻々と変化する水辺の情景を素早いタッチで描いたドービニーは印象派の画家たちの指針となり、クロード・モネやフィンセント・ファン・ゴッホなど、次世代の画家たちに大きな影響を与えました。

また、パリから北西約30㎞にある穏やかな雰囲気の漂う村オーヴェール=シュル=オワーズを流れるオワーズ川をはじめ、セーヌ川やその支流、さらに海岸などを多数描いたことから「水辺の画家」とも呼ばれています。

ドービニーは1860年に オーヴェールに土地を購入し、住居兼アトリエを構えました。
オーヴェールにはドービニーだけでなく、ポール・セザンヌ、 フィンセント・ファン・ゴッホ、モーリス・ド・ヴラマンクも滞在しています。

中でも自前のアトリエ船で旅をしながら穏やかな川辺の風景画を描くスタイルは、印象派を代表する画家クロード・モネに大きな影響を与え、モネは後にドービニーと同じくアトリエ船で水辺の風景の制作を行っています

画像: シャルル=フランソワ・ドービニー《ブドウの収穫》1863年頃 油彩/板 24.5×42.3cm フランス、個人蔵 © Christian Devleeschauwer

シャルル=フランソワ・ドービニー《ブドウの収穫》1863年頃 油彩/板 24.5×42.3cm
フランス、個人蔵 
© Christian Devleeschauwer

同展はドービニーの日本での初めての本格的な展覧会で、初期から晩年までの国内外で所蔵されるドービニー作品約60点と、カミーユ・コロー、ギュスターヴ・クールベ、オレノ・ドーミエ、息子のカールといったドービニー周辺の画家たちによる作品約20点を展示します。

モネやゴッホらに多大なる影響を与えたドービニーの仕事ぶりを、是非この機会にご自分の目でお確かめ下さい。

序章
同時代の仲間たち

シャルル=フランソワ・ドービニーが画家として一歩を踏み出した1830 年代から40 年代、フランスでは現実をありのままに描く「レアリスム」が登場し、自然そのものの美しさにも注目が集まりました。 カミーユ・コローや後に「バルビゾン派」と呼ばれる風景画家たちは、フォンテーヌブローの森やフランス、ヨーロッパ各地に足をのばし、実際の景観に基づいた風景画を完成させました。

カミーユ・コロー(1796-1875)はバルビゾン派の先駆けとなった風景画家。
ドービニーとコローは 1850 年頃から各地を一緒に旅し、ともに制作をするなど、20 歳近い歳の差を超え生涯を通じて親交を結びました。

第1章
バルビゾンの画家たちの間で
(1830〜1850年)

1817年のパリで、風景画家の父親の元に生まれ、幼少期を自然豊かな環境で過ごしたドービニーは、父の手ほどきを受け、1835年から画家を目指して本格的に絵画を学び始めます。
当初は宗教や神話を主題としたアカデミックな画家としての成功を志し、風景画の中に宗教や神話の主題を込めた歴史風景画に取り組みます。

しかしローマ章コンクール歴史風景部門に落選すると、アカデミックな成功を目指すことを断念し、次第に身近な自然そのものの美しさを表現する風景画家へと転向していきます。

そして1840年代には各地を旅しながら見たままの自然をそのまま描く風景画を手がけるようになります。

画像: シャルル=フランソワ・ドービニー《オワーズ河畔》 1865年頃 油彩/板 32.2×56.8cm ランス美術館 ©Christian Devleeschauwer

シャルル=フランソワ・ドービニー《オワーズ河畔》 1865年頃 油彩/板 32.2×56.8cm
ランス美術館
©Christian Devleeschauwer

第2章
名声の確率・水辺の画家
(1850〜1860年)

1850年代初頭から、ドービニーは、目前の自然をあるがままに描き出すレアリスム画家としての評価を高め、次第に名声を確立していきます。なかでも水辺を描いた作品には注目が集まり、「水辺の画家」として広く知られるようになります。
その一方で、筆跡の残る筆致が「印象」を「荒描き」したにすぎない「未完成」な作品という、後の印象派を彷彿とさせる批判も受けます。

画像: シャルル=フランソワ・ドービニー《オワーズ河畔》 1860年 油彩/板 21.3×33cm ランス美術館 ©Christian Devleeschauwer

シャルル=フランソワ・ドービニー《オワーズ河畔》 1860年 油彩/板 21.3×33cm
ランス美術館
©Christian Devleeschauwer

第3章 
印象派の先駆者 
(1860〜1878年)

1857年、ドービニーはアトリエ船「ボタン号」を入手し、各地を巡りながら数々の河川風景を描きます。1868年には、さらに規模の大きい二代目アトリエ船「ボッタン号」を入手、 セーヌ川をノルマンディー地方や英仏海峡まで航行し、その景観を描きました。

画像: シャルル=フランソワ・ドービニー《ボッタン号》 1869年頃 油彩/カンヴァス 171.5×147cm フランス、個人蔵 ©Archives Musées de Pontoise

シャルル=フランソワ・ドービニー《ボッタン号》 1869年頃 油彩/カンヴァス 171.5×147cm
フランス、個人蔵
©Archives Musées de Pontoise

以降、晩年に至るまで、ドービニーを代表する画題として、水辺を題材とした作品に繰り返し取り組んでいます。

1860年代からこの世を去る前年の1877年まで、ドービニーはアトリエ船で精力的にフランス各地を巡り、その感動を描き続けます。河川の風景の類似した構図を繰り返し用いながら、刻一刻と移り変わる空の色や水面の光を捉えようとする探求心は、後に続く印象派の世代に引き継がれていきます。

また、当時は若い世代であった印象派の画家たちと交流したのもこの時期です。
1866年以降サロンの審査委員を務め、モネなどの後の印象派を形成する若い画家たちを積極的に評価しました。彼らに画商を紹介したことも知られていて、経済的な面でも印象派の画家たちを支えます。

画像: シャルル=フランソワ・ドービニー《ヴァルモンドワの森の中(ル・ソスロン)》1877年 油彩/カンヴァス 125×89cm ポントワーズ、カミーユ・ピサロ美術館 ©Musées de Pontoise

シャルル=フランソワ・ドービニー《ヴァルモンドワの森の中(ル・ソスロン)》1877年 油彩/カンヴァス 125×89cm
ポントワーズ、カミーユ・ピサロ美術館
©Musées de Pontoise

本章では、ドービニーの晩年の作品を紹介すると共に、印象派をはじめとする後世の画家との関係性を紹介することで、先駆的な風景の表現を残したドービニーの姿に迫ります。

第4章
版画の仕事

ドービニーは生涯を通じて版画を多数制作しています。
1840年代は生計を立てるために様々な出版物の挿絵を手がけ、その後も自身の油彩画を元にした複製版画を積極的に制作しました。
こうした版画作品は自らの作品と活動を世に広める手段となり、ドービニーを敬愛していたファン・ゴッホも、版画作品を通じてドービニーの作品に接していました。

画像: シャルル=フランソワ・ドービニー《にわか雨》 1851年 エッチング 13.6×23.4cm オーヴェール=シュル=オワーズ、ドービニー美術館 ©Christian Devleeschauwer

シャルル=フランソワ・ドービニー《にわか雨》 1851年 エッチング 13.6×23.4cm
オーヴェール=シュル=オワーズ、ドービニー美術館
©Christian Devleeschauwer

シャルル=フランソワ・ドービニー展
バビルゾン派から印象派への架け橋
開催概要

会場)東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
〒160-8338 東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン日本興亜本社ビル42階

会期)2019年4月20日(土)〜6月30日(日)

定休日)月曜日(ただし4月29日、5月6日は開館)

開館時間)午前10時から午後6時まで(ただし6月25日から6月30日は午後7時まで)
※ 入館は閉館 30 分前まで

観覧料)一般 1,300(1,100)円、大学生 900(700)円、高校生以下無料

※()内は20名以上の団体料金。
※ 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を提示のご本人とその付添人 1 名は無料。
被爆者健康手帳を提示の方はご本人のみ無料。

主催)東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、読売新聞東京本社
協賛)損保ジャパン日本興亜
後援)在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協力)エールフランス航空
監修)ランス美術館 Exposition produite et gérée par le Musée des Beaux-Arts de la VILLE DE REIMS.
企画協力)ブレーントラスト

ホームページ)https//www.sjnk-museum.org/

お問い合わせ)03-5777-8600(ハローダイヤル)

cinefil 読者チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「シャルル=フランソワ・ドービニー展」プレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2019年4月27日 24:00 日曜日

〈記載内容〉
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、当選無効となります。
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