世界三大映画祭の一つ、ベルリン国際映画祭で、近浦啓監督の初長編作「COMPLICITY/コンプリシティ」が、 現地時間の2月11日・12日に上映された。
中国の映画界で活躍を続ける俳優ルー・ユーライと日本が誇る名優藤竜也を主演に迎え、日本=中国の国際共同製作で製作された本作は、トロント国際映画祭、釜山国際映画祭と世界が注目する映画祭へ次々と選出され、国内プレミアとなった東京フィルメックスでは観客賞を受賞。
今回の第69回ベルリン国際映画祭が、待望のヨーロッパプレミアとなり、上映チケット発売翌日には全ての回のチケットが完売となるなど、国際的にも高い注目を集めた。

11日のプレミア上映では、エンドロールに入るとすぐに、満場の拍手がおこり、その喝采に迎えられる形で近 浦啓監督と主演のルー・ユーライが登壇。
観客を交えたQ&Aでは客席から質問が相次ぎ、映画への満足度が高 いことが伺える、熱いトークが繰り広げられた。

画像: ※第 69 回 ベルリン国際映画祭 メイン会場にて 左よりルー・ユーライ、近浦啓監督 (C)2018 CREATPS/MYSTIGRI PICTURES

※第 69 回 ベルリン国際映画祭 メイン会場にて 左よりルー・ユーライ、近浦啓監督
(C)2018 CREATPS/MYSTIGRI PICTURES

第69回ベルリン国際映画祭 Q&A (一部抜粋)

Q.日本と中国とで、言語や文化の違いがあったと思いますが、コミュニケーション上の問題はありましたか?

A. -近浦啓監督-この作品は、私とある中国人の友人との友情関係からスタートをしました。 彼はパリに住んでいて、僕が尊敬している映画監督の友人です。 僕たちの友情によって、自分自身が中国の文化と中国の人々にとても興味が湧き、この映画の主役にも中国人を据えることを決めたんです。
2016年に北京でこの映画の主役のオーディションを行い、最後の俳優がルー・ユーライでした。彼を一目見たときに、 この作品の主役は彼でしかないと思ったんです。そしてその日に、彼に長編映画を撮る前に短編映画をまずは作ろうと話しました。
2016年5月、彼を東京に呼んで、この映画と同じ役だけれども違う時間軸の設定で、この長編映画の前日譚となる短編映画を撮影しました。その短編映画(「SIGNATURE」)は、2017年のロカルノ国際映画祭などに選出されています。 この長編映画の撮影を始める1年前以上前に、短編映画をお互いを知り合うために製作したのです。なので、この作品の撮影をスタートする時には、お互いを十分に知り合う事ができていました。

Q.二人はどのようにコミュニケーションしていますか?

A. -近浦啓監督-僕は中国語を話せないし、彼も日本語を話しません。
基本的にコミュニケーションはお互いの拙い英語です。笑

Q.日本語のセリフは問題なかったですか?

A. -ルー・ユーライ-「COMPLICITY」の一年前に撮影した短編映画「SIGNATURE」のあるシーンで、日本語でページがいっぱいになる程に覚えないといけないセリフがあったのです。日本に来る飛行機の中でもずっと暗記をしていました。でもそのおかげで、日本語の発音に慣れることができ、自分で日本語の練習をすることができるようになりました。

Q.蕎麦をメインキャラクターの一つにに据えていますが、蕎麦は日本と中国の伝統的なものなのでしょうか?それとも日本だけのものなのでしょうか。また、なぜ蕎麦を中心のモチーフにしたのですか?

A. -近浦啓監督-中国のあるシーンで、主役の彼とその母親、お祖母さんが一緒に麺を食べているシーンがありますが、それはラーメンではなくて、蕎麦なんです。蕎麦はとてもシンプルな食べ物ですが、同時にとても高い技術が必要とされ、元来は中国が発祥であるということもあり、中国と日本を繋げるためには、とても良いモチーフになると思いました。同時に、 蕎麦は日本の伝統食でもあり、とてもシンプルだけれど技術は奥が深く、とても「日本的な」食べ物でもあると思って います。

Q.蕎麦作りはとても大変でしたですか?

A. -ルー・ユーライ-実は基本的な技術を身につけるのはさほど難しくなかったです。なぜなら、地元のそば職人の先生が常について指導をしてくれて、とてもとても丁寧にどのように作るのかを教えてくれました。ただ一方で、ほとんどの工程で非常に 高い専門技術が必要とされるので、蕎麦作りはとても奥が深いと思います。

...映画『COMPLICITY/コンプリシティ』について... 近年社会問題として取り上げられることが多い技能実習生制度、不法滞在外国人などを背景にしながらも、異国の地でもがきながら生きていく一人の若者の姿を普遍的な物語として描いている。中国の俳優ルー・ユーライ、藤竜也、そ して赤坂沙世、松本紀保などが渾身の演技で映画を彩っている。
監督は、短編映画でロカルノ国際映画祭をはじめ世界各国の映画祭で高く評価された近浦啓。
クロックワークスにより劇場配給される。(公開日は現在調整中)

【監督プロフィール】
近浦啓(ちかうらけい)
2013年に、藤竜也を主演に迎えた短編映画「Empty House」で映画監督としてキャリアを スタート。2017年製作の三作目の短編映画「SIGNATURE」は、第70回ロカルノ国際映画祭(スイス)、第42回トロ ント国際映画祭(カナダ)の短編映画部門ノミネートの他、米アカデミー賞公認映画祭であるエンカウンター短編&アニメーション映画祭(イギリス)でグランプリを受賞。国内外で高い評価を得ている。2018年9月、長編デビュー作と なる「COMPLICITY/コンプリシティ」が、第43回トロント国際映画祭でワールドプレミア上映された。

画像: ※第 69 回 ベルリン国際映画祭 舞台挨拶の様子 (C)2018 CREATPS/MYSTIGRI PICTURES

※第 69 回 ベルリン国際映画祭 舞台挨拶の様子
(C)2018 CREATPS/MYSTIGRI PICTURES

画像: 上映後 Q&A の様子 (C)2018 CREATPS/MYSTIGRI PICTURES

上映後 Q&A の様子
(C)2018 CREATPS/MYSTIGRI PICTURES

※第
69
回 ベルリン国際映画祭 上映後
Q&A
の様子

画像: ※『COMPLICITY/コンプリシティ』のワールドセールスを担当する Marie-Pierre Macia(仏・MPM Premium)とルー・ユーライ、近浦啓監督 (C)2018 CREATPS/MYSTIGRI PICTURES

※『COMPLICITY/コンプリシティ』のワールドセールスを担当する Marie-Pierre Macia(仏・MPM Premium)とルー・ユーライ、近浦啓監督
(C)2018 CREATPS/MYSTIGRI PICTURES

画像: メイン会場でのルー・ユーライ (C)2018 CREATPS/MYSTIGRI PICTURES

メイン会場でのルー・ユーライ
(C)2018 CREATPS/MYSTIGRI PICTURES

...STORY...
中国 河南省から技能実習生として日本に働きに来たチェン・リャンは、研修先企業から失踪し、不法滞在の身となる。 故郷の母に真実を告げられず、研修を続けていると偽りながら、斡旋される窃盗に手を染めていた。そんな中、ひょん なことから他人になりすまして山形の小さな蕎麦屋に住み込みで働き始めることに。厳格な店主・弘と娘の香織がき りもりする蕎麦屋で弘に怒鳴られながらも出前をこなす日々。ある日、チェン・リャンは、出前先のアトリエで葉月と いう女性に出会い...。

出演: ルー・ユーライ、藤竜也、赤坂沙世、松本紀保
監督・脚本・編集: 近浦啓

2018/116分/カラー/日本=中国/5.1ch/アメリカン・ビスタ
製作:クレイテプス/ Mystigri Pictures
(C)2018 CREATPS/MYSTIGRI PICTURES
配給:クロックワークス

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