自己紹介

縁あってこちらで連載させて頂く事になりました。宜しくお願いします。
初回ですので簡単に自己紹介させて頂きます。

私は中学時代より⾃主映画を制作し、スポーツ、芸能、広告の仕事を経て近年は映画のプロデューサーとしてキャリアを積んできました。
2017年6⽉に脱サラしてフリーになり10⽉より渡米、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスに滞在中で、ハリウッドはUCLA、の近くの語学学校で英語を学ぶ日々です。
渡米のきっかけは、2016年に京都の映画祭で出会った香港の映画関係者との会食にて、世界の映画人とのコミュニケーションにおける英語の有⽤性に気付かされた為です。
2018年夏に帰国予定で、帰国後は再び映画の仕事をする予定です。

この連載では、アメリカのエンターテインメント産業のトピック、次代のヒットメーカーを目指すフィルムスクール生の奮闘、ハリウッドの舞台で活躍する日本人など、様々な記事をお届けしたいと思います。

アメリカでは映画館でも月額10ドルで見放題!

NetflixにAmazon Prime Video、Huluといった月額制の動画配信サービスが花盛りですが、アメリカでは何と映画館での映画鑑賞も月額制というサービスがありまして、今回はそのサービスについて話をしたいと思います。

MoviePassというもので、サービスの開始は2011年。2017年8月にそれまで月額50ドル(地域により変動)だった料金を一律月額9.95ドルへと大幅な値下げを行い、急速に登録者数を伸ばしています。2016年末には約2万人だった登録者数が約60万人となり(2017年11月時点情報)、2018年8月までに310万人の登録者数を目指しているそうです。

MoviePassのサービス内容

MoviePassはオンラインだけで完結するサービスとは違い、利用の流れや仕組みが面白いので簡単に紹介させて頂きます。

MoviePassの利用を始めるには、iPhoneとAndroidで提供されているMoviePassアプリをダウンロードする必要があります。アプリ自体は無料なので別途月額利用料を払う契約をすると、登録した住所にMoviePassのメンバーズカードが届きます。メンバーズカードはMastercardのデビットカードになっています。

画像: MoviePassのメンバーズカード。サービスの利用に必要になります。

MoviePassのメンバーズカード。サービスの利用に必要になります。

MoviePassは利用にあたっていくつかの制約があります。

・利用可能なのはMoviePass対応の映画館のみ
アメリカ全土で4,000を超える映画館が対応しているそうです。
シネコンだけでなく単館系の映画館もカバーしており、選択肢はとても多くあります。

・1日に観られる映画は1本まで
残念ながら、1日で映画のハシゴは出来ません。
ただアメリカの映画館も大人料金が12~14ドルかかりますので(映画館により料金形態は異なります)、そもそも1本で元が取れます。
月に30本鑑賞すると1本当たり33セント程度になります。

・2Dの映画のみ鑑賞可能
3DおよびIMAXは対象外です。

・鑑賞当日、映画館まで行ってアプリでチェックインする必要あり
前日以前および自宅など別の場所からは席の予約ができません。
GPSでアプリの起動場所をウォッチしているので、当日鑑賞予定の映画館まで行き、アプリ上で観たい映画および上映時間を選択します。
通常料金を支払う鑑賞者を優先する方法として良く考えられていると思います。

・チェックイン後、映画館窓口でのチケット購入が必要
アプリ上で観たい映画と上映時間をチェックインした後に、その映画館の窓口でチケットを買う必要があります。
私も初めてサービスを利用した時にここの手順に手間取ったのですが、アプリでチェックインをすると、メンバーズカードであるデビットカードに鑑賞料金がチャージされて、映画館の窓口でチケットを購入してそのデビットカードで決済をする、という仕組みになっています。

ちなみに、MoviePassを利用しているにも関わらず、映画館の窓口で購入した鑑賞チケットにはその映画館の大人料金が記載(13ドルや14ドルなど)されています。
このやり方は各映画の興行収入の計上の為なのでしょう。ただ実際にはユーザーは月額料金の9.95ドルしか払っていないので、サービス提供者(MoviePass)と映画館、配給会社の3者でどのように分配をしているのか、気になるところです。その部分についての詳細な情報は見つけられませんでした。
1回の利用で元が取れてしまうような料金設定の為、このサービスは長く続かないのではないかと見ている専門家もいるようです。
ただし、MoviePassユーザーは鑑賞料金が安い分映画館でのフードを多く購入しているというデータもあり、その点は映画館にとっては悪い話ではなさそうです。
そうするとただひたすらに配給会社泣かせなサービスに思えてきます。

MoviePassを使ってみて

私自身は11月からMoviePassを使い始めたのですが、日本にいた時と比べると格段に映画館へ行く回数が増えました。日本では映画の仕事をしているといっても映画館での鑑賞はなかなかできていなかったのですが、MoviePassのおかげで改めて映画館の良さを実感しています。

映画館ならではの大スクリーンの迫力、音響の良さ、大勢の観客と共に暗い中で鑑賞するという空間、本当に映画は良い娯楽だと思います。
映画がモノクロからカラーになり、IMAXや3Dが登場しても、映画館が来場客から入場料を取って映画を見せるという興行スタイル自体は昔から変わってこなかった中、MoviePassはその点ではエポックメイキングな出来事ではないでしょうか。
MoviePassにより映画鑑賞者数が増え、産業全体がより活発になる未来を期待しています。

次回予告

こういう公の場で文章を書くという経験は初めてでして、個人的にとてもわくわくしています。
初回はこのような映画産業のトピックを紹介しましたが、次回以降は人に焦点を当てた記事を想定しています。

和田有啓
1983年神奈川県横浜市生まれ。
スポーツ取材の会社からキャリアをスタートさせ、芸能プロダクション、広告会社、コンテンツ製作会社を経て現在フリーでアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスに滞在中。
プロデューサーとして参加した⾃主制作映画「くらげくん」の第32回ぴあフィルムフェスティバル準グランプリ受賞をきっかけに、2010年にUNIJAPAN HUMAN RESOURSES DEVELOPMENT PROJECT、2011年に JAPAN国際コンテンツフェスティバル/コ・フェスタPAOにプロデューサーとして参加して各プロジェクトの短編映画を制作。
近年は映画「たまこちゃんとコックボー」「天才バカヴォン〜蘇るフランダースの⽝〜」「⼥⼦⾼」「サブイボマスク」「古都」「はらはらなのか。」「笑う招き猫」などの作品で製作委員会の組成やプロデュース、配給、宣伝などを行い、インディペンデント映画業界でのキャリアを築く。

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