岩波ホール創立50周年記念作品第1弾として、ジョージア(グルジア)映画『花咲くころ』を公開されることとなりました。

岩波ホールからは今作に対して以下のようにコメントを寄せている。

”女性監督の視点、戦争や暴力へのアンチテーゼ、第三世界の主張など、岩波ホールがこれまで積極的にご紹介してきた上映作品への思いが、新しい世代によって表現されています。今日、紛争は世界に拡がり、社会は混迷を深めています。少女たちのたおやかに生きる姿をとおして、時代の明日へ思いを深めていただければ幸いです。”

世界中で数多くの賞に輝く ジョージア映画の新しい風

世界の映画史とともに歩んできたジョージア(グルジア)映画は、第2次世界大戦後も、テンギズ・アブラゼ 監督『懺悔』、レゾ・チヘイゼ監督『戦火を越えて』、エルダル・シェンゲラヤ監督『青い山 本当らしくない本当の話』、ギオルギ・シェンゲラヤ監督『放浪の画家 ピロスマニ』、オタール・イオセリアーニ監督『落葉』等、多くの優れた監督が数々の名作を発表してきた。

しかしジョージアは1991年にソ連邦から独立後、ガムサフルディア初代大統領と反大統領派の対立が、翌年にかけて「トビリシ内戦」と呼ばれる市街戦に拡がった。さらに国内の南オセチアとアブハジアで起った激しい紛争のために、多くの犠牲者、難民が生まれ、社会も経済も壊滅的な打撃を受けて、国内は荒廃、輝かしい映画の伝統は断たれた。

しかし10数年前からジョージア映画は見事に復活をとげてゆく。国内の製作基盤も安定してゆくなか、新しい世代の作品が発表され、世界の映画祭で数々の受賞を果たしていった。
最近ではザザ・ウルシャゼ監督『みかんの丘』(2013年/アカデミー賞外国語映画賞ノミネート)、ギオルギ・オヴァシュヴィリ監督『とうもろこしの島』(2014年/カルロヴィヴァリ国際映画祭グランプリ)が記憶に新しい。

世界の映画祭で30もの受賞をした『花咲くころ』

『花咲くころ』(2013)は、1992年の春から初夏にかけて、市街戦のきな臭さがまだ残り、新たな紛争の不安が漂う首都トビリシを舞台に、ナティアとエカ、ともに14歳の少女二人の友情と成長してゆく姿をみずみず しいタッチで描き、ベルリン国際映画祭国際アートシアター連盟賞を初め、世界の映画祭で30もの受賞を果たし、高く評価された作品である。

画像1: 世界の映画祭で30もの受賞をした『花咲くころ』

監督はナナ・エクフティミシュヴィリとドイツ出身 のジモン・グロスの二人。
近年、ジョージアは女性監督の躍進が目覚しく、エクフティミシュヴィリ監督はその先頭に立つ存在である。二人は夫婦であり、彼らの第 2作“My Happy Family”(2017)もサンダンス映画祭、 ベルリン国際映画祭で注目を集め、数々の受賞を果たしている。
『花咲くころ』は、エクフティミシュヴィリ監督の少女時代の鮮烈な思い出をもとにしている。当時、彼女は本作の主人公と同じ14歳だった。

画像2: 世界の映画祭で30もの受賞をした『花咲くころ』
画像3: 世界の映画祭で30もの受賞をした『花咲くころ』
画像4: 世界の映画祭で30もの受賞をした『花咲くころ』
画像5: 世界の映画祭で30もの受賞をした『花咲くころ』
画像6: 世界の映画祭で30もの受賞をした『花咲くころ』
画像7: 世界の映画祭で30もの受賞をした『花咲くころ』

市民同士が傷つけあった戦いは、人々に大きな禍根を残した。街には生活物資が不足し、人々は当てどのない怒りで始終いらいらしている。しかし社会に不安がたちこめるなか、14歳の少女たちはたおやかで、境遇が異なるがつよい絆で結ばれている。にわか雨を彼女たちが駆け抜けるシーンは、草木の芽吹きのように初々しく、美しい。ルーマニアのカメラマン、オレグ・ムトゥ による自在な映像が心に残る。

主役に抜擢されたリカ・バブルアニとマリアム・ボケリアの演技は春の日差しのようにのびやかで美しく、サラエボ映画祭では主演女優賞に輝いた。

『花咲くころ』予告

画像: 岩波ホール創立50周年記念作品第1弾『花咲くころ』予告 - YouTube youtu.be

岩波ホール創立50周年記念作品第1弾『花咲くころ』予告 - YouTube

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ベルリン国際映画祭 国際アートシアター連盟賞
サラエボ映 画 祭グランプリ 最優秀主演女優賞
香港国際映画祭ヤング・シネマ部門 グランプリ・国際批評家連盟賞
モントリオール・ヌーヴォー 映 画 祭 審査員特別賞
東京フィルメックス最優秀作品賞
ヴィースバーデン・ゴーイースト映画祭最優秀作品賞
スロヴァキア芸術映画祭ブルーエンジェル賞・最優秀監督賞
パリ国際映画祭Graziaマガジン賞
オデッサ国際映画祭最優秀演技賞
ミラノ映画祭観客賞・学生審査員賞
ユーラシア国際映画祭グランプリ
ドホーク国際映画祭グランプリ
オステンデ映画祭LOOK賞 AFIフェスト特別賞
トビリシ国際映画祭最優秀ジョージア映画賞
アカデミー賞外国語映画賞ジョージア代表

リカ・バブルアニ、マリアム・ボケリア

監督:ナナ・エクフティミシュヴィリ、ジモン・グロス

撮影オレグ・ムトゥ
脚本ナナ・エクフティミシュヴィリ
録音パアタ・ゴジアシュヴィリ
編集シュテファン・スタベナウ
美術コテ・ジャファリゼ、メデア・バクラゼ
製作 ジモン・グロス、マルク・ヴェヒター、ナナ・エクフティミシュヴィリ

原題:Grdzeli nateli dgheebi 英題:In Bloom 2013年/ジョージア(グルジア)・ドイツ・フランス合作/ジョージア語/102分/1:2.35 日本語版字幕:増子操
協力:児島康宏
宣伝:スリーピン 原田徹
配給:パンドラ

2018年2月3日(土)〜岩波ホールにてロードショー、以下全国順次公開

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