「バチカンと世界の間にあった壁を取り払った人」
ローマ法王の行動力には希望がある。

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メキシコ国境に壁を建設すべきとしたトランプ米大統領候補(当時)の主張に対し、 社会は「壁ではなく橋を築くべき」と発言した現ローマ法王フランシスコ。
実際に半世紀以上断絶していたアメリカとキュー バの国交回復の仲介役となったり、他宗教・他教派との対話に積極的に取り組むなど、自らが「架け橋」となり、和解と共存で平和を構築しようとする姿勢が窺えます。
そんな法王の姿勢の根底には、彼が若かりし頃を過ごしたアルゼンチン 独裁政権下で多くの人々が犠牲となった試練の時代を生きた経験がありました。
映画『ローマ法王になる日まで』で描かれる、知られざる現ローマ法王の半生から、悪に対して悪でなく善で対処していこうとする<平和な社会のあり方>について、来日した監督が、未来を担う学生と共に考えました。

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<特別試写会+トークディスカッション>
■日時:4月27日(木)
■場所:上智大学四ツ谷キャンパス
■登壇:ダニエーレ・ルケッティ監督、ホアン・アイダル神父(上智大学カトリックセンター長、神学部教授)、レンゾ・ デ・ルカ神父(イエズス会日本管区長)、
司会:石川雄一(上智大学 大学院神学研究科 1年)
■主催:上智大学カトリックセンター
協力:株式会社シンカ/株式会社ミモザフィルムズ

画像: ポスター左がダニエーレ・ルケッティ監督、ポスター右よりレンゾ・デ・ルカ神父、ホアン・アイダル神父

ポスター左がダニエーレ・ルケッティ監督、ポスター右よりレンゾ・デ・ルカ神父、ホアン・アイダル神父

イタリアから来日したダニエーレ・ルケッティ監督は上智大学で行われた特別試写会前に、
「アルゼンチンを語るイタリア人です、日本の皆さんにこうして観てもらえて嬉しいです。人間は世界のどこにいても一緒だ、感動は分かち合えるものだということを理解していただけると嬉しい。一人の神父が法王になるまでの姿はとても美しいものだということを共有できたら嬉しいです」と挨拶しました。

史上初のアメリカ大陸出身(アルゼンチン)のカトリック教会長として第266代「ローマ法王」に就任したフランシスコについて、歴代のヨーロッパ出身の法王と違いはあるかという会場からの質問に対し、監督は2つの事柄を挙げました。
「1つ は、フランシスコは人とダイレクトなかたちでコミュニケーションをとる。非常に早く、直接的なコミュニケーションをする人だということ。そして2つ目は無宗教の人とも対話をすることができるということ。つまりバチカンと他の世界の間にあった壁を取り払った。彼は様々な経験を積んだことによって、歴代の法王がいままで言及してこなかった事にも意見を言うことができる人なのです」と説明しました。

また、留学生からは「ベルゴリオもある種ポピュリストと言えると思うが、いま話題になっているトランプ大統領やフランスのルペン氏のような人物との違いはどのようなところか」という質問に対し、フランシスコ法王の素顔を知る2人の神父は 「組織より目の前の人を大切にする、それが彼の一番の魅力」と彼の人柄を説明。
また、アイダル神父は「左翼は組織より人を大切にする考えと定義するならば、右翼は人より組織を大切にする考え。この映画の中では2回、ベルゴリオがどちら派か尋ねられるシーンがある。彼の答えは1回目は“そんなこと聞いても意味はない”、2回目は“私はキリストの側” と答えた。それくらい、そのように自分を括られるのを嫌う人だ」と説明しました。

また「テロが頻発している世界情勢の中で、法王の存在はどんな意味を持つと思うか」という質問に対して監督は、「宗教は多くのことができるが、特に文化的なことを多く担ってほしい。平和のために宗教の行いを使うこと。何度でもそれを確かめてほしい。いまや世界では、平和以外のことを行うために、その行いの理由を自分たちの宗教のためと位置づけてしまうが、それは辞めてほしい。宗教間対話が世界中でも増えてきているのが、もっと行われてほしい。しかし、本来もっと政治家が動くべきだと思うけれど」と答えました。

神父からは、「法王はリーダー的存在。この宗教に付いていって大丈夫なのかという疑問は常に世界中であると思う。しかし、彼の筋の通った生き方は、キリスト教以外の人でも共感できるのではないでしょうか」「世界を変えたいという思いは色んなリーダーが持っている。しかし、問題を解決するときの方法がみんな違う。他のリーダーはミサイルを飛ばしたりと、暴力を使おうとする。法王の行いには“赦し”“他者中心”“相手中心”という3つの指針がある。法王の行いに希望を持つことができる理由はそこにある」と話しました。

劇中で触れられる、フランシスコが日本に興味を持っているというエピソードについて、理由を尋ねる質問も挙がりまし た。理由の1つとしては「フランシスコ・ザビエルがイエズス会で初めて日本に来た人であり、新しい宣教を切り開いたという大先輩への憧れがあったのだろう」と説明。
そして、「イエズス会は“宣教に出す”ということ、つまり人々を各地に送 り宣教に出すということをするが、ベルゴリオの時代には中国、日本に送られることが多かった。自分たちもこうして日本に来たわけだけれど、送られるとしたら日本だろうと思っていました」と話しました。

アイダル神父は、フランシスコについて書かれた書物にも普段は目を通すことがないと言います。
「読んで出来が悪いと 腹が立つだろうと思うので」と笑いながら説明しましたが、本作については「法王の人物像、性格、時代背景など良く描かれている。とても感動し、観る価値のある作品だと思ったのでコメントも寄せました」とお話しくださいました。

【登壇者プロフィール】
■ダニエーレ・ルケッティ監督 1960年ローマ生まれ。友人のナンニ・モレッティが監督した『僕のビアンカ』(83)にエキストラ出演後、同監督作品で助監督、 俳優として関わる。CM制作を経て、映画デビュー間もないマルゲリータ・ブイを起用した長編『イタリア不思議旅』(88)でデ ビュー、イタリアのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の最優秀新人監督賞を受賞、第41回カンヌ映画祭<あ る視点>部門ノミネートされた。代表作は、エリオ・ジェルマーノにカンヌ国際映画祭の男優賞をもたらした『我らの生活』(10)。 他に東京国際映画祭で上映された監督の自伝的作品『ハッピー・イヤーズ』(13)など、コンスタントに作品を発表しているイタ リアの名匠である。

■ホアン・アイダル神父:上智大学 神学部教授・カトリックセンター長 1965年生まれ、アルゼンチン出身のイエズス会員。現ローマ法王フランシスコ(当時ベルゴリオ神父)が1980-86年にかけて 院長をつとめたサン・ミゲル神学校神学科・哲学科にて通算4年間直接指導を受ける。

■レンゾ・デ・ルカ神父:イエズス会日本管区長 1963年アルゼンチン生まれ、1981年イエズス会へ入会。サン・ミゲルの神学院時代、現ローマ法王フランシスコ(当時ベルゴ リオ神父)に3年間直接指導を受ける。1985年来日。上智大で日本語、哲学、神学を学び、長崎に派遣され1997年より日本 二十六聖人記念館副館長を務める。2004年より日本二十六聖人記念館館長を務め、キリシタン歴史研究に貢献。2017年よ りイエズス会日本管区長。

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知られざる激動の半生『ローマ法王になる日まで』予告

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【STORY】
コンクラーベ(法王選挙)のためにバチカンを訪れたベルゴリオは、運命の日を前に自身の半生を振り返る-。 1938年、ホルヘ・マリオ・ベルゴリオは、イタリア移民の子としてブエノスアイレスに生まれる。大学で化学を学んでいた彼は、 20歳のとき神に仕えることが自分の道と確信し、イエズス会に入会。神学を学び始め、瞬く間にその指導力が認められて35 歳の若さでアルゼンチン管区長に任命される。だが次第に軍の圧力が強まり、恐怖政治の足音が近づいて来る...弱きもの、 民衆に寄り添い続けたベルゴリオが法王となるまでの激動の日々、彼が愛し、彼を支えた人々の姿を感動的に描き出す。

監督・原案・脚本:ダニエーレ・ルケッティ
製作:ピエトロ・ヴァルセッキ
音楽:アルトゥーロ・カルデルス
キャスト:ロドリゴ・デ・ラ・セルナ、セルヒオ・エルナンデスほか
提供・配給 : シンカ/ミモザフィルムズ
2015年/イタリア/スペイン語・イタリア語・ドイツ語/113分/カラー/2.39:1/ドルビーデジタル
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6/3(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、
YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー

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