秋の深まりが感じられる今日この頃。ルネサンス期にタイムスリップして、ヴェネツィアの絵画を鑑賞しませんか。
国立国際美術館では、日本とイタリアの国交樹立150周年を記念して、「アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」が開催されています。
本展は、ヴェネツィア絵画の殿堂であるアカデミア美術館のコレクションから、選りすぐりの名画57点が紹介される貴重な展覧会です。
ルネサンス発祥の地であるフィレンツェの画家たちが、正確な構図、繊細なデッサン、丁寧な筆致で描いていたのに対し、ヴェネツィアの画家たちは、大胆な構図、自由奔放な筆致による豊かな色彩で、描いています。
神話の世界が生き生きと、ドラマチックに色鮮やかに描かれていて、15世紀から、17世紀初頭に至るヴェネツィア・ルネサンスの名画が一望できます。
是非、この機会にご堪能ください。
 
 
 

画像: ジョヴァンニ・ベッリーニ 《聖母子(赤い智天使の聖母)》油彩/板

ジョヴァンニ・ベッリーニ 《聖母子(赤い智天使の聖母)》油彩/板

15世紀のヴェネツィア最大の画家ジョヴァンニ・ベッリーニは、多くの聖母の絵を描き「聖母の画家」と呼ばれました。イエスを膝の上に抱き、視線を交わす母子の姿は、暖かな眼差しで、優しさが感じられます。
 
 
 

画像: アントニオ・デ・サリバ(別名 アントネッロ・デ・サリバ)《受胎告知の聖母》テンペラと油彩/板

アントニオ・デ・サリバ(別名 アントネッロ・デ・サリバ)《受胎告知の聖母》テンペラと油彩/板

「受胎告知」は、大典氏ガブリエルがマリアに受胎を知らせる場面として描かれることが一般的でしたが、本作では、お告げに聞き入るマリアが正面からとらえられています。
 
 
 

画像: ヴィットーレ・カルパッチョ《聖母マリアのエリサベト訪問》 油彩/カンヴァス ヴェネツィア、ジョルジョ・フランケッティ美術館(カ・ドーロ)

ヴィットーレ・カルパッチョ《聖母マリアのエリサベト訪問》 油彩/カンヴァス ヴェネツィア、ジョルジョ・フランケッティ美術館(カ・ドーロ)

カルパッチョは、世俗の宗教信徒団体である同心会(スクオーラ)からの注文を基盤に15世紀後半から16世紀初頭にかけて活躍した画家です。
そのころ、信徒団体は、建物や礼拝堂に、競って装飾を施していました。
カルパッチョは、神聖な物語を、独自の風俗画で描きました。
 
 
 

画像: アンドレア・プレヴィターリ 《キリストの降誕》油彩/カンヴァス

アンドレア・プレヴィターリ 《キリストの降誕》油彩/カンヴァス

この作品は、1897年にヴェネツィアのジュデッカ島にあるレデントーレ聖堂からアカデミア美術館に入りましたが、もともとは、おそらくヴェネツィアのドゥカーレ宮殿にあったと思われます。4点の連作のうちの1点で、いくつかのエピソードがありますが、キリストの降誕により、異教世界の倒壊と、ヘブライ社会の退廃、キリスト教が新しい宗教となることを象徴しています。

 
 
 

画像: ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《受胎告知》 油彩/カンヴァス ヴェネツィア、サン・サルヴァドール聖堂

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《受胎告知》 油彩/カンヴァス ヴェネツィア、サン・サルヴァドール聖堂

この作品は、16世紀ルネサンスの黄金時代にヴェネツィア画壇の第一人者として活躍したティツィアーノの晩年を代表する大作です。
16世紀初頭、ジョルジョーネと、ティツィアーノの若い二人の画家によって、ヴェネツィア絵画に革命がもたらされました。彼らは、先輩画家のジョヴァンニ・ベッリーニの豊かな色彩表現を受け継ぎながら、フィレンツェ派のレオナルド・ダ・ヴィンチや、ミケランジェロからも刺激を受けつつ、ヴェネツィア独自の絵画の伝統を創始しました。
光と影の効果や色彩の調和により、生き生きとした人物表現を可能にしたのです。
 
 
 

画像: ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《聖母子(アルベルティ―ニの聖母)》油彩/カンヴァス

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《聖母子(アルベルティ―ニの聖母)》油彩/カンヴァス

ティツィアーノは、生涯、聖母子を中心にした宗教画を多く手がけました。
この作品は比較的小ぶりでおそらく個人による注文でしょう。
サン・サルヴァドール聖堂の《受胎告知》に共通する晩年の様式、粗い筆使いや、震えるような光の表現が見られます。
 
 
 

画像: パリス・ボルドーネ《眠るヴィーナスとキューピッド》 油彩/カンヴァス ヴェネツィア、ジョルジョ・フランケッティ 美術館(カ・ドーロ)

パリス・ボルドーネ《眠るヴィーナスとキューピッド》 油彩/カンヴァス ヴェネツィア、ジョルジョ・フランケッティ 美術館(カ・ドーロ)

16世紀ヴェネツィアでは、盛期ルネサンス様式の創始者であるジョルジョーネが描いた《眠るヴィーナス》(1510頃、ドレスデン州立絵画館蔵)を皮切りに、ティツィアーノをはじめ多くの画家たちが「横たわる裸婦」の主題に取り組みました。
肌の柔らかさや滑らかさ、豊満な女性の肉体美が生き生きと表現されています。
当時、愛の女神ヴィーナスは、多産や繁栄、健康の守り神とみなされ、結婚の記念に描かれることもありました。
 
 
 

画像: ヤコポ・ティントレット(本名ヤコポ・ロブスティ)《聖母被昇天》 油彩/カンヴァス

ヤコポ・ティントレット(本名ヤコポ・ロブスティ)《聖母被昇天》 油彩/カンヴァス

tsu16世紀後半、ティツィアーノと並んで、ヴェネツィア画壇に貢献した巨匠、ティントレットは、ヴェネツィアの聖堂や同心会館、ドゥカーレ宮殿(統領宮殿)などの公共建築のために膨大な数の大規模な絵画を次々と制作しました。
この作品では、聖母がドラマティックに天に昇っていく様子が描かれ、光と影の強烈な演出効果が、巧みに用いられています。
 
 
 

画像: ヤコポ・バッサーノ(本名ヤコポ・ダル・ポンテ)と工房《ノアの箱舟に入っていく動物たち》油彩/カンヴァス

ヤコポ・バッサーノ(本名ヤコポ・ダル・ポンテ)と工房《ノアの箱舟に入っていく動物たち》油彩/カンヴァス

この作品は、旧約聖書の創世記6-9章に描かれたノアの箱舟のエピソードを描いたものです、
動物の描写が巧みであった、バッサーノにとって、これは好適な主題であったでしょう。
全体に暗い色調で、メランコリックな雰囲気を醸し出しています。
 
 
 

画像: パオロ・ヴェロネーゼ(本名パオロ・カリアーリ)の工房 《羊飼いの礼拝》油彩/カンヴァス

パオロ・ヴェロネーゼ(本名パオロ・カリアーリ)の工房 《羊飼いの礼拝》油彩/カンヴァス

16世紀後半、ティツィアーノとともに後期ルネサンスのヴェネツィアの画壇をけん引したヴェロネーゼは、ラファエロに由来する調和のとれた造形感覚と、明るく美しい透明感のある色彩を特徴としています。
 
 

画像: パルマ・イル・ジョーヴァネ(本名ヤコポ・ネグレッティ)《聖母子と聖ドミニクス、聖ヒュアキントゥス、聖フランチェスコ》油彩/カンヴァス

パルマ・イル・ジョーヴァネ(本名ヤコポ・ネグレッティ)《聖母子と聖ドミニクス、聖ヒュアキントゥス、聖フランチェスコ》油彩/カンヴァス

ティントレットや、ヴェロネーゼ、バッサーノといった三大巨匠を受け継ぐ後継者たちが、ヴェネツィアのルネサンス絵画の最後を飾る画家たちとなりました。
 
 
 

画像: パドヴァニーノ(本名アレッサンドロ・ヴァロターリ)《オルフェウスとエウリュディケ》油彩/カンヴァス

パドヴァニーノ(本名アレッサンドロ・ヴァロターリ)《オルフェウスとエウリュディケ》油彩/カンヴァス

詩人オルフェウスが、亡き妻エウリディケを冥界から引き戻そうとする ギリシャ神話の一場面が描かれています。
古代彫刻のような均整のとれた美しい身体には、古典主義的な傾向が見られますが、画面全体を包む温かな褐色の色調、布地を彩る鮮やかな色使いにヴェネツィア派の伝統が感じられます。
 
 
 

画像: カリアーニ(本名ジョヴァンニ・ブージ)《男の肖像》油彩/カンヴァス

カリアーニ(本名ジョヴァンニ・ブージ)《男の肖像》油彩/カンヴァス

実在の人物を生き生きと表現する肖像画は、ヴェネツィア派の得意とするで、宮廷風の堅苦しい雰囲気のものではなく、自由な感覚で、人物の内面性をも映し出されるものへと変化していきました。
 

ヴェネツィアのルネッサンス期を彩った数々の巨匠たちが織り成すドラマティックな物語「アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」を是非ご堪能ください。
 
 

画像: 「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」展覧会特別メニュー@国立国際美術館内 レストラン&カフェ中之島ミューズ

「ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」展覧会特別メニュー@国立国際美術館内 レストラン&カフェ中之島ミューズ

展覧会概要

会期
2016年10月22日(土)〜 2017年1月15日(日)

休館日
月曜日、12月28日(水)〜1月4日(水)
ただし、1月9日(月・祝)は開館し翌日休館

開催会場
国立国際美術館
〒530-0005 大阪市北区中之島 4-2-55
The National Museum of Art, Osaka
4-2-55, Nakanoshima, Kita-ku, Osaka 530-0005

開館時間
10時〜17時
金曜日は10時〜19時
(入場は閉館の30分前まで)

観覧料
一般 1,500(1,300)円 大学生 1,200(1,000)円 高校生 600(400)円
※( )内は前売・団体料金/団体は20名以上/中学生以下無料
※心身に障害のある方とその付添者1名無料(証明できるものをご提示願います)。
※本料金で、同時開催の「THE PLAY since 1967 まだ見ぬ流れの彼方へ」もご覧いただけます。

主催
国立国際美術館、TBS、朝日新聞社、MBS

後援
外務省、イタリア大使館

協賛
日本写真印刷

協力
アリタリア−イタリア航空、日本貨物航空、アルテリア、日本通運、ダイキン工業現代美術振興財団、安藤忠雄文化財団

日伊国交樹立150周年特別展「アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」 @京都cinefilチケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、日伊国交樹立150周年特別展「アカデミア美術館所蔵ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち」チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上3組6名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効の、この招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。
☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2017年12月25日 24:00 日曜日
記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
5、記事を読んでみたい監督、俳優名、アーティスト名
6、読んでみたい執筆者
7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、
  5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
 (複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。
   また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

This article is a sponsored article by
''.