台湾、香港、中国本土など中華圏での仕事歴20年
(うち半分の10年は中国暮らし)
自称!日中友好大使の小松拓也です。

画像: 小松拓也

小松拓也

今回は中国の戸籍について簡単に紹介したいと思います。
ちなみに皆さんは中国人の戸籍が都市部と農村部とで区別されていることを知っているでしょうか?
中国には農村戸籍(農業戸籍)と都市戸籍(非農業戸籍)の2つの戸籍があります。
農村戸籍が約6割、都市戸籍が約4割という比率で、農村戸籍を持つ中国人の割り合いが多数を占めます。

じゃあ、農村戸籍と都市戸籍とで具体的にどう違うの?
例えば農村戸籍者は農村部から都市部への移動に強い制限が設けられるため、例え国内であっても自由に移動が出来ません。
また、都市戸籍者と同等の社会保障を受けることも出来ません。
さらに、進学や就職、結婚に至るまで都市戸籍者とは同等の扱いを受けることが出来ず、差別に繋がっています。
進学ならば都市戸籍者よりも遥かに優秀な成績でないと農村戸籍者は同じ学校に入れないし、就職においても同じです。
また、例え同じ会社に就職が出来ても、農村戸籍者は都市戸籍者の数分の一という給料しかもらえないということが一般的です。

生まれた場所が都市部だったか農村部だったか?という違いだけで、中国人はこんなにも大きな違いを生まれながらに抱えてしまうんですね。

画像: http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20110526/Recordchina_20110526005.html

http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20110526/Recordchina_20110526005.html

当然戸籍に付随する様々な問題は中国国内における大きな問題や課題の一つのため、中国政府は少しずつ都市戸籍を与える人間を徐々に増やす努力をしていますが、仮に全ての国民に一斉に都市戸籍を渡そうものならば都市部への人口集中などが始まり、たちまち混乱に陥ってしまうので、現在は緩やかにその施策が進行しているようです。

ただ、数億という人口が相手ですから当然この戸籍問題はまだまだ当面続くだろうし、長い年月をかけないと変わらない問題なのだと思います。
上記に加えて、中国は長い間一人っ子政策が施行されていたために、仮に2人目、3人目の子供を設けた家庭は多額のお金を国に納める必要がありました。(2015年末より一人っ子政策は終了となりました。)

画像: 一人っ子政策に関連するポスター http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20110526/Recordchina_20110526005.html

一人っ子政策に関連するポスター
http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20110526/Recordchina_20110526005.html

ただでさえ、貧しい農村部の農民にそのようなお金が支払えるわけもなく、結果として農村部では隠れて子供を産み、育てるという家庭も少なくないと聞きます。
当然、このような環境で生まれてきた子供も無戸籍で、学校に通うことも病院にかかることも出来ないようです。

日本ではにわかに信じられない現実が中国には広がっているんですね。
つまり、これを日本に旅行に来て爆買いしていると報道されている中国人に置き換えると、そのほとんどが都市部の中国人だということになるわけですね。

爆買いを国内で大きく支える大多数の労働者である、中国農村部の方たちの存在や、彼らが抱える大きな問題の上に現代中国の発展があり、そして回り回って日本も消費という恩恵を受けているのだと思うと、何だか歓迎する反面、複雑な気持ちになるのは僕だけでしょうか?

小松拓也
1977年生まれ。
高校を卒業するとともに金城武のような多言語を操る国際的な俳優を目指し、台湾へ語学留学。
2003年に台湾でリリースした北京語CDアルバム「一萬個為什摩」は二万枚のセールスを記録。2007年に中国の国民的テレビオーディション番組「加油!好男児」に参加をし、約八万人の応募者の中からトップ20位に残った唯一の外国人ということで大きな注目を浴び、番組終了後は数多くの中国のテレビやイベント、雑誌などに出演するほか、数社の企業広告のイメージキャラクターを務め、日本の音楽を紹介する「音楽物語in Japan」のMCを務めるなど幅広く活動。
また、国家プロジェクトである上海万博の開幕式への参加や、世界中の華僑を台湾に集めて台北小巨蛋をステージに行われた四海大同では、2万人を前にイベントのテーマソングを歌うなど、その功績を中国からも認められている数少ない日本人の1人。

小松拓也オフィシャルブログ
http://profile.ameba.jp/takuyashanghai/

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