映画『ルーム(原題: Room)』

アイルランド出身の作家エマ・ドナヒューのベストセラー小説「部屋」を映画化。7年間も密室に監禁された女性が、そこで生まれ育った5歳の息子のため命懸けで脱出に挑み、長い間世間から隔絶されていた彼らが社会に適応していく過程で生じる葛藤や苦悩を描いたドラマ。

画像: 映画『ルーム(原題: Room)』

第88回(2016年)アカデミー賞で作品賞他4部門にノミネートされ、息子とともに生きようとする母を熱演した『ショート・ターム』のブリー・ラーソンが主演女優賞を初ノミネートで受賞した。
監督は『FRANK -フランク-』などのレニー・アブラハムソン。生まれて初めて外の世界に触れた息子の戸惑いを子役のジェイコブ・トレンブレイが瑞々しく演じる。

もうね、何度も泣いたよ…。ボクの“父性”がそうさせたのか、ボクの中に少しだけあるだろう“母性”がそうさせたのか…。
「ルーム」というタイトルから勝手に監禁、脱出というアクションものやサスペンスものを想像していたんだけどね…。“自由になった2人”を描くところが新鮮。そしてゴシップ的要素には目もくれず、すごく丁寧にしっかりと描いてる。

レニー・アブラハムソン監督は『FRANK -フランク-』では被り物を使って、今回は“部屋”や“扉”を使って人間の“内”と“外”を描こうとしたのかしら。冒頭、母子の幸せ溢れる「ルーム」でのシーン、でもあちこちに滲み出た不穏な空気…。一気に引き込まれた。

ヒツジの代わりにベットが軋む音を数えるシーンは印象的。そして脱出は衝撃だ。初めて見た外の世界を息子目線で観せるシーンは鳥肌。映像と音楽が相まってものすごい感動。これほど感動的な空がこれまでにあっただろうか? そしてその後の2人。
母親は外に出て自由になったからといって簡単にハッピーとはならないところがリアルでね。母親と息子それぞれの変化。説明は一切ないにも関わらず、俳優陣の演技や演出、小道具などで人間の強さと弱さがしっかりと描かれていた。

ブリー・ラーソンはオスカー受賞も納得の演技だ。子役のジェイコブ・トレンブレイの自然過ぎる演技は神懸かりだろう。階段や鏡、おもちゃや犬と触れたとき、そのときどきの表情や声の出し方が実に見事。温もりに溢れた素晴らしい作品だ。
劇場を出てボクは六本木の空を思いっきり眺めたよ。子供たちには大きな世界を見て欲しいものだ。

シネフィル編集部 あまぴぃ

画像: 「ルーム」本予告 youtu.be

「ルーム」本予告

youtu.be

This article is a sponsored article by
''.