小栗康平監督『FOUJITA 』の公開がはじまった。それに先立って、12日、小栗監督と美術家会田誠、美術批評家椹木野衣による「戦争画とニッポン」刊行記念講座「もっと知りたい藤田嗣治」のトークショーが開催された。

画像: 左から椹木野衣 会田誠 小栗康平 http://eiga.com/news/20151113/12/

左から椹木野衣 会田誠 小栗康平

http://eiga.com/news/20151113/12/

小栗監督は、公式ページのインタビューで答えている。

小栗さんがフジタを撮る、意外でしたが。
もともとは持ちかけられた企画でした。とくに好きな画家というわけでもなく、通りいっぺんのフジタ像しか持ち合わせていませんでした。ただ映画の主人公として、画家は魅力的だと思っていました。ゲオルギー・シェンゲラーヤ監督の「ピロスマニ」などは大好きな映画の一つです。で、勉強してみると、フジタは面白かった。1920年代のパリでの裸婦と戦時中の「戦争協力画」との、絵画手法のあまりの違いに、あらためて驚かされたのです。この両者を分かつものはなにか。文化としての洋の東西、私たちが西洋から受け入れてきた近代の問題など、そっくりそのまま私自身に引き戻される課題でした。

そして、藤田が、「ヨーロッパ社会で受け入れられる油絵は何かというところで、彼は非常に戦略的で巧みだった。」と語り、今の時代に対しても

「僕は戦略がないからこういう(アート指向の強い)映画になるんですけどね」と笑いつつ、「最近はそういうことにひるまなくなりましたね。バカバカしいほどに分かりやすい社会になっている時代。映画がこれほど豊かなディテールを持っているのに、なぜ分かりやすいものへと落ちていかないといけないのか。そこは確信を持っていますね」とキッパリ。

会田が、藤田から受けた影響とその技術に触れると、、椹木氏はフジタが目指したのは「日本画と洋画の統合」だと話す---

フジタの当時の日本の画壇での立ち位置、モディリアーニら同時代に生きた画家との現在の評価の違い、ベルナール・ビュフェらフジタから影響を受けた画家などについても言及した。小栗監督が映画で描いたパリ時代について歴史背景を説明し「フジタとフジタを取り囲む時代、恐慌が近づき、生きていくことへの不安感や華やかだけれども何にも支えられていない、この時代がいつまでも続くのではないという雰囲気が映画から非常によく感じられた」と評した。

そして、藤田の大作戦争画「アッツ島玉砕」に触れ、そこで藤田が描きたかったのは、戦争ではなく現地の花だったのではないかと、考察。
映画で見せる、歴史の中で明と暗に分かれた生き方のなかに、戦争を含む歴史の中で、心中、もがきながらも、生きたひとりの芸術家について語りあった。
藤田とは、知れば知る程、興味がわく存在なのかもしれない---。

11/14公開:映画『FOUJITA』予告編

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公式ページに小栗監督インタビューなども載っております。ご一読を---

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