【文化庁映画賞・文化記録映画優秀賞受賞記念 坂口香津美監督特集】

認知症とうつを患う高齢の母にカメラを向け、息詰まる介護の日々と高齢化社会の深刻な現実、その先にある希望を描き、今春からの劇場公開でも大きな話題を呼んだドキュメンタリー映画 『抱擁』が、11月14日(土)より、ポレポレ東中野にてアンコール上映されることが決定いたしました。
本上映は、『抱擁』が平成27年度文化庁映画賞(文化記録映画部門)文化記録映画優秀賞を受賞したことを記念したもので、 「『抱擁』文化庁映画賞(文化記録映画優秀賞)受賞記念 坂口香津美監督特集」として最新作『シロナガスクジラに捧げるバレエ』とともに上映いたします。

最愛の人を喪った時、いかにしてその後の人生を生きるか。
78歳の坂口すちえは長女と夫を続けざまに亡くし、精神的な混乱に陥る。
すちえの心を静めるのはおびただしい量の精神安定剤。息子(坂口香津美監督)は母を深く理解するためにカメラを向ける。
すちえが初めて他者(介護支援員)を部屋に招き入れた日から程なく夫は他界する。葬儀で上京した妹のマリ子は失意と絶望の姉を郷里の種子島に連れて帰る。38年ぶりの帰郷。
姉を立ち直らせるためにマリ子の献身的な介護と苦闘が始まる。4年間のすちえの精神の混乱と葛藤と変容を息子のカメラは痛みとともにあぶり出す。
悲嘆とは、愛する者を喪う悲しみの後遺症。すちえの悲嘆を救ったものとは…。

画像: 映画「抱擁」の海外版ビジュアル

映画「抱擁」の海外版ビジュアル

本作は、5月1日(金)放送の NHK 総合「おはよう日本」の特集「記録映画は語る 突然の介護、あなたは?」として取り上げられ、大きな反響を呼びました。
『抱擁』は坂口監督が、当時、78歳の認知症の母を4年間追った感動のドキュメン タリー映画。
娘と夫を亡くし、老いの孤独と絶望、精神の混乱に陥った女性が、郷里の島の暮らしの中で、再び生きる希望を取り戻していくまでの姿を描いています。

第27回東京国際映画祭で上映されるや、衝撃のあとに押し寄せる深い感動、ユーモアと涙が観客を包み、話題に。
4月行われた日本外国特派員協会での試写会・記者会見でも大きな反響と共感をよび、坂口監督に多くの外国人記者から熱心な質問が飛びかいました。
また、6月にドイツのフランクフルトで開催された世界最大の日本映画祭「NIPPON CONNECTION 2015」のNippon Visions部門のオープニングフィルムとして正式上映。
オランダでは、カメラジャパンフェスティバルでの正式上映とともに、映画財団EYE International主催「90 Years of Japanese Cinema」にて小津安二郎、黒澤明、大島渚、北野武、河瀬直美、是枝裕和、黒沢清などの監督作品と並び上映されました。

日本の65歳以上の高齢者人口は、過去最高の3190万人で総人口に占める割合(高齢化率)は25.1%と過去最高(平成26年版内閣府「高齢社会白書」)という現代社会。
親が突然、介護が必要になった時、どうすれば良いのか。そして「第4の人生」ともいうべき、高齢となり夫や妻を亡くし独りになった時、その後の人生をどういきていくのか、「老後を幸せに生き抜く一つの答」を本作は提示しております。
坂口監督が母の老後を撮影しながら学んだ「老後を幸せに送る10の言葉」は、高齢化社会日本を救う一筋の光となることでしょう。

映画「抱擁」 予告篇 "Walking with My Mother"

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■坂口香津美監督のコメント
「『抱擁』は都会の片隅で孤立していく母と息子が、もがき苦しみながらも、様々な人々とつながりを持ちながら、生きる力、生きる喜びを再び獲得する映画です。ふるさとと人との交わりが持つ治癒力、老いの幸せな迎え方を、ひとりの高齢女性の生き方を通じて描き出しています。より多くの方々の心に届いてくれたら。極私的な映像がスクリーンを通じて社会化していくことに映画の可能性を感じています。2020年、団塊の世代が75歳になり、日本はこれまで経験したことがない超高齢化社会を迎えます。いかに老いを生きていくか。本作はその一つのヒントになる作品と思います」

スタッフ
監督 坂口香津美
プロデューサー 落合篤子
撮影 坂口香津美
編集 坂口香津美 落合篤子
キャスト
坂口すちえ
宮園マリ子
坂口諭
坂口香津美
製作・配給:スーパーサウルス

津波で家族を失った幼い姉妹の心の旅路---72分の魂のレクイエム
『シロナガスクジラに捧げるバレエ』

愛する家族を失った幼い姉妹の再生の旅
少女たちのいのちの陰影を
詩情豊かに描くサイレントフィルムの誕生

津波の襲来によって砂に没した村に、11歳と8歳の姉妹が帰還する
ふるさとの海辺の村で、少女たちの心の旅が始まる
霧の朝、津波で家族を失った幼い姉妹(11歳と9歳)は、海辺の村に帰還する。
一本のロープで結ばれた姉妹の目的は、波にさらわれた家族を探し出し、浜辺に「家」を作ること。
だが、海辺の村は砂に没して、家族で楽しく暮らしていた痕跡すらない。
 
目の前に広がる海は、幼い姉妹にとって家族と過ごした思い出が宿る海である、と同時に、家族の命を奪った憎しみの海でもある。
 
生と死の境界線、すべてが失われた場所で、家族の思い出の破片を拾い集め、もう一度、二人だけで「新しい家」を作ろうとする。
 
浜辺で流木を集め、家を作り続ける姉妹。
疲れ果てて眠る姉妹の夢のなかに、次々と家族が姿を現す…。
 
喪失と悲嘆、絶望と虚無、記憶の海にひとすじの希望を求めて、現実と幻想が錯綜する夢幻的な世界で、少女たちの心の旅が始まる…。


タイトルのシロナガスクジラは地球最大の生き物で、大自然の象徴。人間の生と死も自然の一部との意味がこめられている。

画像: 津波で家族を失った幼い姉妹の心の旅路---72分の魂のレクイエム 『シロナガスクジラに捧げるバレエ』

一本の紐で結ばれた幼い姉妹の旅、亡き家族の思い出との邂逅、少女たちの心の葛藤と小さな成長を静謐かつ繊細な映像で描く。そこに流れるチェロとピアノの響きは、死者たちへのレクイエム(鎮魂歌)でもあり、姉妹を生に導く癒しの音色にも聞こえ、観客の心を震えさせる荘厳さと静穏さに溢れている。

監督・坂口香津美×音楽・海野幹雄、新垣隆の注目のコラボレーション

監督・撮影は、20年間で200本以上のTVドキュメンタリーを作り続けてきた異才の映像作家・坂口香津美。
初の長編映画『青の塔』(2001)、『カタルシス』(2002)、ロッテルダム国際映画祭ほか国内外で高い評価を得た『ネムリユスリカ』(2011)、ドキュメンタリー映画『夏の祈り』(2012)、2015年4月下旬シアター・イメージフォーラム(東京)他にて公開の『抱擁』(2014年東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門正式招待)など、逆境に生きる人々の姿を独自の視点と映像美で表現している。

本作の全編を通して流れる音楽と演奏は、映画『おくりびと』で12人のチェリストの一人としてレコーディングにも参加、東京フィルハーモニー交響楽団等への首席客演など多方面で活躍する海野幹雄(チェロ)と、現代音楽の旗手として多岐にわたり精力的に活動、メディアからも注目を集める作曲家・ピアニストの新垣隆の二人の盟友が共同で担当。

「シロナガスクジラに捧げるバレエ」予告篇 “A Dance for Blue Whales”

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監督・脚本・撮影:坂口香津美 
プロデューサー:落合篤子
音楽:海野幹雄  新垣隆 
チェロ:海野幹雄 
ピアノ:新垣隆
サウンドデザイン:今泉徳人(日本アコースティックレコーズ) 
音楽録音:若生浩(アウローラ・クラシカル)、服部文雄  
音楽協力:新演奏家協会、エナスタジオ 田仲範行
制作協力:ダブルフォックス 
キャスティング協力:原田努務
編集:坂口香津美、落合篤子
題字・広告美術:小澤菜穂
英語字幕:加藤綾華シンディー
海外アドバイザー:長谷川敏行
製作・配給:スーパーサウルス
2014年/72分/16:9/カラー/日本

2015年11月14日(土)より ポレポレ東中野(東京)
【「抱擁」文化庁映画賞受賞記念 坂口香津美監督特集】
『シロナガスクジラに捧げるバレエ』『抱擁』2作品がアンコール上映決定!

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