『天才脚本家 梶原金八』と『チャンバラが消えた日』関連上映。7月31日は衣笠貞之助監督作品の『或る夜の殿様』(1946)を上映。
占領下の検閲で、チャンバラは大きく制限される。
そんな中、時代劇映画の巨匠達も、さまざまな挑戦を行う。

本作は衣笠貞之助監督作品。演技派俳優を配役しつつ娯楽喜劇として映画化。
明治初期、洋風旅館の開館記念会に逓信大臣、資本家、ブローカー、成金、と鉄道建設の利権を巡り金銭欲と権力欲にとりつかれた人々が同宿し、権謀術策を繰り広げる。
衣笠監督はこの人間模様を、旅館の仲居さんら庶民の視点で捉る。

‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

画像: 『天才脚本家 梶原金八』と『チャンバラが消えた日』関連上映 『或る夜の殿様』(1946)@京都文化博物館フィルムシアター

京都文化博物館フィルムシアター、『天才脚本家 梶原金八』と『チャンバラが消えた日』関連上映。7月31日は『或る夜の殿様』(1946)。
占領下の検閲でチャンバラは大きく制限される。
そんな中、時代劇映画の巨匠達も、さまざまな挑戦を行う。本作は衣笠貞之助監督作品。
演技派俳優を配役しつつ娯楽喜劇として映画化。
明治初期、洋風旅館の開館記念会に、逓信大臣、資本家、ブローカー、成金、と鉄道建設の利権を巡り金銭欲と権力欲にとりつかれた人々が同宿して、権謀術策を繰り広げる。
衣笠監督はこの人間模様を、旅館の仲居さんら庶民の視点で捉る。

‪#‎ミニシアター‬ http://www.bunpaku.or.jp/exhi_film/

『或る夜の殿様』
1946(昭和21)年東宝作品/112分・モノクロ
製作:清川峯輔 脚本:小国英雄 監督:衣笠貞之助

『或る夜の殿様』
1946(昭和21)年東宝作品/112分・モノクロ
製作:清川峯輔 脚本:小国英雄 監督:衣笠貞之助 
助監督:藤原杉雄 撮影:河崎喜久三 美術:久保一雄 音楽:鈴木静一 特殊効果:円谷英二

出演:長谷川一夫(書生)、藤田進(書生節の男)、大河内伝次郎(江本逓信大臣)、山田五十鈴(おみつ)、高峰秀子(妙子)、飯田蝶子(おくま)、吉川満子(里野)、志村喬(北原虎吉)、

菅井一郎(菅沼仁太郎)、清川荘司(波川三右衛門)、河野秋武(巡査・関川大之進)、進藤英太郎(越後屋喜助)、清水将夫(山崎勝五郎)、北沢彪(秘書・池田信正)、中村哲(牛久保亮)、浅田健二(小倉謙造)、深見泰造(藤島組)、鬼頭善一郎(福本重兵衛)、永井柳太郎(巡査後藤)、横山運平(掃除人)、沢井三郎(番頭)、大倉文雄(給仕頭)、石島房太郎(井上直文)、江藤勇(木村正雄)、勝本圭一郎(巡査前田)、清川玉枝(おたつ)、花岡菊子(おきく)、矢の島ひで子(おしげ)、谷間小百合(給仕女)、中北千枝子(同)、三谷幸子(綾子)

明治19年春、箱根の温泉旅館・山泉楼で開館祝賀会が行われ、逓信大臣に鉄道敷設案を申請し、ひと儲けしようという輩が集まった。そこへ、みすぼらしい書生が紛れ込んだ。商人の北原は、利権を横取りしようとする越後屋をかつごうと、書生を大臣が捜している水戸15代君の弟・平喜一郎に仕立てた。彼を利用する者ばかりのなか、旅館で働くおみつだけが優しく接した。そこへ大臣がやって来ると知らせが入り・・・。

終戦後、荒廃し混乱した社会状況の中、庶民は映画に救いを求めるが、各社とも戦中の企画は壊滅、加えて占領軍は民主化宣伝の映画を要求した。映画界の傷も深く、娯楽映画にせよ民主化映画にせよ、おざなりな企画で粗製濫造という状況であった。
そんな中、ヒューマニズムを謳った丸根賛太郎監督の『狐の呉れた赤ん坊』(1945/丸根賛太郎)、“りんごの唄”で親しまれた『そよかぜ』(1945/佐々木康)、戦争の傷の深さと生を示した『大曽根家の朝』(1946/木下恵介)と大衆の期待に応える作品が現れはじめる。本作もそんな作品の一つ。

衣笠貞之助監督が演技派俳優を配役しつつ娯楽喜劇として映画化。明治初期、箱根の洋風旅館の開館記念会で逓信大臣、資本家、ブローカー、成金が同宿、そこでは鉄道建設の利権を巡り金銭欲と権力欲にとりつかれた人々が権謀術策を繰り広げる。

衣笠監督はこの浅ましい人たちが織りなす人間模様を、旅館の仲居さんら庶民の視点で捉え、ほのぼのした喜劇に仕上げた。
長谷川一夫はじめ山田五十鈴、大河内伝次郎、高峰秀子らのスターに加え、志村喬、進藤英太郎、飯田蝶子、吉川満子ら演技派も多数キャスティングされた本作は、終戦1年に満たず、混乱が続く社会にほのぼのとした笑いを提供し、大ヒットを飾った。
(キネマ旬報賞第3位)

島津香蘭@シネフィル編集部

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