京都文化博物館フィルムシアター、映画監督市川崑の世界。
5月27日と30日は『太平洋ひとりぼっち』(1963)。

石原裕次郎の独立プロ第一作。
大海原をヨットが駈ける単なる海洋冒険映画でなく、22歳の青年の頑固なまでの自我を深く掘り下げて描く。

石原裕次郎は、それまでのアクション映画とは違う、大自然を相手に、肉体的、精神的限界に曝され、克服してゆく過程を独り芝居で見事に演じきった。

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京都文化博物館 映像情報室 The Museum of Kyoto, Kyoto Film Archive

『太平洋ひとりぼっち』

『太平洋ひとりぼっち』
1963(昭和38)年石原プロ・日活作品/97分・カラー
企画:中井景 原作:堀江謙一 脚本:和田夏十 監督:市川崑 撮影:山崎善弘 美術:松村崇 音楽:芥川也寸志、武満徹 録音:橋本文雄 照明:藤林甲 編集:辻政則 イーストマンカラー 助監督:鍛冶昇 特殊撮影:円谷プロ

出演:石原裕次郎(謙一)、森雅之(父)、田中絹代(母)、浅丘ルリ子(妹)、ハナ肇(男A)、大坂志郎(造船所主人)、芦屋雁之助(造船所大工)、神山勝(男B)、草薙幸二郎(渡航課の職員)

1962年5月、一人の青年が、小型ヨットに乗って西宮港を後にした。青年の名は堀江謙一、目指すは太平洋を横断してサンフランシスコ。だが、無風状態の大阪湾を1日半も迷走した後一転してシケで海は大荒れ、やっとの事で太平洋に出ると、今度は台風が待っていた。悪天候と食糧不足からくる体力の消耗と、広大な海上での孤独との戦いは、そのまま肉体的精神的な限界への苛酷な挑戦であった・・・。

1956年のデビュー直後から、飛ぶ鳥を落とす勢いでスターダムを駆け上がった石原裕次郎は、日活の企画に頼らず自ら納得できる作品を作ろうと、1962年に独立プロダクションを設立。その第一作が本作である。

弱冠22歳で小型のヨットを駆って、1人で太平洋を横断した堀江謙一の同名手記を原作に、監督は裕次郎たっての希望で、市川が指名される。
裕次郎はデビュー直前に市川が監督、川口浩が主演した太陽族映画『処刑の部屋』(1956)のオーディションで顔を合わせた間柄であった。

脚本は和田夏十があたるが、大海原をヨットが駈ける単なる海洋冒険映画でなく、堀江謙一という青年の人間性、その頑固なまでの自我を深く掘り下げて描かれている。

裕次郎は、それまでのアクション映画とは違う、小型ヨットで洋上の一人旅というシチュエーションの中、大自然を相手にひとりの青年が肉体的、精神的限界に挑み、ぼろぼろになりながらも克服してゆく過程を独り芝居で見事に演じきった。

本作以降、石原プロは『黒部の太陽』(1968)やテレビドラマ『太陽にほえろ!』『西部警察』など映画からテレビ界を股に掛ける活躍をみせた。

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