映画『愛して飲んで歌って(原題: Aimer, boire et chanter)』

『ヒロシマモナムール』『アメリカの伯父さん』などのフランスの名匠、アラン・レネ監督の遺作となったコメディで『スモーキング/ノースモーキング』やベネチア国際映画祭銀獅子賞受賞作『六つの心』と同様にレネ監督が好んだイギリスの喜劇作家アラン・エイクボーンの戯曲を映画化した作品。

画像: 映画『愛して飲んで歌って(原題: Aimer, boire et chanter)』

余命わずかな友人のために3組のカップルが一致団結するかと思いきや、その男と友達以上の関係にあった女たちやそれに振り回される男たちが絶妙な駆け引きを繰り広げる。

主演は『風にそよぐ草』などレネ監督の作品でおなじみのサビーヌ・アゼマ。
他にイポリット・ジラルド、カロリーヌ・シオル、ミシェル・ヴュイエルモーズらが共演。
書き割りのようなセットの中で展開される、レネ監督らしいユーモア溢れるセリフの掛け合いを楽しめる。
ベルリン映画祭で革新的な作品(主に若手⁈)に与えられるA・バウアー賞受賞。“エスプリの効いた作品”とはこのことだね。
演出が技巧を凝らしてて(いや、遊び心、ううん、いたずらだな)実に素晴らしい。

長年の盟友、美術のジャック・ソーニエと組んだカラフルな抽象美術のような世界は、映画なのに舞台劇よりも舞台のようだし、自在なカメラワーク、インタビューのような大写し(背景はグラフィック)、家から家への移動に差し込まれる車載カメラとおぼしき美しい風景映像、さらにアニメーションまで活用。これら画面の勢いを得て流れていく会話劇も素晴らしい。

人間の滑稽さ、虚栄心、小賢しさを丁々発止のやり取りで軽妙に描き出す実力派俳優の演技に魅せられる。
最後まで姿を見せない教師の人と為りは彼らの会話とボクの想像に委ねられる。脚本も実に巧みだ。
意味深なラストはユーモアなのか、皮肉なのか…。
豊かな余韻に包まれる。愛して、飲んで、歌って、か。人生を楽しく、豊かに過ごそうじゃないか。

「愛して飲んで歌って」予告編

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『ヒロシマモナムール』『アメリカの伯父さん』『夜と霧』『二十四時間の情事』『去年マリエンバートで』などの傑作を遺した巨匠アラ­ン・レネ監督遺作

絶賛上映中の岩波ホールほか全国順次ロードショー

シネフィル編集部 あまぴぃ

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