画像1: 展覧会会場風景- photo(C)兵庫県立美術館 -cinefil art review

展覧会会場風景- photo(C)兵庫県立美術館 -cinefil art review

富野由悠季の大回顧展

「鉄腕アトム」の演出家としてスタートし、世界的に知られる日本のアニメーション監督、富野由悠季の世界初の回顧展が開催しています。
 富野由悠季の代表作である「機動戦士ガンダム」は今年で誕生から40年という節目を迎えました。その人気は衰えを知らず、シリーズ展開が続くなど、日本を代表するアニメ作品となりました。
富野由悠季のこれまでの仕事を回顧・検証する今回の展覧会は、現在までの約55年にわたるアニメに携わった仕事を現在進行形でたどることのできる約3,000点におよぶ空前絶後の内容となっています。
「鉄腕アトム」などの初期作品から、「機動戦士ガンダム」や「伝説巨神イデオン」といった1970年代後半、1980年代のアニメ作品、最新作の「ガンダム Gのレコンギスタ」にいたるまで、直筆の絵コンテ、アニメーターによる原画や、制作に関わるイラスト原画等の膨大な資料と映像によって構成されています。

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テレビ放映とロボットアニメ

 日本の高度経済成長期は、1954年に始まり、1973年まで続きました。1953年にはテレビ放送が始まり、世界で初めてテレビで放映をした1964年の東京五輪、その後に1970年の日本万国博覧会から、カラーテレビが普及し、またイベントやスポーツ中継がお茶の間で見られるようになっていきます。
1962年には株式会社虫プロダクション(旧虫プロ)が、漫画家の手塚治虫により設立され、1963年から1966年までテレビ放映されたモノクロのアニメーション「鉄腕アトム」、同じく1965年から1966年までテレビ放映されたフルカラーのアニメーション「ジャングル大帝」が制作されました。
 その後に1970年代から、80年代にかけて、「ロボットアニメ」と呼ばれる多くのアニメ作品が制作されました。「マジンガーZ」、「ゲッターロボ」などの主人公が乗る巨大人型の戦闘ロボットが悪と戦い、今なお多くの根強いファンを持っています。
虫プロ出身者を中心として設立された「日本サンライズ」(現・サンライズ)が自社制作として初めて手掛けたアニメが、「無敵超人ザンボット3」でしたが、富野由悠季はこの作品の総監督を務めています。「日本サンライズ」は、その後もロボットアニメブームの第一人者ともいえるアニメ制作会社として、数々のロボットアニメ作品を輩出しています。

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機動戦士ガンダムの世界観

 1979年には、富野由悠季の代表作の「機動戦士ガンダム」が制作放映されます。宇宙空間に作られた人工の居住地「スペースコロニー」が多数地球の周りに浮かぶ近未来の世界に、複雑な政治、軍事、組織論なども絡ませています。宇宙移民の居住空間「スペースコロニー」は、物理学者のジェラード・K・オニールによって考えられた「オニール・シリンダー」をもとにデザイン設定されています。
また、宇宙移民者と地球連邦政府の対立が戦争へと発展し、そのための兵器としては、「ロボット=モビルスーツ」が設定されました。
「機動戦士ガンダム」に登場する「モビルスーツ」は、SF小説家のロバート・A・ハインラインによる「宇宙の戦士」に登場した強化防護服(パワードスーツ)をもとに、物理学やSF理論などに基づいたリアリティのあるメカデザイン、戦闘描写が特徴的でした。メカデザイナーの大河原邦男によってデザインされたそれらの中には、富野由悠季自身によってデザインラフが描かれたものもあります。
従来のロボットアニメ作品とは異なる、こういったリアリティのある設定の世界観が特徴的とも言えます。

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機動戦士ガンダム以後の富野由悠季作品

 「機動戦士ガンダム」では、宇宙移民時代における新しい環境に順応した人類、「ニュータイプ」を物語後半の重要なテーマとして扱いました。宇宙移民のジオン公国側が提唱する想像上の概念として登場し、思考認識能力が拡大し、言葉を交わさなくとも一瞬で理解し合える「ニュータイプ」は、以後のアニメ作品にも多大な影響を与えました。
 富野由悠季は、1980年に「伝説巨神イデオン」、1982年に「戦闘メカ ザブングル」、1983年「聖戦士ダンバイン」、1984年「重戦機エルガイム」と、テレビアニメを毎年次々に生み出していき、1985年には「機動戦士ガンダム」の7年後を描いた「機動戦士Zガンダム」を制作してガンダムシリーズの幕を開けます。
 「機動戦士ガンダム」以後の、富野由悠季作品に共通するのは、それまでのロボットアニメから、「ニュータイプ」を筆頭に、「伝説巨神イデオン」の「イデ」、「戦闘メカ ザブングル」の新しい人類「シビリアン」といった従来のファンタジーの世界観と異なる、リアリティのある新しい世界観を生み出したことです。
これらの世界観を通じて、人類社会そのものを深く考えさせる、従来のアニメーションを超えた作品であったともいえます。
「富野由悠季の世界」展では、これらのすべてのアニメ作品の世界観を体験するまたとない展示内容となっています。

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富野由悠季の世界 概要
会  期:2019年10月12日(土曜日) ~ 12月22日(日曜日)
休館日:月曜日※祝休日は開館、翌日は休館
開館時間:10:00~18:00
※会期中の金・土曜日は午後8時まで開館(入館は閉館の30分前まで)
入館料:当日券:一般 ¥1,400(¥1,200) 大学生 ¥1,000(¥800) 70歳以上 ¥700(¥600)
※高校生以下無料、( )内は前売りおよび20名以上の団体
会  場:兵庫県立美術館
     〒651-0073 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1HAT 神戸内
     phone 078-262-0901
     fax 078-262-0903
特設サイト:https://www.mbs.jp/tomino-exhibition/
主  催:兵庫県立美術館 神戸新聞社 MBS
協  力:サンライズ 東北新社 手塚プロダクション 日本アニメーション オフィス アイ
後  援:サンテレビジョン ラジオ関西
協  賛:公益財団法人伊藤文化財団 TKG Foundation for Arts & Culture
特別協力:公益財団法人日本教育公務員弘済会兵庫支部

「富野由悠季の世界」cinefilチケットプレゼント!
ご提供組数 5組10名様

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、兵庫県立美術館チケットプレゼント係宛てに、Eメールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、記名ご本人様のみ有効の、チケットをプレゼントいたします。
チケットは、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。
応募先Eメールアドレス
info@miramiru.tokyo
応募締め切りは2019年12月8日日曜日
記載内容
1.氏名<※必須>
2.年齢<※必須>
3.当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)<※必須>
4.ご連絡先Eメールアドレス、電話番号<※必須>
5.記事を読んでみたい監督、俳優名(複数回答可)
6.読んでみたい執筆者(複数回答可)
7.連載で、面白いと思われるもの(複数回答可)
8.連載で、面白くないと思われるもの(複数回答可)
9.シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せください。
また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせていただきます。

森秀信 プロフィール

1966年長崎市生まれ。
武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻修了後、現代美術センターCCA北九州リサーチプログラム修了。
主に現代美術の創作活動の他、展覧会のキュレーションやワークショップの企画を担当。専門は現代美術。

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