まるで物語に出てくるような美しいヨーロッパの小国、リヒテンシュタイン候国をご存知ですか?
世界で唯一、侯爵家(君主)の家名が国名となっているリヒテンシュタインは、スイスとオーストリアに挟まれ、アルプスに抱かれた国土にライン川が流れる小さな国ですが、豊かな富を持った侯爵家が収集した世界屈指の美術品を所有しています。
その3万点にも及ぶ華麗で優雅なコレクションは、ヨーロッパの宝石箱のようです。

今年、リヒテンシュタイン侯国は建国300年を迎え、「建国300年 ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展」が、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中です。
侯爵家秘蔵のルーベンスや、ヤン・ブリューゲル(父)、クラーナハ(父)を含む北方ルネサンス、バロック、ロココなどの油彩画と、ヨーロッパでも有数のウィーン窯を中心とする優美な陶磁器、合わせて約130点が一堂に会しています。

貴族の多忙な仕事に追われる日常を癒してくれる美しい絵画や磁器、食事の時間に華やかな色どりを加える食器類も、歴代の侯爵にとって重要なものでした。
優雅で煌びやかな侯爵家の至宝を是非、この機会にご鑑賞ください。
それでは展覧会の構成に沿っていくつかの作品を紹介いたします。

第1章  リヒテンシュタイン侯爵家の歴史と貴族の生活

ウィーンの南方には、家名と同じ古城があり、12世紀の古くからリヒテンシュタイン家の所有となっていて、この家系が長い歴史を持っていることがわかります。
歴代の当主はオーストリアを統治していたハプスブルク家に仕え、その一方で、豊富な財源で領地を購入し、支配地を拡大していきました。
1608年、カール1世候(1569-1627)の時に侯爵の地位を獲得し、1719年アントン・フロリアン候(1656-1721)の時に、遂にリヒテンシュタイン侯国が成立しました。
カール1世候以降、歴代の侯爵が時間をかけて、優れた美術品の収集を行い、特にカール・オイゼビウス候(1611-1684)は「美しい美術品を集めることにこそお金を使うべき」との家訓を遺しています。
こうして受け継がれたコレクションは戦火をくぐり抜け、世界の人々を魅了する珠玉のコレクションとなったのです。
第1章では侯爵家の人々の肖像画と、貴族生活をよく表した絵画が紹介されています。

画像: ヨーゼフ・ノイゲバウアー 《リヒテンシュタイン侯フランツ1世、8歳の肖像》 1861年、油彩・キャンヴァス 所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン ©  LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

ヨーゼフ・ノイゲバウアー 《リヒテンシュタイン侯フランツ1世、8歳の肖像》 1861年、油彩・キャンヴァス
所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン
© LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

フランツ1世(1853-1938)が8歳の時の肖像画。
ブロンドの長髪が美しい美少年で、幸せに満ちた表情で描かれていますが、晩年には、激動の時代を迎えます。

第2章 宗教画

クラーナハ(父)やルーベンスといった北方芸術の巨匠の作品だけでなく、イタリア・ルネサンスやバロックの作品も含まれています。
主題も多岐にわたっていて、この多様性がコレクションの魅力となっています。

画像: ルーカス・クラーナハ(父)《聖バルバラ》 1520年以降、油彩・板 所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン ©  LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

ルーカス・クラーナハ(父)《聖バルバラ》 1520年以降、油彩・板 所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン
© LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

北方ルネサンスの巨匠、クラーナハ(父)による聖女バルバラ。
彼女はおそらく聖書を開き、そちらに目を落としています。
イタリア・ルネサンス芸術は過度な装飾を抑制する傾向がありますが、本作では、優美な立ち姿の均整の取れたプロポーションの聖女は、豊かな装飾が施された衣装を身にまとっています。

第3章 神話画・歴史画

ルネサンス期に再び芸術の主題として取り上げられるようになった神話画は、宗教画と並んで人気の主題となりました。
また、実際の出来事を象徴的に描いた歴史画や、神話画が描かれた磁器作品も合わせて展示されています。

画像: ぺーテル・パウル・ルーベンスと工房《ペルセウスとアンドロメダ》1622年以降、油彩・キャンヴァス 所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン ©  LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

ぺーテル・パウル・ルーベンスと工房《ペルセウスとアンドロメダ》1622年以降、油彩・キャンヴァス 所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン
© LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

海の怪物を退治したペルセウスが拘束されていたアンドロメダを開放する場面。
完全武装したペルセウスと裸体のアンドロメダとの肉体の対比により、アンドロメダの裸身の美しさが際立っています。

第4章 磁器 — 西洋と東洋の出会い

東洋で誕生した磁器はその美しさからヨーロッパで大変な人気を博し、中国や日本の磁器が大量に輸入されました。
ヨーロッパ人の趣味に合わせて、金属装飾が施された磁器もありましたが、ヨーロッパで磁器が制作されるようになった後も、東洋風の彩色は好まれました。

画像: 景徳鎮窯《染付花鳥文金具付壺》 金属装飾:イグナーツ・ヨーゼフ・ヴュルト 磁器:青の下絵付、順治~康煕年間(1644-1723) 金具:鍍金されたブロンズ 1775/1785年 所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン ©  LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

景徳鎮窯《染付花鳥文金具付壺》 金属装飾:イグナーツ・ヨーゼフ・ヴュルト 磁器:青の下絵付、順治~康煕年間(1644-1723) 金具:鍍金されたブロンズ 1775/1785年 所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン
© LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

中国景徳鎮で作られた壺に鍍金したブロンズの装飾金具をつけたもの。
桑の葉をモチーフにし、壺の天辺には桑の実が付けられています。

第5章 ウィーンの磁器製作所

ハプスブルク家のもと、帝都として栄えたウィーンに1718年、デュ・パキエが設置した磁器工房は、同家の擁護を受けながら発展し、多くの優れた磁器製品を生み出しました。
侯爵家コレクションには、ウィーン窯の磁器の中でも特に華やかで技巧を凝らした作品が収蔵されています。

画像: ウィーン窯・デュ・パキエ時代(1718-1744)《カップと受け皿(トランブルーズ)》 1725年頃、硬質磁器、エナメルの上絵付 所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン ©  LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

ウィーン窯・デュ・パキエ時代(1718-1744)《カップと受け皿(トランブルーズ)》 1725年頃、硬質磁器、エナメルの上絵付 所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン
© LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

トランブルーズとはホットチョコレートを飲むために考案されたカップと受け皿です。
ウィーン窯のものはベッドで飲む際にもこぼさないように、環状の枠がつけられています。
この作品のカップは網状になっており、飲み物を入れるには適さないので、別の用途に使われたようです。

第6章 風景画 

大貴族として都市で多忙な毎日を過ごす侯爵たちにとって、風景画はひとときの安らぎを与えてくれるものだったのでしょう。
特にアルプスの山々の雄大な姿は、アルプスに抱かれた領地を有するリヒテンシュタイン家にとって、特別なものだったのでしょう。

画像: ヤン・ブリューゲル(父)《市場への道》 1604年、油彩・銅板 所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン ©  LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

ヤン・ブリューゲル(父)《市場への道》 1604年、油彩・銅板 所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン
© LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

小高い峠道と大木を大胆に前景に配し、そこを通る道を描いた作品。
遥か遠くに見える街を目指し、行き交う人々が描かれています。
社交界の華やかさとは対照的な庶民の何気ない日常や風景に、侯爵たちはある種の癒しを感じていたのかも知れません。

画像: ウィーン窯・帝国磁器製作所 原画:ベルナルド・ベロット 《ベルヴェデーレからのウィーンの眺望が描かれたコーヒーセット》 1808年頃、硬貨磁器、エナメルの上絵付、金彩 所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン ©  LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

ウィーン窯・帝国磁器製作所 原画:ベルナルド・ベロット 《ベルヴェデーレからのウィーンの眺望が描かれたコーヒーセット》 1808年頃、硬貨磁器、エナメルの上絵付、金彩 所蔵:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン
© LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

それぞれに華美な装飾が施された6つの品から構成される二人用のティ―セット。
特に美しく飾られている装飾盆には当時のウィーンのベルヴェデーレ宮殿からの眺望が描かれています。

第7章 花の静物画

 華やかで色彩豊かな花の静物画は、本来別々の季節に咲く花を同時に鑑賞でき、また枯れることもないので、ヨーロッパの静物画の中でも人気の主題でした。
侯爵家コレクションには、陶板画や磁器の絵柄として描かれたものも含めて花を描いた作品が多く収蔵されています。

画像: フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー 《磁器の花瓶の花、燭台、銀器》 1839年、油彩・板 所蔵:リヒテンシュタイン 侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン ©  LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー 《磁器の花瓶の花、燭台、銀器》 1839年、油彩・板 
所蔵:リヒテンシュタイン 侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン
© LIECHTENSTEIN. The Princely Collections, Vaduz-Vienna

ピンクと白の薔薇を中心に、黒の背景でより克明に描かれたこの静物画には、繊細な描写を得意とした画家ヴァルトミュラーの才能が余すところなく発揮され、様々なものの質感も見事に描き分けられています。
ヨーロッパの侯爵家にタイムスリップして、豪華絢爛で煌びやかな美術品をご堪能ください。

展覧会概要

展覧会名:建国300年 ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
開催期間:2019/10/12(土)~12/23(月) *11/12(火)、12/3(火)のみ休館
開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
入館料(消費税込)
一 般;1,600円(1,400円)
大学・高校生:1,000円(800円)
中学・小学生:700円(500円)
( )は団体料金
◎団体は20名様以上。下記ページからお申込みフォームをご利用ください。

◎学生券をお求めの場合は、学生証のご提示をお願いいたします。(小学生は除く)
◎障害者手帳のご提示で割引料金あり。詳細は窓口でお尋ねください。

主催:Bunkamura、日本経済新聞社、テレビ東京
後援:オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム、在日スイス大使館
協賛:ライブアートブックス
協力:YKK AP、日本ヒルティ、日本通運、全日本空輸
企画協力:TNCプロジェクト
作品画像提供:リヒテンシュタイン侯爵家コレクション、ファドゥーツ/ウィーン
http://www.liechtensteincollections.at/en/pages/1327.asp (英語)
お問合せ:ハローダイヤル 03-5777-8600(8:00-22:00)

ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展@東京cinefil チケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、ヨーロッパの宝石箱リヒテンシュタイン 侯爵家の至宝展@東京cinefil チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効の、この招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2019年11月11日24:00 月曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
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   また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

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