芸術の秋、フランス近代美術の黄金期を彩る光あふれる名画の展覧会を紹介致します。
横浜美術館開館30周年を記念して、2019年9月21日より2020年1月13日まで、パリのオランジュリー美術館より珠玉の名画が一堂に会する「ルノワールとパリに恋した12人の画家たち」が開催されています。

パリのセーヌ川岸、緑豊かなチュイルリー公園に佇むオランジュリー美術館は、その名の通り、オレンジ温室を改修した美術館です。
19世紀後半から20世紀初頭のフランス美術を収蔵、公開するフランスの国立美術館で、2010 年、オルセー美術館と同じ組織になり、オルセー美術館のコレクションを補完する役割を果たしています。
印象派とエコール・ド・パリの珠玉のコレクション、モネの「睡蓮」の連作、そして斬新な企画展の3つの魅力を楽しむことのできる美術館となっています。
印象派とエコール・ド・パリの作品群は、ルノワールの代表作のひとつ《ピアノを弾く少女たち》をはじめ、マティス、ピカソ、モディリアーニらによる、19 世紀末~20世紀前半のフランス近代美術が花開いた時期の名作の数々です。
1920年代に印象派の巨匠・モネが「睡蓮」の大型連作を国に寄贈する際、外光のもとで鑑賞できる場所として、オランジュリー美術館が選ばれました。

オランジュリー美術館の収蔵作品群は、画商のポール・ギヨームが自らも収集し、築いたコレクションが主体となっているのですが、それには悲しいストーリーがあります。
彼は私邸を美術館にする構想を果たせぬまま、若くしてこの世を去ってしまったのです。
その後、彼のコレクションは妻のドメニカにより手を加えられました。
ドメニカは有名建築家ジャン・ヴァルテルと再婚しますが、その夫も事故死してしまいます。
彼女は、コレクションに2人の夫の名前を付けて「「ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム コレクション」としてフランス国家に売却しました。
このコレクションが、彼女の没後、オランジュリー美術館に常設展示されることになったのです。

パリ・オランジュリー美術館コレクションがまとまって来日するのは、21年ぶりとなる大変貴重な機会で、収蔵作品146点の絵画群のうち、約70点が一挙に集結しました。
みなさま、是非この機会に、横浜美術館に足をお運びください。
それではシフィル上でもいくつかの作品を鑑賞していきましょう。

画像: オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち》1892年頃、油彩・カンヴァス、116×81cm Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF オランジュリー美術館蔵

オーギュスト・ルノワール《ピアノを弾く少女たち》1892年頃、油彩・カンヴァス、116×81cm 
Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF オランジュリー美術館蔵

一度はどこかで目にしたことのある有名なこの作品は、ルノワールが、政府からリュクサンブール美術館のための作品を依頼され、ピアノの前に座る二人の少女の作品を少なくとも6 点は描いたといわれているうちの1点です。
本作は、晩年までルノワールのアトリエに保管されていましたが、作家没後の1928年にポール・ギヨームによって収集されました。
柔らかな光に包まれている少女たちの表情が愛らしく、ピアノの音色が聞こえてきそうな
作品です。
甘美な色彩表現と粗い筆使いで、少女たちを生き生きと描き出しています。

画像: アルフレッド・シスレー《モンビュイソンからルヴシエンヌへの道》1875年、油彩・カンヴァス、46×61cm Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Thierry Le Mage / distributed by AMF オランジュリー美術館蔵

アルフレッド・シスレー《モンビュイソンからルヴシエンヌへの道》1875年、油彩・カンヴァス、46×61cm
Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Thierry Le Mage / distributed by AMF オランジュリー美術館蔵

シスレーはパリに生まれたイギリス人の画家で、コンスタブルやターナーの絵に感銘を受け画家を志しました。
モネやルノワールなどとともに戸外で風景画を制作し、印象派に参加しました。
パリ郊外の穏やかな自然の風景を主題として、空の青さや、川の清らかさ、きらめく樹々などを淡く美しい色彩で表現しました。
本作はなだらかな丘の上から遥かセーヌ河を望む風景。
明るく広い空のもと、馬車や人々が行き交うのどかな田園風景が優しい色彩で描かれています。

画像: クロード・モネ《アルジャントゥイユ》1875年、油彩・カンヴァス、56×67cm Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF オランジュリー美術館蔵

クロード・モネ《アルジャントゥイユ》1875年、油彩・カンヴァス、56×67cm
Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF オランジュリー美術館蔵

モネは「光の画家」ともいわれる印象派を代表する画家の一人です。
屋外で刻々と変わりゆく光の反映する風景を描きました。
セーヌ河畔のアルジャントゥイユの美しい情景に魅了され、1871年パリから移住し、7年ほどの間に、170点以上の作品を制作しました。
本作はその一枚で、画面の大半は水面が占め、光を受けてゆらゆらときらめく水面に、樹々が反映しています。
美しい光を受けた水面を描いたモネらしい作品です。

画像: ポール・セザンヌ《りんごとビスケット》1879-80年頃、油彩・カンヴァス、45×55cm Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF オランジュリー美術館蔵

ポール・セザンヌ《りんごとビスケット》1879-80年頃、油彩・カンヴァス、45×55cm Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF オランジュリー美術館蔵

セザンヌは近代絵画の父とも呼ばれるフランスの画家です。
うつろう光を描く風景や、近代風俗を描く画家たちとは一線を画し、山や静物、水浴する人など、同じモティーフを繰り返し描きました。
本作は鍵付きの物入れの上に無造作に置かれた色鮮やかな林檎や青色の皿ですが、すべての要素を綿密に計算し、緊張感のある構図になっています。

画像: アンリ・ルソー《婚礼》1905年頃、油彩・カンヴァス、163×114cm Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF オランジュリー美術館蔵

アンリ・ルソー《婚礼》1905年頃、油彩・カンヴァス、163×114cm
Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF オランジュリー美術館蔵

ルソーは素朴派を代表する画家です。
本作は婚礼の記念写真のようですが、花嫁が宙に浮いているように見えたり、前方の黒い犬など、不吉な感じがする不思議な絵です。
後列右から二番目がルソー本人とされています。

画像: アンリ・マティス《赤いキュロットのオダリスク》1924-25年頃、油彩・カンヴァス、50×61cm Artwork : © Succession H. Matisse Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Michel Urtado / Benoit Touchard / distributed by AMF オランジュリー美術館蔵

アンリ・マティス《赤いキュロットのオダリスク》1924-25年頃、油彩・カンヴァス、50×61cm 
Artwork : © Succession H. Matisse Photo © RMN-Grand Palais (musée de l'Orangerie) / Michel Urtado / Benoit Touchard / distributed by AMF オランジュリー美術館蔵

マティスは、フォーヴィスム(野獣派)を主導した画家です。
パリで、ルオーやドラン、ヴラマンクと出会い、強烈な色彩と激しい筆致を特色とする作風を確立しました。
オダリスクとは、ハーレムの侍女である白人の女奴隷のことで、マティスは1917年からたびたび南仏ニースに滞在し、モロッコ旅行の体験をもとにこの題材を描きました。
エキゾチックな布の模様を、色鮮やかな色彩で装飾性豊かに描いています。
                                        

爽やかな秋風の中、横浜美術館へお出かけください。
パリを代表する画家たちの情熱に感動させられます。
きらめきのオランジュリー美術館コレクションをご堪能ください。

展覧会概要

会期:2019年9月21日(土)~2020年1月13日(月・祝)
開館時間:10時~18時
*会期中の金曜・土曜は20時まで開館(ただし2019年9月27日[金]~28日[土]2020年1月10日[金]~12日[日]は21時まで)
*入館は閉館の30分前まで
休館日:木曜日
(2019年12月26日[木]は開館)、2019年12月28日(土)~ 2020年1月2日(木)
観覧料:一般1,700円( 団体1,600円) 
大学・高校生1,200円( 団体1,100円)
中学生700円( 団体600円)
小学生以下 無料
65歳以上1,600円(要証明書、美術館券売所でのみ販売)
*( )内は前売/有料20名以上の団体料金(要事前予約、美術館券売所でのみ販売)
*障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料
*観覧当日に限り本展の観覧券で「横浜美術館コレクション展」も観覧可
お問い合わせ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)

主催:横浜美術館、オルセー・オランジュリー美術館、読売新聞社、テレビ朝日
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協賛:損保ジャパン日本興亜、大日本印刷、野村総合研究所、みずほ銀行
協力:日本航空、ルフトハンザカーゴ AG、東急電鉄、みなとみらい線、
横浜ケーブルビジョン、FM ヨコハマ、首都高速道路株式会社

オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち@横浜cinefil チケットプレゼント

下記の必要事項、をご記入の上、オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち@横浜 cinefil チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効の、この招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2019年10月7日24:00 月曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
5、記事を読んでみたい監督、俳優名、アーティスト名
6、読んでみたい執筆者
7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、
  5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
 (複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。
   また、抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

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