トリックアート(だまし絵)で、世界的に知られるオランダ人版画家・画家マウリッツ・コルネリス・エッシャーの波乱に満ちた人生と作品を描くドキュメンタリー映画『エッシャー 視覚の魔術師』が12月14日(土)よりアップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺にてロードショー全国順次公開となります。

エッシャーの魅力の源泉とは?

「私の作品をテーマに良い映画を作れるのは、恐らくこの世にひとり。それは私だ」
1969年、エッシャーがアメリカ人コレクターに向けて書いた一節である。
この言葉で始まる『エッシャー視覚の魔術師』は、いわゆるトリックアート(だまし絵)で、世界的に知られるオランダ人版画家・画家マウリッツ・コルネリス・エッシャー(Maurits Cornelis Escher/1898年~1972年)の知られざる波乱に満ちた人生と、今なお、人々を魅了し続ける作品についてのドキュメンタリー映画。
家族へのインタビュー、収集家の証言、遺された1000を超える書簡、日記などや、暮らした多くの町や地域を通して彼の足跡を丹念に辿り、タイルなど現在の我々の日常生活にまで及ぶ影響と、その創造力の源泉を描く。

画像1: ©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

エッシャーの思考のプロセス

エッシャーの作風は、第二次大戦を挟んで、従来の伝統的な作品から大きな変化を遂げる。新たな作品では、一見すると論理的にできているようだが現実にはありえない世界を描出した。本作では3Dアニメーションを用いて、エッシャーがどのようにして漠然としたアイデアを視覚化し、作品を生み出していたのか、エッシャーの思考のプロセスを明らかにする。

画像2: ©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

画像3: ©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

画像4: ©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

自らの言葉で私生活を語ったエッシャー

アーティストであると当時に、エッシャーは鋭い観察者でもあった。膨大な量の日記、書簡、講義や目録に、自分が見たもの、感じたこと、インスパイアされたもの、驚いたこと、苛立ちなどを子細に書き綴った。それらには彼のさまざまな感情、恐怖、疑念、陶酔するほどの幸福感、政治的考察、驚き、芸術家としての達成、自作への自らの意見など。つまり、エッシャーの作品は自らのことばで私生活を語ることから生まれたのである。

画像5: ©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

画像6: ©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

画像: グラハム・ナッシュ(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング) ©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

グラハム・ナッシュ(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング)
©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

エッシャーの影響

冒頭、多大な影響を受けたと語るのは、一世を風靡したミュージシャンのグラハム・ナッシュ(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング)。ナッシュはエッシャーの再発見について語る。

エッシャーは今日なお新聞漫画、宣伝広告、映画等にインスピレーションを与えている。日本でも1998年、エッシャー生誕100周年を記念するローマでの国際会議を機に<日本テセレーションデザイン協会>https://www.tessellation.jpが設立された。エッシャーが強く魅了された<テセレーション>(=敷きつめ模様)から広がる楽しさを啓蒙するNPO団体である。エッシャーが切り開いた数学の美を拡張しつづける、現代の作家たちの作品を、科学館のパズル展示やワークショップ等で体験できる活動をしている。
なお、昨年、開催された<生誕120年イスラエル博物館所蔵ミラクルエッシャー展>は、上野の森美術館だけで20万人という驚異的な動員を記録している。

画像: エッシャー ©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

エッシャー
©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

エッシャー 年譜
1898年6月17日 オランダのレーワルデンで誕生。父の土木技師の父ジョージ・アーノルト・エッシャーは明治時代に日本<お雇い外国人>として来日経験あり。
1919年からハーレムにある建築装飾芸術学校に通い、恩師サミュエル・イェルスン・ド・メスキータに版画の才能を見出され、専攻を建築から変えることになり、1922年卒業。
1924年イタリアを旅行中に出会ったロシアから逃れてきたイエッタ・ウミカーと出会い、結婚。
1925年ローマに移る。
1926年長男ジョージ誕生
1935年ファシスト党を嫌いスイスに移るが、雪の白さに耐えられずスペイン行きを計画し、船会社に、妻と二人の船賃として旅の風景を描くと交渉し、見事成功。途中、グラナダのアルハンブラ宮殿のタイルに魅了される。
1937年ベルギーに移る。<平面の正則分割>に関するノオトをまとめ始める。
このころバールンに移る。
1944年恩師メスキータがナチに連行された後の家に残されていた絵画200枚を持ち帰り、生涯大切に保存することなる。
1950年代「タイム」誌と「ライフ」誌の取材を受け。一躍世界的に知られることになる。50年代にはニューギニアのセレベス、ボルネオなどに。そしてナールデンに戻る
1960年代後半から健康を損ね、ガンの手術を何度も受ける。
1969年遺作<蛇>を制作する。
1970年オランダのバールンにある老人介護施設に入所。
1972年3月27日死去。

画像7: ©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

エッシャー語録

・我々が混沌に惹かれるのは、秩序づけることを好むからである。
・不思議に思う人は、それ自体のなかに不思議を発見する。
・絵を描くことは、私がそうであるように、多くの場合、ただそれをうまく成し遂げたいという欲求の問題なのである。
・私は第二の人生をすべて版画に捧げることができた。
・私より賢明であらねばばらない。不可思議な世界に平穏を感じ、理解の及ばないことを受け入れ、これから起ころうとすることを落ち着いて待つために。
・美しく重要なものは、真に熱中している瞬間には生み出されなかったように思う。
・若者は私を<オプ・アート(だまし絵)>作家の一人と言うのだが、オプ・アートが何なのかさっぱりわからない。私は30年間、自分の仕事をしてきただけだ。
・私は成長しない。私の中には子どもの頃の小さな私が存在しているのだ。
・私はめんどうでやっかいな遊びを楽しむ。
・真に美しく純粋なものを表現したい。
・山に登らせて欲しい。足下を行くのではなく、頭上にあるものまで我々を引き上げるために、我々の一部である星々のために。アーメン。

「エッシャー 視覚の魔術師」に登場する人物や用語など
スティーヴン・フライ(Stephan Fry)
本作のナレーションを担当している英国の俳優、作家、ジャーナリスト、コメディアン、映画監督でもある。
CSN&Y(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング) 
60年代後半から70年代にかけて活動し、世界的に多くのファンを獲得した米国のロックバンド。
グラハム・ナッシュ (Graham William Nash) 
英国出身で後に米国籍となったロック・ミュージシャン。シンガーソングライターでもある。
エリック・バードン
Eric Burdon 英国のミュージシャンで、ジ・アニマルズのリードシンガー。
ジ・アニマルズ(the animals)
60年代に一世を風靡した英国のロックバンド。94年にロックの殿堂入りを果たしている。
ジョージ・エッシャー(George Escher)
エッシャーには3人の息子がいた。ジョージは長男。撮影当時92歳。
ヤン・エッシャー (Jan Escher)
 末っ子で撮影当時80歳
リースベト・エッシャー・ホーヘンハウト
Liesbeth Escher-Hogenhout エッシャーの息子の妻
ボルシェビキ
bol'shevikiボリシェビキとも表記。多数派の意味。ロシア社会民主労働党内レーニン派で、1917年のロシア革命後はロシア共産党となった。
オプ・アート
 op art 特殊な視覚効果を与えるように計算された抽象絵画のジャンルのこと。

画像8: ©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

監督・撮影・製作:ロビン・ルッツ
脚本:ロビン・ルッツ/マラインケ・デ・ヨンケ
ナレーション:スティーヴン・フライ

登場人物:グラハム・ナッシュ(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング)
ジョージ・エッシャー/ヤン・エッシャー/リーベス・エッシャー

後援/オランダ大使館
協力:日本テセレーションデザイン協会
配給協力:アップリンク
配給:パンドラ

2018年/オランダ製作/カラー/80分
©All M.C. Escher works © the M.C. Escher Company B.V.- Baarn – the Netherlands

2019年12/14(土)〜アップリンク渋谷、アップリンク吉祥寺にてロードショー全国順次公開

This article is a sponsored article by
''.