Top画像:《モニュメント》 1986 / 写真、フレーム、ソケット、電球、電気コード / 作家蔵
© Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, Photo © The Israel Museum, Jerusalem by Elie Posner

クリスチャン・ボルタンスキーの50年の軌跡

クリスチャン・ボルタンスキー(1944年〜)は、歴史や記憶そして死や不在をテーマとして活動を続ける現代のフランスを代表する最も重要なアーティストのひとりです。

1960年代後半より短編フィルムを発表し始めたボルタンスキーは、1970年代に入ると写真を積極的に用いるようになりました。人が歩んできた歴史や文化人類学への関心を土台とし、写真やドキュメントとビスケット缶などの日用品を組み合わせることで、自己あるいは他者の記憶に関連する作品を多数制作し、注目を集めます。

1980年代に入ると光を用いたインスタレーションを手掛けるようになり、子どもの肖像写真と電球を祭壇のように組み合わせて展示した「モニュメント」シリーズ(1985年-)で宗教的なテーマに取り組みます。それを発展させた《シャス高校の祭壇》(1987年)は、1931年にウィーンの高校に在籍したユダヤ人の学生たちの顔写真を祭壇状に並べ、その写真を電球で照らすというものでした。
肖像写真を集めて展示する手法は、大量の死者の存在、具体的にはナチス・ドイツによるユダヤ人の大虐殺とその犠牲者のイメージを想起させるものとして解釈され、大きな議論を呼びました。第二次世界大戦期のユダヤ人の大虐殺は、ユダヤ系の父を持つボルタンスキー自身の問題とも結びつきます。

その後もパリのグラン・パレの広大なスペースを生かし大量の衣服を集積させた《ペルソンヌ》(2010年)など、さまざまな手法によって、歴史や記憶、そして死や不在の人間の存在の痕跡といったものをテーマに据え、世界中で作品を発表しています。

今回の回顧展は、クリスチャン・ボルタンスキーの活動の全貌を紹介する、日本では過去最大規模になります。

同展では、50年にわたるボルタンスキーの様々な試みを振り返ると同時に、「空間のアーティスト」と自負する作家自身が、展覧会場に合わせたインスタレーションを手がけます。

半世紀を超える作家活動を経て、いまなお積極的に精力的に創造を続けるボルタンスキーの広大なる芸術の精神世界を存分にお楽しみ下さい。

画像: クリスチャン・ボルタンスキー © Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, Photo by Didier Plowy

クリスチャン・ボルタンスキー
© Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019,
Photo by Didier Plowy

作家自身が手がけるインスタレーション

「 空間のアーティスト」と自らを形容するボルタンスキーは、「 展覧会をひとつの作品のように見せる」と語っています。同展は初期作品から最新作までを時代順に紹介するのではなく、個々の作品を組み合わせ、一つの大きなインスタレーションとして構成されています。
会場では配布するマップを片手にご鑑賞ください。

「モニュメント」とは記念碑を意味します。↓
ボルタンスキーは過去の作品で用いた肖像写真を再利用し、祭壇のように並べました。電球によって照らされた子どもの写真は、キリスト教のイコンのように神聖な雰囲気を与えられています。

画像: 《モニュメント》 1986 / 写真、フレーム、ソケット、電球、電気コード / 作家蔵 © Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, Photo © The Israel Museum, Jerusalem by Elie Posner

《モニュメント》 1986 / 写真、フレーム、ソケット、電球、電気コード / 作家蔵
© Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, Photo © The Israel Museum, Jerusalem by Elie Posner

《黄昏》↓ は、2015年にサン・パウロで初めて発表されました。同展では、電球が毎日3つずつ消え、会期最終日にはすべての電球が消えることになります。段階的に消えていく電球は、人生において死が必ず訪れるものであることを示しているのです。

《黄昏》 2015 / ソケット、電球、電気コード / 作家蔵
© Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, © Oude Kerk, Amsterdam, Photo by Gert Jan Van Rooij

《アニミタス(白)》 ↓の映像からは絶えず心地よい風鈴の音が響いてきます。
ちょっとお盆のイメージと重なる不思議な映像です。

画像: 《アニミタス(白)》 2017 / ビデオプロジェクション(HD、10 時間 36 秒)、シルクペーパーの玉 / 作家蔵 © Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, Courtesy Power Station of Art, Shanghai, Photo by Jiang Wenyi

《アニミタス(白)》 2017 / ビデオプロジェクション(HD、10 時間 36 秒)、シルクペーパーの玉 / 作家蔵
© Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, Courtesy Power Station of Art, Shanghai, Photo by Jiang Wenyi

《ミステリオス》↓ は、南米のパタゴニアで撮影された三つの映像によって構成されるインスタレーションです。ボルタンスキーは巨大なラッパ状のオブジェを現地の音響技師と共同制作し、時間の起源を知る生き物とされている、鯨とのコミュニケーションを図ろうと試みました。
是非足を止めて、椅子に腰掛けて、ゆったりとした映像と不思議な音に耳を傾けて、その空間ごと体感して下さい。

画像: 《ミステリオス》(展示風景)2017 / ビデオプロジェクション(HD、約 12 時間)、3 面のスクリーン / 作家蔵 © Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, Courtesy Power Station of Art, Shanghai, Photo by Jiang Wenyi

《ミステリオス》(展示風景)2017 / ビデオプロジェクション(HD、約 12 時間)、3 面のスクリーン / 作家蔵
© Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, Courtesy Power Station of Art, Shanghai, Photo by Jiang Wenyi

《発言する》↓ からランダムに流れてくる投げかけられる言葉(日本語と英語の2ヶ国語)の深さに思わず聞き入ってしまいます。じっくりと耳をそばだててみて下さい。

画像: 《発言する》 2005 / 板、コート、ランプ、サウンドボックス / 作家蔵 © Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, © MACs_Grand Hornu, Belgique, Photo by Philippe De Gobert

《発言する》 2005 / 板、コート、ランプ、サウンドボックス / 作家蔵
© Christian Boltanski / ADAGP, Paris, 2019, © MACs_Grand Hornu, Belgique, Photo by Philippe De Gobert

ボルタンスキー氏ご本人は自身の作品に対して「どう受け止めるかは会場に来ている人各々が理解したい方法で理解してくれたらいい。五感を使って見て(観て)、聞いて(聴いて)、匂って、作品の中に入って欲しい。全てを知る必要はなく答えは存在しない。ただ何かが起きているということを感じて欲しい。」と仰っています。

東洋の哲学や日本の仏教や神道からも多くの影響を受けていると仰る氏の作品の創る世界は、そのせいか、どこか東洋的な死生観が感じられます。

ただどれだけ言葉を重ねても、いくら画像をお見せしても、残念ながら実物の世界観は到底表現できません。
是非実際に会場に足を運び、その世界観を体感してみて下さい。

担当研究員による展覧会レクチャー

日時)2019年8月21日(水)14:00〜14:30 、23日(金)19:00〜19:30
場所)国立新美術館2階 企画展示室2E(展示室奥cat.42《 ぼた山》付近集合)

*聴講は無料、同展の観覧券(半券可)の提示が必要です。
*内容や日時は場合により変更になる可能性があります。あらかじめご了承ください。

「クリスチャン・ボルタンスキーの可能な人生」上映

「クリスチャン・ボルタンスキー ーLifetime」会期中に、クリスチャン・ボルタンスキーの多様な活動を紹介する映画を上映します。

日時)上映中〜2019年9月2日(月)、開館時間中(開館日のみ)
会場)国立新美術館B1F 休憩コーナー

*1回52分を閉館まで繰り返し上映
*参加無料、チケット不要
*内容や日時は都合により変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。

クリスチャン・ボルタンスキー ーLifetime
開催概要

会場)国立新美術館 企画展示室 2E
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2

会期)開催中〜2019年9月2日(月)

休館日)毎週火曜日

開館時間)10:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
毎週 金・土曜日は21:00まで

観覧料)一般:1,600円(1,400円)、大学生:1,200円(1,000円)、高校生:800円(600円)
*()は20名以上の団体料金
*中学生以下は入場無料
*障害者手帳をご持参の方(付添いの方1名を含む)は入場無料

主催)国立新美術館、朝日新聞社
後援)在日フランス大使館/ アンスティチュ・フランセ日本
協力)アニエスベージャパン株式会社

展覧会ホームページ)https://boltanski2019.exhibit.jp
お問合せ)0 3ー5 7 7 7ー8 6 0 0(ハローダイヤル)

cinefil 読者チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「クリスチャン・ボルタンスキー展」プレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2019年8月22日 24:00 金曜日

<記載内容>
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
5、記事を読んでみたい監督、俳優名、アーティスト名
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7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
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9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。

抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

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