『青の帰り道』再上映記念連載/監督・藤井道人#16
「青の帰り道」監督の藤井道人です。
5月11日から、アップリンク渋谷にて「青の帰り道」の上映が始まりました。
それに伴って、昔から縁の深いcinefilさんで、連載を書かせていただけることになりました。
今回で第16回。
5月26日
上映16日目。
街が徐々に夏色を帯びてきた。
劇場へ行く時に通る渋谷のスクランブル交差点はいつもは人が多くて嫌いな場所なのに、公開中は、何故か若者を見ると気持ちが高揚する。
まもなく来場者は3000人を突破しようとしている。ドリパスの順位も1桁に急上昇と徐々に勢いに乗ってきた本作、まだまだ上映は続くので是非劇場で体感して欲しい。
本日のゲストは俳優の阿部進之介。
映画「デイアンドナイト」の主演・企画として5年という長い期間映画を共に作り続けてきた兄貴分であり戦友である。映画「栞」や「キングダム」など、今映画界にいなくてはならない存在だ。
ちょうど「青の帰り道」を制作している時期と「デイアンドナイト」を制作している時期が被っており、二本の映画は同時並行で完成した。
その一本の主翼を担う阿部さんが本作をどう見てくれたのかとても緊張していたのだが、
阿部さんは自分の過去と重ね合わせて映画に共感してくれたように思う。
阿部さんの質問の中に、政権交代やGDP三位に降格、震災の時事が映画の中で描かれる理由は?というものがあった。
これは、映画の中で僕がもう一つ大事にした要素であり理由は二つある。
一つは、この映画をただのフィクションにしたくなかったという理由。特に今20-30代の観客が自分ごとに本作をとられてくれるようにはどうすればよいか考えた結果である。
もう一つの理由は、そんな政治も時事も彼らが大人になっていく上では大事なことではない(外の世界で起きている)ことであり、それくらい彼らが自分たちの人生を生きることにもがいていたことを表現したかった。
阿部さん、さすがの鋭さ。3年前の「デイアンドナイト」の本打ちを思い出した。
苦心するインディーズ映画監督を観たい方は、是非現在公開中の山田孝之さんのドキュメンタリー「No Pain, No Gain」を観てください。
阿部さんとは、また映画を作りたいな。
日々精進あるのみ。
本日は、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEより山本彰吾が来てくれる。是非お楽しみに。
藤井道人
■藤井道人 Michihito Fujii
映画監督、映像作家、脚本家。1986年生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部映画学科脚本コース卒業。伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』でデビュー。『光と血』などの作品を発表する一方で湊かなえ原作ドラマ『望郷』、ポケットモンスター、アメリカンエキスプレスなど広告作品も手がける。2017年Netflixオリジナル作品『野武士のグルメ』や『100万円の女たち』などを発表。2019年『デイアンドナイト』『青の帰り道』公開中。6月28日『新聞記者』の公開が控える。
ご来場のお客様からご感想をいただきました!
■tomo様
5度目の「青の帰り道」行ってきました。
人は人に傷つけられるけれど、救ってくれるのもまた人なんだなって改めて思いました。
何度観てもどうしても感極まってしまう場面がいくつかあって、そのうちのひとつが、キリがマリコとコウタの家に泊まりに行った夜の場面。
本当になんてことないシーンなんですけど、マリコの優しい言葉とか壁の向こうから聞こえるコウタと子供の声とかそれを聞いてるキリの姿とか、なぜか泣ける。
わたし、マリコとコウタが地元で仲良く暮らしてるのがすごく好きで、あのふたりが他の5人の帰る場所を守ってるように感じられて。
帰る場所があるっていうのは、本当にキツくてダメなときに最後の砦になってくれるし、動物が傷を癒すときに逃げ込む巣穴みたいな役割もあるのだと思ったりしました。
そして自分が救われて生還したなら、次は別の誰かを救える自分でありたいと、前を向くことができるのだなって。
誰にでも若いときはあるし、夢もあるだろうし、自分だけなんでこんな目にあうのかとか、こんなはずじゃなかったとか、どうせ誰もわかってくれないとか、おそらく9割以上の大人たちがそういうのを乗り越えたり忘れたふりをしたりして生きているはずで(タチバナさんだってそうなはず!)
なので、「青の帰り道」はそういうのを全部掘り返してくれるから、観るとなんとも言えない感情がぐるぐるして苦しくなります。
(なのに何度も観ちゃうし、本当なら中学の同窓会で上映したいくらいですよ…)
「生きてゆく」って、本当にすごいことだ。
藤井監督と阿部さんのトークショーはおふたりの力関係が如実にあらわれていて、さっきまで泣いていた観客を爆笑させる展開に!笑
貴重なお話がたくさん聞けて嬉しかったです。「栞」も「新聞記者」も観にいきます!
■vivipopo0505様
「生きてさえいれば、人生はつづく」藤井道人
「生きる道は一つじゃない」おかもとまり
「これ以上、この映画に合う曲は作れない」amazarashi 秋田ひろむ
昨日は3回目の「青の帰り道」をアップリンク渋谷へ、フォロワーのけいちゃんと観に行きました。
この映画は、誰に感情移入するかで感じ方が違うと思います。私は、この映画の世界観が好きで、もともとamazarashiさんのファンなのもあり、主題歌の「たられば」が深く心に染みました。。3回観ても、泣きました。。7人それぞれに、自分だったらと、気持ちに寄り添うと、最後には静かな涙がずっと流れていました。大切な曲として、パーフェクトライフも、とても心に染みました。。
「青の帰り道」は本当にたくさんの人に見て欲しい映画で、映像美☆胸を打つ音楽☆静かな涙。。
関東住みの私は、できる限り「青の帰り道」を観に行って応援したいと思っています☆☆
『青の帰り道』 東京再上映・トークイベント開催中!
東京・アップリンク渋谷 https://shibuya.uplink.co.jp/
5/11(土)〜公開中 (終映日未定)
《トークイベント登壇予定者》
藤井道人監督・岡本麻里(原案)
27(月)山本彰吾(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)/28(火)甲斐翔真/29(水)武田玲奈/30(木)山田智和、川島直人/31(金)前田公輝
※詳細は劇場HPをご覧ください。
■アップリンク吉祥寺 拡大上映決定!
https://joji.uplink.co.jp/
5/17(金)〜(終映日未定)
連日満席の東京から関西、そして新潟でも上映決定!
■大阪第七芸術劇場
http://www.nanagei.com/
6/22(土)〜
■京都・出町座 https://demachiza.com/
6/22(土)〜
■新潟・市民映画館 シネ・ウインド https://www.cinewind.com/line-up/
7/27(土)〜
映画『青の帰り道』
出演:真野恵里菜 清水くるみ 横浜流星 森永悠希 戸塚純貴 秋月三佳 冨田佳輔
山中崇 淵上泰史/嶋田久作
工藤夕貴 平田満
主題歌:amazarashi『たられば』
監督:藤井道人
原案:おかもとまり
脚本:藤井道人/アベラヒデノブ
制作プロダクション:and pictures
制作協力:BABEL LABEL/プラスディー
配給:NexTone
配給協力:ティ・ジョイ
再上映配給:BABEL LABEL/ボタパカ/and pictures
©映画「青の帰り道」製作委員会
公式サイト:(以下より)
連載第16回